2024年通年での登録車販売ランキングは、トヨタ・ヤリスが16万6162台(前年比85.5%)で2位、日産ノートが10万1766台(前年比99.3%)で4位にランクイン。2025年2月は、ヤリスが1位、ノートが5位と、直近ではヤリスの強さが際立っている。ヤリス人気の理由とノートの強みとは?
TEXT:塚田勝弘(TSUKADA Katsuhiro) PHOTO:TOYOYA/NISSAN
日本自動車販売協会連合会(自販連)が発表している2024年通年での登録車販売ランキングは、トヨタ・ヤリスが16万6162台(前年比85.5%)で2位、日産ノートが10万1766台(前年比99.3%)で4位にランクイン。2025年2月は、ヤリスが1万5245台で1位、ノートが8110台で5位と、直近ではヤリスの強さが際立っている。ヤリス人気の理由とノートの強みを考えてみた。
ヤリス(ハッチバック)とノートの販売台数は拮抗!?
トヨタ・ヤリスのエクステリア。2024年1月、2025年2月に一部改良を実施している
日産ノートは、2023年11月にマイナーチェンジを実施し、フロントマスクを刷新した
同ランキングには、ヤリスにはヤリスクロスやGRヤリスも含まれていて、ヤリス・シリーズ合計の台数となる。ヤリスにはヤリスクロスは、それぞれ半数近い人気を占めていて、ハッチバック同士の比較だとヤリスとノートは、接戦になっているはずだ。一方のノートには、販売比率は低そうだがAUTECH CROSSOVERもあり、そして上級志向のノートオーラ(NISMO、AUTEC仕様もある)。
ヤリス、ノートの法人(フリート)比率は不明だが、カーシェアリングなどで見かける機会が多いのは、ヤリスの方(個人的感想ではあるが)。ヤリスの1.0Lガソリン車は、法人ニーズをメインとしているはずだ。
ノートは、オーラ(ニスモ、オーテック)、ノート・クロスオーバーなどの多彩なバリエーションを用意する
ヤリス人気の理由は、古さを感じさせないエクステリアデザインに加えて、ハイブリッド車の燃費の強みがありそう。1.5LハイブリッドのWLTCモード燃費は、36.0km/Lが最上値で、アクアやカローラを抑えて1位になっている。
一方のノートは、同28.4km/Lが最高値で、7.6km/Lの差が付いていて、これだけ差があると実燃費でもノートが上回るのは難しいだろう。ハイブリッド4WD同士の比較だと、同燃費はヤリスE-Fourが30.2km/L、ノートのe-POWER 4WDは、23.8km/Lで、こちらも6.4km/Lという差が出てくる。
燃費のヤリスに対し、ノートはe-POWER 4WDの走りに強みがある
ハイブリッド4WD同士でノートが有利になるのは、動力性能と雪上などでの滑りやすい路面での操縦安定性の高さだ。ヤリスのE-Fourは、リヤモーターが3.9kW/52Nmというスペックなのに対し、ノートは50kW/100Nmと強力で、100%電動駆動になるe-POWERは、4WDになると前後独立モーター制御によりアイスバーンも含めた雪上などでアドバンテージを感じさせる。それは、雪道だけでなく街中や高速道路、山岳路、雨天時などでも高い安定感をもたらしてくれる。パワートレーンではそのほか、ヤリスには1.0Lガソリン、1.5Lガソリンを設定し、1.5L車にはMTも用意するなど、きめ細かいニーズに応えている。
居住性を比べると、とくに後席の頭上まわりに差が感じられる。ヤリスは足元空間は、Bセグメントハッチバックの標準的な広さは確保しているものの、決して頭上まわりの広さを抱かせるわけではない。ノートの後席は、先代モデルのクラスを超えた広大さではないにしてもヤリスよりも開放感があり、足元空間も同セグメントでは平均点以上を与えられる。2段階切替式のリクライニングもヤリスにはない美点だ。
また、乗降性でもヤリスは、前席は寝かされたAピラーが近くに感じられ、後席は開口部足元がややタイト。ノートも前席頭上まわりは大差はないが、後席は足元の開口部が若干広く、足さばきはノートの方がしやすい。
積載性はノートが上手だが、先進安全装備ではヤリスの充実ぶりが光る
積載性もノートが優位で、ヤリスは270L(アジャスタブルキーボード非装着車)、ノートは340L(ともに2WD)とかなりの差がある。ヤリスはグラマラスなボディフォルムを採用し、全高も1500mmとノートよりもわずかだが20mm低いことも影響していることもあるかもしれない。ヤリスの荷室は、上側に行くほど内側に絞り込まれていて、大きな荷物の積載に向くとはいえない印象だ。ただし、ラゲッジでユニークなのが、ヤリスのアジャスタブルキーボード。上下2段にどちらかに設置でき、上段にすると床下収納、下段にすると背の高い荷物にも対応する。
先進安全装備では、ノートは「プロパイロット」がオプションになるものの、衝突被害軽減ブレーキやペダル踏み間違い防止機能は標準。ヤリスは、交差点での出会い頭時の車両や自動二輪車も検知する衝突被害軽減ブレーキなど、最新の「トヨタ・セーフティ・センス」に対応。ブラインドスポットモニターはオプション。「飛び出してくるかも」など予測も含めた「プロアクティブドライビングアシスト」なども用意されていて、数歩先を行っている。
装備では、ヤリスはディスプレイオーディオの標準化、一部をのぞきスマートエントリーも搭載。シートヒーターは上級仕様に標準装備し、ハイブリッド車はアクセサリーコンセント(AC100V/1500W)にオプション設定している。
ノートは、NissanConnectナビゲーションシステムがオプション扱いになり、オーディオレスが標準で、ヤリスとの違いになる。オートエアコンは標準だが、シートヒーターなどは4WDに標準で、2WDはセットオプションになっている。
ヤリスは、燃費や先進安全装備に強みがあり、ノートは後席とラゲッジの広さ、e-POWER 4WDの走りやオーラの設定など、多彩なバリエーションを揃えているのが強みとなっている。
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