スズキ「フロンクス」の価格がわかった!ライバルの「WR-V」や「ヤリスクロス」と比較

スズキは、新型クロスオーバーSUVの「フロンクス」を、日本国内で発売すると発表した。発売日は、当記事の掲載時点では正式に発表されていないのだが、スズキの販売店によると「2024年9月20日頃」とのことだ。さらに、「試乗車は、2024年9月下旬~10月上旬に配車される」と言う。

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スズキの新型クロスオーバーSUV「フロンクス」が、まもなく日本で発売される。筆者の独自情報によると、2024年9月頃に発売が予定されているとのことだ

「フロンクス」はグレードや価格などについては未発表なのだが、独自調査によってグレード、価格、大まかなスペック、装備内容などの詳細が判明したので、当記事ではそれらの情報とともに、ライバル車とも比較した購入ガイドをお届けしよう。

ちなみに、「フロンクス」の先行試乗レポートをすでに掲載しているので、内外装や走り、乗り心地などが気になる方は、以下リンクの記事をご覧頂ければ幸いだ。

1グレード構成で価格は254万1,000円

まず、「フロンクス」のパワーユニットは、1.5L直列4気筒エンジンを組み合わせたマイルドハイブリッドを搭載。トランスミッションは6速ATで、駆動方式は2WDと4WDがラインアップされる。WLTCモード燃費は、販売店によると「2WDが19km/Lで、4WDは17.8km/L」とのこと。

「フロンクス」のパワートレインは、1.5L直4エンジンを組み合わせたマイルドハイブリッドのみがラインアップされる

「フロンクス」のパワートレインは、1.5L直4エンジンを組み合わせたマイルドハイブリッドのみがラインアップされる

グレードは1種類のみで、気になる価格は2WDが254万1,000円、4WDは273万9,000円だ。4WDの価格は、2WDよりも19万8,000円高いが、滑りやすい下り坂を安定して走破できる「ヒルディセントコントロール」などもあわせて装着されるため、4WDは割安とも言える。

最上級グレード並に充実した装備

「フロンクス」はマイルドハイブリッドなので、フルハイブリッドほど高価格なパワーユニットを搭載しているわけではない。そこで、価格を一般的な1.5L NAガソリンエンジン車と比べると、2WDの254万1,000円という価格は、一見すると少々高額に感じられる。だが、「フロンクス」の価格が高めな理由は、装備を充実させて他車の最上級グレードに相当する内容になっているからだ。

たとえば、安全面では衝突被害軽減ブレーキを作動させる「デュアルセンサーブレーキサポート」や「低速時ブレーキサポート」、後方の並走車両を検知して知らせてくれる「ブラインドスポットモニター」、後退時の安全性を高める「リヤクロストラフィックアラート」、「サイド&カーテンエアバッグ」などが標準装備されている。

「フロンクス」の外観は、「LEDヘッドランプ」や「LEDポジションランプ」、「ルーフエンドスポイラー」、「16インチアルミホイール」などの装備が特徴的だ

「フロンクス」の外観は、「LEDヘッドランプ」や「LEDポジションランプ」、「ルーフエンドスポイラー」、「16インチアルミホイール」などの装備が特徴的だ

さらに、アクセルやブレーキを自動制御しながら先行車に続いて走行できる「アダプティブクルーズコントロール」を標準装備。「電動パーキングブレーキ」も備わっているので、「アダプティブクルーズコントロール」によって追従停車した後、パーキングブレーキを自動的に作動させて停車を続けられる。

「フロンクス」には、「電動パーキングブレーキ」が標準装備されている

「フロンクス」には、「電動パーキングブレーキ」が標準装備されている

そのほか、シートヒーターやスマートフォンのワイヤレス充電、6スピーカー、価格の高い「全方位モニター付き9インチメモリーナビ」なども標準装備する。シートの生地も、上質なレザー調&ファブリックだ。「フロンクス」は、コンパクトなクロスオーバーSUVとしては、装備がかなり充実している。

「フロンクス」のフロント、リアシートにはボルドー色の表皮が用いられている

「フロンクス」のフロント、リアシートにはボルドー色の表皮が用いられている

「フロンクス」はインド製のクルマなので、国内生産車に比べて販売店とメーカー間の受発注をシンプルにする必要がある。そのような事情も踏まえて、バリエーションを実質的に最上級グレードに絞り込んでいると思われる。

これほど装備が充実しているなら、2WDの価格が254万1,000円でも、一概に割高とは言えないだろう。特に注目なのは、多くのスズキ車がオプション設定している「全方位モニター付き9インチメモリーナビ」を標準装備にしたことだ。

「全方位モニター付き9インチメモリーナビ」は、全方位モニターに加えて、通信機能や緊急時にオペレーターと会話できるSOSボタン、ハンズフリーマイクなども装備されている

「全方位モニター付き9インチメモリーナビ」は、全方位モニターに加えて、通信機能や緊急時にオペレーターと会話できるSOSボタン、ハンズフリーマイクなども装備されている

「全方位モニター付き9インチメモリーナビ」の価格換算額は、およそ19万円。2WDの価格は254万1,000円なので、そこから19万円を差し引くと235万円になる。一般的には、「フロンクス」はこの価格設定と考えられる。それでも、「ブラインドスポットモニター」「リヤクロストラフィックアラート」、「レザー調&ファブリックシート生地」などが備わるので、かなり割安だ。

