2024年6月21日に岸田首相が新しい経済対策を発表しています。
特に注目されているのは、低所得世帯へのエネルギー補助金と、秋に再支給される予定の給付金です。この給付金は、年金生活者や住民税が非課税の世帯が対象になります。
また、9月1日から、年金生活者向けに「年金生活者支援給付金請求書(はがき型)」が順次送られます。
この給付金は、所得が一定基準を下回る公的年金受給者を対象としています。
例えば、老齢基礎年金を受け取っている方は「老齢年金生活者支援給付金」や「補足的老齢年金生活者支援給付金」を受け取れる場合があります。
年金生活者支援給付金請求書(はがき型)
出所:日本年金機構「年金生活者支援給付金請求書(はがき型)が届いた方へ」
そこで今回は、この給付金の対象者や支給額の目安を確認していきます。
また、今のシニア世代の60代、70代、80代の年金受給状況や「厚生年金・国民年金」の平均受給額についても見ていきます。
さらに、「厚生年金・国民年金」の制度についても詳しく解説していきます。
1. 9月1日から請求書が順次送付「年金生活者支援給付金」対象者や申請方法は?
老齢年金年金生活者支援給付金について、まずは対象者をチェックしましょう。
【写真全4枚】1枚目/年金生活者支援給付金制度について、2枚目/年金生活者支援給付金の給付基準額一覧表
1.1 老齢年金生活者支援給付金の対象者
※1 障害年金・遺族年金等の非課税収入は除く
※2 77万8900円超87万8900円以下は「補足的老齢年金生活者支援給付金」が支給
上記の基準を満たしている方が対象となります。
次に、2024年度の給付額についても見てみましょう。
2. 【一覧表】2024年度の年金生活者支援給付金はいくら?
ここからは、2024年度の年金生活者支援給付金の給付基準額を見ていきます。
2.1 年金生活者支援給付金の給付基準額
年金生活者支援給付金の給付基準額
- 老齢年金生活者支援給付金(月額):5310円
ただし、支給額には個人差があります。これは、保険料の納付済期間によって金額が計算されるためです。
人によって受け取れる額が変わるので、自分がどのくらいもらえるのか、しっかり確認しておくことが大切ですね。
2.2 老齢年金生活者支援給付金の給付額の計算方法
月額5310円をもとに保険料納付済期間等に応じて算出し、①と②の合計額になります。
- ①保険料納付済期間に基づく額(月額) = 5310円 × 保険料納付済期間※1 / 被保険者月数480月※3
- ②保険料免除期間に基づく額(月額) = 1万1333円※2 × 保険料免除期間※1 / 被保険者月数480月※3
なお、前年の年金収入額とその他の所得額の合計が77万8900円超87万8900円以下の方の場合、①に一定割合を乗じた「補足的老齢年金生活者支援給付金」が支給されます。
次に、2024年度の老齢年金生活者支援給付金の給付金額の早見表をチェックしてみましょう。
2024年度の給付額早見表:老齢年金生活者支援給付金
出所:公益財団法人生命保険文化センター「老齢年金生活者支援給付金について知りたい」
保険料の納付期間が480ヶ月(40年)ある方は、月額で5310円が支給されます。
これに2024年度の老齢基礎年金の月額6万8000円を足すと、合計で7万3310円になります(68歳以下の方の場合)。
3. 【厚生年金】「60歳代・70歳代・80歳代」の平均年金月額はいくら?一覧表で見る
さて、年金生活者支援給付金についてはお伝えしましたが、実際にシニアの皆さんがどれくらいの年金を受け取っているか。
特に今の60歳代、70歳代、80歳代の方々は、毎月どのくらいの年金を受け取っているのかを見ていきます。
3.1 【60歳代】厚生年金の平均月額一覧
60歳代の厚生年金額
出所:厚生労働省年金局「令和4年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」をもとにLIMO編集部作成
- 60歳:厚生年金9万4853円
- 61歳:厚生年金9万1675円
- 62歳:厚生年金6万1942円
- 63歳:厚生年金6万4514円
- 64歳:厚生年金7万9536円
- 65歳:厚生年金14万3504円
- 66歳:厚生年金14万6891円
- 67歳:厚生年金14万5757円
- 68歳:厚生年金14万3898円
- 69歳:厚生年金14万1881円
3.2 【70歳代】厚生年金の平均月額一覧
70歳代の厚生年金額
出所:厚生労働省年金局「令和4年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」をもとにLIMO編集部作成
- 70歳:厚生年金14万1350円
- 71歳:厚生年金14万212円
- 72歳:厚生年金14万2013円
- 73歳:厚生年金14万5203円
