民間および行政(自治体)のサービスでは銀行口座のオンライン開設や各種申請時の本人確認をはじめ、マイナンバーカードの活用シーンが日増しに拡大している。その多くはマイナンバーカードをスマホで読み込めば完結する手軽なものばかり。中でも編集担当とライターが実際に試して利便性を感じた4つのサービスを紹介しよう。
民間編
LINEヤフー
対応サービス「Yahoo!ふるさと納税」
確定申告をせずとも寄附金控除が受けられる、ふるさと納税のワンストップ特例制度。期間内に寄附先の自治体へ申請書などの必要書類を提出することが唯一のストレスだったが、マイナンバーカードを使った本人確認で簡単に控除申請をすませられる。実際に試したところ、申請書類の懸念がなくなったことで、返礼品探しがこれまで以上に楽しくなった。
主な手順
「Yahoo!ふるさと納税」のサイトで好物の「天草市 天草産 デコポン 3kg」(1万3000円)を返礼品に選択。次に「Yahoo!ショッピング」アプリをダウンロードして開くと、寄付内容の確認ができる。マイナンバーカードをスマホで読み込めば寄附金控除の証明書を発行できる仕組みだ。すべてスマホで完結し、煩わしさは皆無だった。
みずほ銀行
対応サービス「インターネットで口座開設」
みずほ銀行の口座をオンラインで開設する場合、本人確認をマイナンバーカードですませられる。手続きは、Web画面の案内に従って、個人情報を入力していく流れ。途中に本人確認サービス「TRUSTDOCK(トラストドック)」のアプリをダウンロードし、マイナンバーカードをスキャンする必要がある。記入事項や確認事項は多いが、店頭での開設よりも労力は少なく感じた。
主な手順
銀行口座を店舗で開設する場合、本人確認書類や印鑑を用意して出向く必要がある。オンラインによる口座開設なら、必要なものは「TRUSTDOCK」で本人認証に使うマイナンバーカードのみ。申請時にキャッシュカードの種類なども選べる。銀行の店舗のように窓口の順番待ちもなく、24時間申請ができて便利だ。
行政編
文部科学省
対応サービス「e-Shien」
「e-Shien(高等学校等就学支援金オンライン申請システム)」とは、高校に通う生徒のうち、年収910万円未満の世帯であれば、行政が支援金を支給するシステム。同申請を行なう際に保護者がすべき「年収の入力・申告」を、マイナンバーカードがあればマイナポータル経由で簡単にすませられる。e-Taxで申告した情報が自動的に反映される仕組みだ。
主な手順
申請時には保護者の世帯収入を入力しなければならない。共働きの場合は世帯収入の計算が面倒だが、両者ともにマイナンバーに収入情報が反映されていれば、マイナンバーカードをスキャンするだけでOK。マイナンバーカードを不所持の際のように、申請状況をすぐに確認できずに不安を感じることもない。
地方自治体
対応サービス「書かない窓口」
利用者の申請書作成の負担を軽減する「書かない窓口」サービスが全国で広まっている。その利便性を体験すべく、東京都の中野区役所を取材。今回は、主に高齢者を対象に職員がマイナンバーカードを読み取って申請書を作成するサービスと、マイナンバーカードを申請書自動交付機に読み取らせて住所や氏名などを申請書に印字できるサービスを体験した。
主な手順
新庁舎3階にある「申請書作成支援システム」の窓口では、職員が本人に代わってマイナンバーカードの情報を読み取り、申請書を作成してくれる。手書きを苦手とする人も速やかに申請が進み、相談ごとがあっても対面ですぐに解決。一人当たりの応対時間は大幅に削減されたという。
新庁舎2階に設置された、申請書の自動交付機とプリンター。マイナンバーカードを専用リーダーにかざすことで、住所や氏名などの情報が転送され、申請書に直接プリントできる仕組み。あとは窓口に持参すればOKだ。主に転入/転出、住民票、印鑑証明などの手続きに利用されている。
活用できる範囲が多方面へと広がっているマイナンバーカード民間&行政サービス
公的な本人確認書類として利用できるマイナンバーカードにより、対面でしか行なえなかったこともオンラインで完結できるようになってきた。中でも、民間や行政(自治体)で始まっている身近な活用事例について紹介しよう。
民間サービス
日本通信
携帯電話のSIM回線契約時に活用!
手続きを開始する際は、まず日本通信のアプリをダウンロード。マイナンバーカードの署名用パスワードなどを入力し、スマホでマイナンバーカードを読み取れば本人確認は完了。個人情報を入力する必要もない。各種書類の発送を含めて申し込みの手間が激減する。
住宅金融支援機構
住宅ローン「フラット35」の収入情報提出に活用!
住宅を購入する際にローンを組む方法のひとつであり、借入時の金利が全期間変わらない固定金利として知られる「フラット35」。これの申請時にマイナンバーカードがあれば、自身の収入情報(課税証明書)をマイナポータル経由で簡単に取得できる。
三菱UFJ銀行
住宅ローン契約電子化システムに活用!
今まで住宅ローンの契約手続きは、銀行に出かけて契約書を書き、実印や収入印紙も必要だった。三菱東京UFJ銀行の「住宅ローン電子契約」なら、事前審査から借り入れまでオンラインで完結。電子署名には、マイナンバーカードのICチップを活用している。
行政(自治体)サービス
東京都
子育て支援制度「018サポート」の給付金受給などに活用!
「018サポート」は、都内在住の0歳から18歳までの子供たちに対して、1人当たり月額5000円を支給する、東京都が実施中の子育て支援制度。親子それぞれがマイナンバーカードを持っていれば、スマホのマイナポータルアプリから簡単に申請をすませられる。
富山県朝日町
公共サービスパス「LoCoPiあさひまち」に活用!
富山県朝日町ではマイナンバーカードを専用の読み取り機にタッチするだけで様々なサービスが受けられるシステム「LoCoPiあさひまち」を導入。活用例のひとつとして子供やシニアの見守りが挙げられるほか、地域通貨やチケット決済などの機能も備える。
奈良県奈良市
「図書受取ロッカー」による本の貸し借りに活用!
奈良県奈良市では利用者数の多い駅近辺に「図書受取ロッカー」を設置。Webサイトで借りたい本を予約し、受取場所に指定した「図書受取ロッカー」で本を借りられる。図書館貸出券として事前登録したマイナンバーカードでロッカーを利用できるのが便利!
取材・文/安藤政弘 撮影・編集/田尻健二郎
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