
鹿児島空港の乗降客数
2025年度の鹿児島空港の国際線乗降客は26万5586人で、ここ10年で最多だった18年度40万3712人の6割にとどまった。新型コロナウイルスに伴う規制が緩和された23年度以降、国際線再開の妨げになっていた地上業務の人手不足解消が進む一方、風評や国際情勢に振り回されたことが大きい。
国土交通省の空港管理状況調書(速報値)で分かった。24年度(確定値)の18万9764人から4割伸びたが、コロナ前には及ばず、いまだ回復途上にある。
25年度当初時点でソウル、上海、台北、香港の4路線があった。香港では「7月、日本で地震が起きる」とのうわさが広がっており、日本各地と結ぶ便に欠航が出始めた。県内では週4往復していた香港航空が5月3往復、6月8往復欠航。新燃岳噴火やトカラ列島での地震が重なり、7月から欠航・運休している。
11月には台湾有事を巡る高市早苗首相の国会答弁があり、問題視した中国政府が日本への渡航自粛を呼びかけた。週2往復だった東方航空の上海線も12月下旬、欠航・運休に入った。
韓国ソウル線は好調だった。温暖な鹿児島は冬場のゴルフ需要が高く、冬ダイヤで増便されたためだ。大韓航空(週4往復)とチェジュ航空(週3往復)は10月から毎日運航(週7往復)へ拡充。11月にはイースター航空が毎日運航で5年半ぶりに再開し、3社週21往復となり、これまで最多の3社週15往復を上回った。
昨春、週2往復を3往復に増やした中華航空の台湾・台北線も「地震のうわさ」で一時落ち込んだ。
鹿児島空港の国際線はコロナ下、搭乗手続きや飛行機の誘導など地上業務を担う事業者で従業員の離職が続いた。訪日客受け入れが本格再開してからも態勢は整わなかった。事業者の人材養成・確保が進む一方、県が中心になって誘致した新たな事業者が昨年11月に業務を始めた。
県交通政策課によると、25年度冬ダイヤは3路線26往復で、コロナ前の最大4路線29往復に近づいた。鈴木圭祐課長は「香港、上海線が運休する今こそ粘り強く活動して再開につなげたい。既存路線の維持拡充とともに東南アジアをはじめ新規就航の働きかけにも力を入れていく」と今後を見据える。
■九州内 広がる格差
九州の主な空港の2025年度の国際線乗降客数は、訪日客が好調に推移し記録更新する空港と、新型コロナウイルス禍前の水準に戻らない空港とに二極化している。直近10年をみると、コロナ前はどの空港も18年度が最多だった。
25年度は、第2滑走路の使用開始で発着回数増となった福岡空港が938万人と桁違いに多く、熊本空港の64万人が続いた。いずれも訪日客受け入れの再開本格化から間もない23年度にコロナ前を上回り、3年続けて伸びている。
18年度20万人だった熊本は、23年度23万人、24年度は47万人と推移。25年度は64万人台に達し、コロナ前の3倍を超えた。
熊本県は、台湾積体電路製造(TSMC)進出に加え、熊本空港の民営化を要因に挙げる。熊本空港は管制業務以外の運営権を民間が取得するコンセッション方式へ20年度に移行した。「運営会社『熊本国際空港』の誘致やセールス活動の効果が大きい」という。
18年5月に4路線週14往復だった国際線は、25年度は6路線44往復に増えた。高雄1路線だった台湾便は台北、台南、台中と4路線に拡大。熊本国際空港によると、TSMC関連のビジネス需要に付随し、現地で熊本の認知度が進み観光需要につながった。24年秋以降の台北線の機体大型化や、韓国・釜山線が毎日運航で就航したことも利用増を支えた。
23年春開業の新ターミナルビルが、英調査会社スカイトラックスの国際空港評価で「世界最高の新空港ターミナル部門」1位になった点も観光業界に好印象を与えているとみる。
宮崎空港は25年度8万6000人で、18年度14万人の6割だった。県担当者によると、当時3路線(ソウル、台北、香港)12往復あった国際線はコロナ下でゼロになり、23年度ソウル線、24年度に台北線が再開。「コロナ流行直前の19年度の路線数まで回復してきた。まずは今ある路線の維持・充実に努める」と説明する。
九州経済研究所(鹿児島市)の福留一郎経済調査部長は「国際線のパイプは観光だけでなく、モノや情報などプラスアルファがないと太くならない」と指摘。日頃の売り込みの重要性を挙げつつ「路線維持には鹿児島側からのアウトバウンド増も不可欠」と話す。



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