75歳の父は「後期高齢者医療制度」に切り替えたのに、医療費は「3割負担」のままでした。後期高齢者医療制度は、みんな「1割負担」ではないのですか?

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高齢の家族の医療費負担は、日常生活のなかで多くの人が気にする内容です。75歳を過ぎると多くの人が「1割負担」になるというイメージがありますが、実際に医療機関で「3割」と案内されて戸惑うケースも少なくありません。
今回は、その理由と、どんなときに「1割」「2割」「3割」になるのかを分かりやすく説明します。

後期高齢者医療の自己負担は1割・2割・3割の3段階

後期高齢者医療制度は、75歳以上の人が対象の医療保険制度です。
75歳になると、それまでの健康保険から自動的に切り替わります。この制度では、医療費の窓口負担割合が1割・2割・3割の3段階に分かれています。
厚生労働省の資料によると、後期高齢者医療制度の対象者約1815万人のうち、所得区分ごとの人数と割合は以下のようになっています。

●3割負担(現役並み所得者): 約130万人(約7%)
●2割負担(一定以上所得者): 約370万人(約20%)
●1割負担(一般・低所得者): 約1315万人(約73%)

このように、全体の7割以上は1割負担ですが、約3割の方は所得に応じて2割または3割の負担となっていることが分かります。

「3割」負担となる所得基準の詳細

自己負担割合が3割となるのは、一般的に年金や収入が一定以上で「現役並みの所得」があると判断された人です。基本的には、住民税の課税所得が145万円以上あることですが、一定の基準・要件を満たす場合、窓口負担割合が1割または2割になる可能性もあります。
今回のように、75歳で後期高齢者医療制度に移行したあとも3割負担が継続しているのは、例外要件に該当せず申請もなされていない、もしくは認められていない状態であると考えられるでしょう

3割から見直せる場合もあるので要確認

「年金の一時的な増額」や「退職金の影響」などで収入が一時的に高くなっただけという方もいるかもしれません。そうした場合には、申請によって負担割合を見直せる可能性があります。
申請は市区町村の窓口で行い、前年の収入が一定額を下回っていたことを証明する書類(確定申告書や年金通知書など)を提出します。申請が受理されれば、原則翌月以降の負担割合に反映されます。
また、医療費が高額になった場合は「高額療養費制度」により、1ヶ月あたりの自己負担額に上限が設けられています。
例えば、年収約370万円~約770万円の方の場合、自己負担の上限は「8万100円+(総医療費-26万7000円)×1%」となります。複数回該当時は4万4400円に下がります。
所得が高い方は上限額も上がりますので、事前に自分の区分を確認するとよいでしょう。

後期高齢者でも3割負担になるのは「現役並み所得」があるから

75歳を迎えても「3割負担」となるのは、本人または世帯に「現役並みの所得」があるためです。「後期高齢者医療=1割」と思われがちですが、実際には所得によって区分されます。
保険証の自己負担欄や自治体からの通知で負担割合を確認し、不明な点があれば市区町村に問い合わせるとよいでしょう。

出典

厚生労働省 高齢者医療制度 (3) 2割の対象となる所得基準の考え方
厚生労働省 高齢者医療制度医療費の自己負担について
厚生労働省保険局 高額療養費制度を利用される皆さまへ
執筆者 : FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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