ライバル車のホンダ「WR-V」と比較

「フロンクス」の車両価格を、ライバル車とも比べてみよう。ライバル車の筆頭としてあげられるのは、ホンダ「WR-V」だ。「WR-V」の車両価格は、売れ筋になる中級グレードのZグレードが234万9,600円。「フロンクス」から、「全方位モニター付き9インチメモリーナビ」の19万円を差し引いた235万円に近い。スズキでは、「フロンクス」のライバル車として「WR-V」を意識しているので、実質的に同じ価格帯に投入した。

スズキ「フロンクス」のライバル車として挙げられるのが、ホンダ「WR-V」だ

スズキ「フロンクス」のライバル車として挙げられるのが、ホンダ「WR-V」だ

「全方位モニター付き9インチメモリーナビ」を除いたうえで「WR-V」と装備を比べると、「フロンクス」のほうが上まわる。特に、差が生じるのが「パーキングブレーキ」だ。「フロンクス」は、スイッチで操作する電動式だが、「WR-V」はオーソドックスなレバー式になる。これによって、「アダプティブクルーズコントロール」の機能に差が出ている。「フロンクス」では、追従停車した後にパーキングブレーキを自動的に作動させて停車を続けられるが、「WR-V」はレバー式なのでそれができない。そのため、「WR-V」は時速25km未満になると「アダプティブクルーズコントロール」が自動解除される。

さらに、「フロンクス」には「WR-V」のZグレードには装備されていない「ブラインドスポットモニター」、「リヤクロストラフィックアラート」、「カラーヘッドアップディスプレイ」、」「シートヒーター」などが標準採用されるなど、全般的に装備が充実している。また、「フロンクス」はマイルドハイブリッドを搭載しているため、WLTCモード燃費は2WDで19km/Lと、「WR-V」Zグレードの16.2km/Lよりもすぐれる。

上質な「フロンクス」と実用的な「WR-V」

いっぽう、「WR-V」はボディが大きいことから、車内の広さがメリットになる。身長170cmの大人4名が乗車したとき、後席に座る乗員の膝先空間は、「フロンクス」は握りコブシ2つ分だが、「WR-V」は2つ半に達する。

スズキ「フロンクス」の後席

スズキ「フロンクス」の後席

ホンダ「WR-V」の後席

ホンダ「WR-V」の後席

荷室容量は、「フロンクス」は290Lだが「WR-V」は458Lに達する。さらに、荷室長も「フロンクス」は650mmだが、「WR-V」は840mmと広い。また、「WR-V」は乗り心地にも重厚感があり、少し硬さを感じさせる「フロンクス」に比べて快適だ。

スズキ「フロンクス」の荷室(後席を倒した状態)

スズキ「フロンクス」の荷室(後席を倒した状態)

ホンダ「WR-V」の荷室(後席を倒した状態)

ホンダ「WR-V」の荷室(後席を倒した状態)

以上のように、両車はそれぞれの持ち味が異なる。「フロンクス」は、コンパクトなボディを生かした運転のしやすさ、上質な内外装、充実した装備、すぐれた燃費性能などに魅力を感じるユーザーに適する。対する「WR-V」は、後席や荷室が広く、乗り心地が快適なので、実用重視のファミリーカーを求めるユーザーにピッタリだ。

トヨタ「ヤリスクロス」は充実した装備が魅力的

もう一台のライバル車、トヨタ「ヤリスクロス」は、「WR-V」よりも「フロンクス」に近い立ち位置のクルマだ。「ヤリスクロス」(ガソリン車)の全長は、売れ筋グレードが4,180mmと「フロンクス」よりも少し長いが、「WR-V」よりも下まわる。

トヨタ「ヤリスクロス」のエクステリア

トヨタ「ヤリスクロス」のエクステリア

全長の影響もあって、「ヤリスクロス」に身長170cmの大人4名が乗車すると、後席に座る乗員の膝先空間は握りコブシ1つ半と、「フロンクス」の2つ分を下まわる。その代わり、荷室は「ヤリスクロス」の荷室長が820mm、荷室容量が390Lと、「フロンクス」の同650mm、290Lよりも広い。つまり、後席の居住性を重視するなら「フロンクス」、荷室の広さを重視するなら「ヤリスクロス」という選択になるだろう。

「ヤリスクロス」の価格は、1.5L直列3気筒NAガソリンエンジンを搭載するZグレード(2WD)が243万5,000円と、「フロンクス」からメモリーナビの価格を差し引いた235万円に近いが、「ヤリスクロス」Zグレードには8インチ画面を備えたディスプレイオーディオが標準装備されている。さらに、「ブラインドスポットモニター」、運転席の「電動調節機能」、「ステアリングヒーター」なども備わるなど「フロンクス」よりもさらに装備が充実している。

「ヤリスクロス」のZグレードには「ディスプレイオーディオ」が標準装備されている

「ヤリスクロス」のZグレードには「ディスプレイオーディオ」が標準装備されている

その代わり、「フロンクス」は「ヤリスクロス」に比べて内外装が上質だ。運転感覚は、「フロンクス」は穏やかでバランスにすぐれ、「ヤリスクロス」は機敏に仕上げた。静粛性は、「ヤリスクロス」の搭載エンジンが3気筒なので、少々耳障りに感じられる。WLTCモード燃費は、「ヤリスクロス」(ガソリン車)のZグレードが18.3km/L、「フロンクス」はマイルドハイブリッドながら19km/Lなので、ほぼ互角だ。

「フロンクス」と「ヤリスクロス」は、上質感を求めるなら「フロンクス」、市街地などでの運転のしやすさやより充実した装備を重視するなら「ヤリスクロス」が適しているだろう。

渡辺陽一郎

Writer

渡辺陽一郎

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