8年住んだアパートの更新時、「家賃5000円値上げ」と連絡が! 大家さんから通知が来たら、絶対に応じなければいけないの?「家賃値上げ」の気になるポイントを解説

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賃貸のアパートやマンションに住んでいると、賃貸借契約の「更新」が必要な場合があります。一般的に2年に一度のタイミングでやって来ることの多い「更新」では、賃貸契約の再契約をしたり、更新料を支払ったりすることが多いのですが、この更新のタイミングで、家賃の値上げを通知されることもあります。
これまでの家賃よりも大幅に値上げされる場合、厳しいと感じる人もいるでしょう。このような大家や賃貸会社からの家賃の値上げには、必ず応じなければならないのでしょうか? 家賃の値上げに納得できない場合は、どのように対応したらいいのでしょうか?
本記事では、賃貸更新時の家賃の値上げについて解説していきます。

家賃は更新時に上がることが多い?

株式会社キマルームが2024年に行った、管理会社を対象にした「賃貸物件の更新業務に関するアンケート」によると、調査を実施した管理会社の半数以上である54%が、「更新時の家賃値上げを実施している」または「検討した」と回答しています。

家賃の値上げの時期に決まりはありませんが、借主が契約更新を検討しやすく、家主にとっても書類作成や契約のタイミングとして「キリがいい」ため、家賃の値上げが更新時に通知されることが多いのでしょう。

家賃の値上げには「正当な理由」が必要

家賃の変更については、貸主である大家に決定権があるというイメージを持っている人は多いかもしれません。しかし、実は大家の一存で決められるものではなく、貸主・借主双方の協議のうえで行うと、借地借家法で定められています。
また、値上げをするためには、その「正当な理由」があり、借主も納得した場合に限り、家賃の値上げが認められるのです。家賃を値上げするには、次のような事情が「正当な理由」に当たります。

・建物の維持費や固定資産税などが上昇した場合
・不動産の資産価値が上昇した場合
・周辺の賃貸物件と比べて著しく家賃が安い場合
・建物の老朽化に伴い、大規模な修繕やリフォームが必要になった場合
・物価上昇により管理・維持費用が増加したことが明らかな場合
・不動産市場の家賃相場が上がっていることを示す資料がある場合

このように、客観的なデータや資料によって、家賃の値上げが必要であることが明らかな場合は、家賃の正当な値上げとして認められることが多いでしょう。
一方、次のような理由では家賃の値上げは難しいと考えられます。

・大家の経営状況が悪化したため
・家賃を上げて借金を返済したいといった個人的な事情
・単に家賃収入を増やしたいという目的
・周辺の家賃相場と比較して、特段安いとはいえない場合
・賃貸借契約書に「一定期間は賃料の増減を行わない」といった特約がある場合

このように、単純に「大家の利益」が目的の場合は、家賃値上げの正当な理由とは言えません。また、契約時に「家賃の値上げはしない」といったような特約がある場合、その期間中の家賃増額の請求は無効とされます。

家賃の値上げを拒否できる?

家賃の値上げについては、貸主と借主の同意が必須なので、借主側が値上げに納得できない場合は、値上げを拒否することができます。
ただし、家賃の値上げには大家側にも「正当な理由」があるケースがほとんどです。交渉の場を設け、「なぜ値上げをするのか」「値上げ額を再検討してほしい」といった内容をしっかりと話し合い、妥協点を見つけるようにしましょう。
それでも「値上げ幅があまりにも大きい」「相場とかけ離れている」など、値上げに納得できない理由があるにもかかわらず、大家との交渉がうまく進まないこともあるでしょう。個人で解決できない場合は、自治体の消費生活相談窓口に相談するという方法もあります。
なお、「家賃の値上げに納得できないから家賃を払わない」といった行動に出てしまうと、家賃の滞納を理由に契約解除される可能性があります。必ずこれまで通りの家賃はしっかりと納めたうえで、協議中は値上げ分のみ支払いを保留にするようにしてください。

まとめ

管理会社から家賃の値上げの通知が来た場合、「決定事項」のように思う人もいるかもしれません。しかし、家賃の値上げは貸主と借主の同意が必要なので、値上げに納得できない場合はその旨を伝えることができます。
ただし、一般的に家賃の値上げには相当の理由のあることが多いので、頭ごなしに拒否することはおすすめしません。特に今後も賃貸契約を継続したいと考えている場合は、円滑に交渉を進めるようにしましょう。

出典

株式会社キマルーム 賃貸物件の更新業務に関するアンケート
e-Gov法令検索 借地借家法
執筆者:渡辺あい
ファイナンシャルプランナー2級

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