島根県人口が64万人割れで過去最低に 「自然減」に歯止めかからず

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島根県は28日、1月1日現在の県推計人口が63万9576人となり、64万人を下回ったと発表した。1920年の国勢調査開始以来、最低を記録した。県の人口は86年から毎年減り続け、2023年9月に65万人を初めて下回った。死亡者数が出生者数を上回る「自然減」に歯止めがかからないのが大きな要因だ。

 県の人口は、1920年の第1回国勢調査で71万4712人だった。55年には最多の92万9066人を記録。サンフランシスコ講和条約締結を記念して歌詞を公募し、51年に制定された島根県民の歌「薄紫の山脈」には「九十万の県民の 平和の歌は今ぞ湧く」とある。

 だが、95年と2000年を除き、転出者数が転入者数を上回る「社会減」が続き、90年代に入って自然増から自然減に転じたため、県全体の人口は減り続けている。

 県統計調査課によると、2025年1月1日現在の推計人口を1年前と比べると7984人の減。社会減は1283人で前年の1545人から改善したが、自然減が6649人から6701人に拡大した。一方、海外からの労働者や家族の来日などで、外国人は前年比891人増の1万702人となった。

 自治体別では、全19市町村で前年と比べて人口が減少。減少率が大きかったのは、①津和野町3.27%(208人減)②知夫村3.08%(18人減)③飯南町3.01%(130人減)。小さかったのは①出雲市0.16%(271人減)②海士町0.31%(7人減)③松江市0.86%(1702人減)。

 一方、出雲市と海士町は社会増となった。755人増の出雲市によると、大手製造業などによる雇用で外国人労働者を含む転入者が増えたためとみられるという。17人増の海士町は高校生の「島留学」のIターンが有名だが、Uターンする若者も増え、同町は「若者が若者を引き寄せたのでは」とみる。

 県は人口減少対策などを柱とする20~24年度の島根創生計画で、30年までに社会減をゼロにし、県内の1人の女性が生涯に産む見込みの子どもの数を示す合計特殊出生率を35年までに2.07に引き上げるとする目標を設定していた。だが、25~29年度の次期計画では、目標達成時期をそれぞれ10年延ばすことにしている。

 県は、少子高齢化が進み、自然減に歯止めをかけるのは難しいとして、産業の振興や子育て環境の充実などの施策を通じて出生数を増やし、若者の県外転出を減らすことを目指す。国に対しては、東京一極集中の是正、円安の是正による物価上昇の抑制、コスト上昇分を価格転嫁できる取引環境の整備を求めている。北尾真吾政策調整監は「人口減少対策には特効薬がない中、あらゆる施策を総動員したい」と語る。

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