2025年2月、宮崎県都城市から鹿児島県志布志市への「都城志布志道路」が宮崎県内の全区間で開通した。計画から約30年を経て実現した待望の道路は、物流の効率化が期待され、都城市への運送業や製造業の企業立地が進んでいる。また、国道10号線の渋滞緩和によるストレスや交通事故の減少が期待されており、生活の質向上が見込まれる。
宮崎県内すべての区画が開通
都城支志布志道路は、都城市から鹿児島県志布志市までを結ぶ全長約44kmの無料の自動車専用道路。2月15日、最後の宮崎県内区間である都城インターチェンジから乙房インターチェンジまでの5.7kmが開通し、鹿児島県を含む全体の約93%が完成した。
都城市 池田宜永市長:
一言でいうと、感慨無量。地域の基幹産業を含めた経済を支える大事な道路になると思っている。
都城市で進む企業立地
計画から約30年を経てつながった都城志布志道路。その周辺では早くも開通効果が現れている。その効果の一つが、「企業立地」だ。
都城市によると、都城志布志道路の最初の県内区間が開通した2011年以降、都城市に進出する企業の数は好調に推移し、2月14日時点で180社、新たに4871人の雇用が生まれた。
都城市は更に企業の受け皿を増やそうと、新たな2つの工業団地の整備事業費として2025年度予算案に約24億3000万円を計上している。
都城市企業立地課 瀬之口祐一副主幹:
インターチェンジに隣接する場所に、工業団地の整備を進めている。すでに市内外の企業から多数のお問い合わせをいただいている状況で、都城志布志道路の整備効果を強く感じている。
都城市に進出した企業の多くを占めるのは、運送業や製造業だ。運送業を巡っては、物流の2024年問題や燃料費の高騰など厳しい状況が続いている。
そうした中、宮崎自動車道に接続する都城志布志道路が開通したことで、配送にかかる時間やコストが軽減されるという。また、国土交通省によると、全線開通後は都城インターチェンジから志布志港までの所要時間が整備前と比べて30分以上短縮され、約38分となる見込みだ。
運送業を中心に展開する福岡市の西久大運輸倉庫は、2023年5月に南九州の配送拠点として都城支店を設置した。
西久大運輸倉庫 森田浩専務:
都城支店は鹿児島、宮崎に一日で配送できる場所にあるということと、福岡から都城までも一日で来られるので、拠点としてのメリットがすごくある。船舶を使った輸送にも対応できるようになることも魅力。私たちも含めてさらに支店を構えたいと思うだろうし、新しい工業団地もできるようなので、積極的に利用していきたいと思う。
南九州エリアの拠点として、都城志布志道路の整備を後押しに企業立地が進む都城市。都城志布志道路は、志布志インターチェンジから志布志港までの3.2kmの供用が3月23日に始まり、全線開通を迎える。
渋滞緩和や交通事故減少にも期待
都城志布志道路の開通は、市民生活においてのメリットも。国道10号線は慢性的な渋滞が課題となっているが、トラックや都城インターチェンジに向かう車が都城志布志道路を通ることにより、渋滞の緩和が期待されている。
国土交通省は、都城市の国道10号線の交通量が約20%減少、並行する国道・県道の交通量が約30%減少すると試算している。渋滞ストレスの緩和で生活の質向上や、交通事故の減少が期待される。
(テレビ宮崎)
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