夕食はカップ麺もざら…高齢化率49.8%のまちの孤食を救え つけ揚げ、煮物、ちらしずし…女性グループ「おれんじ」は笑顔で宅食に励む

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校区行事などで仕出しの注文も増えている「おかずや おれんじ」=3月、西之表市安納

 四方を海に囲まれた離島では、人と人とのつながりがひときわ濃い。「ともに暮らせばみな仲間」。鹿児島県・種子島と屋久島にも、地域のために汗を流す住民たちがいる。1市4町を歩き、そんな愛ある取り組みに触れた。(連載「支え愛ランド種子島・屋久島」①より)
 3月下旬の朝、西之表市安納の農産加工施設は大忙しだった。この日は小学校の卒業式。「おかずや おれんじ」は、卒業生や転任する教員を送る会の仕出し弁当60個余りの注文を受けていた。
 手作りのつけ揚げ、手羽元の煮物、ちらしずし…。リーダーの中園由美子さん(62)は「門出を楽しく、おいしく祝いたい」と笑顔で盛り付けていく。
 「おかずや」は校区の女性陣が2019年10月、加工施設を有効活用しようと立ち上げた。「地域の高齢者が喜ぶ取り組みを」と、中園さんを中心に通年の「宅食」に取り組んでいる。毎週金曜、事前注文を受けた家庭に夕食のメイン1品を届ける。評判は校区を超え、行政関係などからの弁当注文も増えてきた。
 メンバーは8人。グループラインで意見を交わし、月単位で献立を決める。都合がついたメンバーが金曜に集まり、調理・配達する。1食料金は1人分200円、家族向けは600円。食材費や施設管理費を引くと利益はほぼない。
 参加する美容師の日高和美さん(48)は18年前に千葉からUターンした。「18歳まで育ててもらった地域への恩返しでもある。いろいろな場面で『安納はまとまりがあるね』と言われるのがうれしい」と話す。
 安納校区は高齢化率が49.8%と市平均の39.4%を上回る。独居男性や共働き世帯が多いのも特徴だ。女性陣の奮闘に、日高仙三区長(61)は「カップ麺で夕食を済ませる高齢者もいる。手作り料理がどれほどうれしいか。できる限り続けてもらえれば」と目を細める。

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