【住民税非課税世帯】65歳以上は38.1パーセント…非課税になる年金収入の目安はいくら?現在進行中の10万円給付金は申請期限に注意

image

2024年9月30日、株式会社帝国データバンクが発表した食品主要195社の価格改定動向調査結果によると、10月は年内最大となる2911品目が値上げとなっています。

収入が思うように増えない中での物価上昇。家計への影響は甚大です。厚生労働省によると、老齢年金世代にあたる65歳以上世帯のうち、約4割が住民税非課税世帯に該当するとのこと。近年よく耳にする「住民税非課税世帯」ですが、どのような世帯を指すのでしょうか。

本記事では、住民税非課税世帯の要件や年収目安について詳しく紹介していきます。

年代別における住民税非課税世帯の割合についても紹介しているので、あわせて参考にしてください。

1. 住民税非課税世帯とはどんな世帯?

住民税非課税世帯とはどのような世帯を指すのでしょうか。

住民税非課税世帯とは、名の通り「住民税が非課税」となっている世帯を指します。

住民税は、「均等割」と「所得割」の2種類から構成されています。

【写真全2枚中1枚目】住民税のしくみ。2枚目では、年代別の住民税非課税世帯の割合をチェック!シニア層に注目

住民税のしくみ

  • 均等割:所得に関係なく一律の税金負担が求められる
  • 所得割:所得に応じて課税される税金で一般的な税率は10%
  • 世帯全員が、均等割・所得割どちらも非課税である場合に「住民税非課税世帯」となります。

    住民税非課税世帯の要件は自治体によって異なりますが、一例として東京都港区の場合の要件は下記のとおりです。

  • 生活保護法の規定による生活扶助を受けている人
  • 障がい者、未成年者、寡婦またはひとり親で、前年の合計所得金額が135万円以下(給与所得者の場合、年収204万4000円未満)である人
  • 前年の合計所得金額が一定の所得以下の人
  • 住民税非課税世帯の要件には「前年の合計所得金額が一定の所得以下」がありますが、所得は年収から各種控除を差し引いた金額となっているため、所得目安を提示しても「分かりにくい」と感じる方もいるでしょう。

    そこで次章では、住民税非課税世帯の対象となる「年収目安」について、東京都港区を例に確認していきます。

    1.1 住民税非課税世帯の収入目安はいくら?

    東京都港区の場合、前年の合計所得が45万円以下(令和2年度まで35万円以下)であれば、住民税非課税世帯に該当します。

    前述したように、所得は年収とは異なるもの(収入から各種控除を差し引いたもの)であることから、ここでは所得が45万円以下になるための収入目安について見ていきましょう。

    住民税非課税世帯の収入目安は下記のとおりです(東京都港区のケース)。

    • アルバイトやパートの給与収入が100万円以下
    • 65歳以上で年金受給のみの人は、年金収入が155万円以下
    • 65歳未満で年金受給のみの人は、年金収入が105万円以下

    「給与収入」と「年金収入」では、所得が45万円以下になる収入の基準が異なり、年金収入の方がその基準を満たしやすいです。

    このことから、現役で働いている人よりも年金を受け取っているシニア世代の方が、住民税非課税世帯になりやすいことがわかります。

    では、住民税非課税世帯に該当する世帯は、各年代においてどのくらいいるのでしょうか。

    次章にて、年代別における「住民税非課税世帯の割合」を確認していきましょう。

    2. 【年代別】住民税非課税世帯の割合。高齢者が多いって本当?

    厚生労働省の「令和5年 国民生活基礎調査」によると、年代別における住民税非課税世帯の割合は下記のとおりです。

    年代別:住民税非課税世帯の割合

    年代別:住民税非課税世帯の割合

    厚生労働省の「令和5年 国民生活基礎調査」を参考に筆者作成

    2.1 【住民税非課税世帯の割合】
    • 30~39歳:11.99%
    • 40~49歳:10.04%
    • 50~59歳:13.59%
    • 60~69歳:21.65%
    • 70~79歳:35.88%
    • 80歳以上:52.50%
    • 65歳以上:38.14%
    • 75歳以上:49.08%

    割合を見ると、60歳代以降、住民税非課税世帯の割合が急激に増え、80歳代では約2世帯に1世帯が住民税非課税世帯となっています。

    さらに、年金受給が始まる「65歳以上」でみると、38.1%が住民税非課税世帯であり、年金世帯の3世帯に1世帯が低所得であることがわかります。

    年金世帯に住民税非課税世帯が多い背景には、主な収入源が「年金」であり、年金収入が現役時代の給与よりも少ないため、非課税世帯になりやすいことが挙げられます。

    また前述したように、住民税非課税世帯の要件である「収入」が給与収入よりも年金収入の方が基準が低めに設定されていることも理由の一つと考えられます。

    このように現代では、低年金世帯が多くなってきており、結果として生活が困窮している世帯も増え続けているのです。

    実際に、厚生労働省の「2023(令和5)年 国民生活基礎調査の概況」によると、65歳以上の高齢者世帯の59.0%が「生活が苦しい」と回答しています。

    前年度の同調査と比べ、「生活が苦しい」と回答した人は10ポイント以上増加しており、近年続く物価高や円安などが年金の実質的な目減りに大きく影響を与えていると考えられます。

    こうした世帯を支援するため、政府は「給付金」を支給するなどの対応をとっています。現在も2024年度新たに住民税非課税世帯等となった世帯へ10万円の給付が実施されています。

    世帯によっては申請が必要なケースもあるため、気になる方はお住まいの自治体窓口に問い合わせてみると良いでしょう。

    3. 10万円給付の締め切りはまもなく終了。すでに終わっている自治体も

    本記事では、住民税非課税世帯の要件や年収目安について詳しく紹介していきました。

    前述のとおり、現在実施されている10万円給付は、所得が低い世帯が恩恵を受けられる、家計を支えるための重要な制度です。

    ただし、多くの自治体ではすでに申請を締め切っている場合があり、まだ申請を受け付けている自治体でも申請期限を10月末としているケースがほとんどです。

    申請対象となる世帯は、申請をしないと受け取れないため、必ず期限までに申請を行いましょう。

    ※申請期限や手続き方法などは、自治体によって異なります。LIMOでは、個別の相談・お問い合わせにはお答えできません。

    参考資料

    執筆者

    和田 直子

    和田 直子

    株式会社モニクルリサーチ メディア編集本部

    元銀行員/LIMO編集部記者

    神戸松蔭女子学院大学卒業後、株式会社三菱UFJ銀行に入社。三井住友信託銀行に転職後、資産運用アドバイザー業務に従事。投資信託・個人年金保険・外貨預金の販売を中心に、生命保険・医療保険、住宅ローン、贈与、遺言・相続、不動産売買なども含め、主に個人顧客向けの資産運用コンサルティング業務に約10年間従事する。特に投資信託や保険商品の提案を得意とし、豊富な金融知識を活かした顧客ニーズに沿う提案が強み。

    2023年に株式会社モニクル傘下の株式会社モニクルリサーチ(旧:株式会社ナビゲータープラットフォーム)に入社。くらしとお金の経済メディア「LIMO(リーモ)」のLIMO編集部にて「厚生労働省管轄の厚生年金保険と国民年金年金制度の仕組み社会保障、貯蓄、資産運用「年金、貯蓄、NISAiDeCo、住宅ローン、FX、為替相場」に関する情報を中心に記事を執筆。一種外務員資格(証券外務員一種)(2024年9月4日更新)

    コメント