- 74歳:厚生年金14万4865円
- 75歳:厚生年金14万4523円
- 76歳:厚生年金14万4407円
- 77歳:厚生年金14万6518円
- 78歳:厚生年金14万7166円
- 79歳:厚生年金14万8877円
3.3 【80歳代】厚生年金の平均月額一覧
80歳代の厚生年金額
出所:厚生労働省年金局「令和4年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」をもとにLIMO編集部作成
- 80歳:厚生年金15万1109円
- 81歳:厚生年金15万3337円
- 82歳:厚生年金15万5885円
- 83歳:厚生年金15万7324円
- 84歳:厚生年金15万8939円
- 85歳:厚生年金15万9289円
- 86歳:厚生年金15万9900円
- 87歳:厚生年金16万732円
- 88歳:厚生年金16万535円
- 89歳:厚生年金15万9453円
※65歳未満の厚生年金保険(第1号)の受給権者は特別支給の老齢厚生年金の定額部分の支給開始年齢の引上げにより報酬比例部分のみのもの
※いずれも国民年金部分を含む
厚生年金の平均月額は14~16万円ほどです。
ただし、これは会社員や公務員などが加入するもので、国民年金に上乗せされる形です。
また、厚生年金の保険料は収入に応じて変わりますし、加入期間にも個人差があります。
自分がどれくらいもらえるのか気になる方は、ぜひ「ねんきん定期便」や「ねんきんネット」でチェックしてみてくださいね。
4. 【国民年金】「60歳代・70歳代・80歳代」の平均年金月額はいくら?一覧表で見る
同資料から、国民年金の平均受給額について確認していきます。
4.1 【60歳代】国民年金の平均月額一覧
60歳代の国民年金額
出所:厚生労働省年金局「令和4年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」をもとにLIMO編集部作成
- 60歳:国民年金4万2616円
- 61歳:国民年金4万420円
- 62歳:国民年金4万2513円
- 63歳:国民年金4万3711円
- 64歳:国民年金4万4352円
- 65歳:国民年金5万8070円
- 66歳:国民年金5万8012円
- 67歳:国民年金5万7924円
- 68歳:国民年金5万7722円
- 69歳:国民年金5万7515円
4.2 【70歳代】国民年金の平均月額一覧
70歳代の国民年金額
出所:厚生労働省年金局「令和4年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」をもとにLIMO編集部作成
- 70歳:国民年金5万7320円
- 71歳:国民年金5万7294円
- 72歳:国民年金5万7092円
- 73歳:国民年金5万6945円
- 74歳:国民年金5万6852円
- 75歳:国民年金5万6659円
- 76歳:国民年金5万6453円
- 77歳:国民年金5万6017円
- 78歳:国民年金5万5981円
- 79歳:国民年金5万5652円
4.3 【80歳代】国民年金の平均月額一覧
80歳代の国民年金額
出所:厚生労働省年金局「令和4年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」をもとにLIMO編集部作成
- 80歳:国民年金5万5413円
- 81歳:国民年金5万5283円
- 82歳:国民年金5万7003円
- 83歳:国民年金5万6779円
- 84歳:国民年金5万6605円
- 85歳:国民年金5万6609円
- 86歳:国民年金5万6179円
- 87歳:国民年金5万6030円
- 88歳:国民年金5万5763円
- 89歳:国民年金5万5312円
※65歳未満の国民年金の受給権者は繰上げ支給を選択したもの
国民年金の平均受給額は、5万円台となっています。
5. 「年金生活者支援給付金」対象かどうかは確認を!
今回はこの給付金のことや、60歳代、70歳代、80歳代の年金事情について見てきました。
厚生年金や国民年金は大事な老後資金ですが、少子高齢化が進む中で、今後も同じ金額がもらえるかどうかはわかりません。
一方、最近では「iDeCo」や「NISA」など、税制優遇を活用しながら資産運用をする仕組みが充実してきています。特に現役世代の方々にとっては、こうした制度をうまく利用して、貯金だけでなく、資産を育てていくことが大切かもしれません。
もちろん、投資にはリスクがつきものですが、長期的に少しずつ積み立てることで、そのリスクも分散できます。
老後にどれくらいお金が必要かを考えて、そのために今どんな対策をとるか。計画的に考えることで、ゆとりあるセカンドライフを迎えられるでしょう。
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