前立腺がんの罹患率が年々増えている一方で、早期発見できれば10年生存率がほぼ100%というデータもあります。そのカギを握るのがPSA検査です。では、具体的にいつ、どこで受ければいいのか? その重要性と現実的な活用法について、「かしわ腎泌尿器クリニック」の岸本先生に伺いました。
編集部
今後、「PSA検査」の重要性は高まっていくと思われますか?
岸本先生
検査の実施割合が83.0%にまで増加した各自治体の判断を見ると、そう言えるでしょう。加えて、国立がん研究センターが、5年生存率・10年生存率の各データを公表したことも大きいですよね。検査を受ける “意義”が示されていると思います。
編集部
「PSA検査」に保険は適用されるのでしょうか?
岸本先生
何かしらの自覚症状があれば、適用される場合もあります。仮に自費でも、おおむね3,000円程度でしょう。自治体によっては、無料の実施や費用負担をしてくれます。
編集部
何歳くらいになったら受けたほうがいいですか?
岸本先生
50歳がひとつの目安です。この年代に差しかかると、罹患率が急増すると、統計的に把握できています。仮に陰性でも、継続して毎年、受けていただきたいですね。
編集部
その場合、やはり泌尿器科を受診すべきでしょうか?
岸本先生
「PSA検査」自体は、多くの医療機関が扱っています。最寄りのクリニックなどでも構わないでしょう。その判定や評価は泌尿器科の専門医に回され、我々がおこなっていますので、ご安心ください。
編集部
最後に、読者へのメッセージがあれば、お願いします。
岸本先生
「前立腺がんの罹患者数増加」は、必ずしもネガティブなことではないと思います。それだけ、救える命が多くなったとも捉えられるでしょう。進行度合いによっては10年生存率が100%ということですから、怖がらずに「PSA検査」を受けてみてください。予後の悪いがんでは決してありません。
※この記事はメディカルドックにて【「前立腺がんの罹患者(りかんしゃすう)数が1位になりそう」なのはどうして?】と題して公開した記事を再編集して配信しており、内容はその取材時のものです。
この記事の監修医師
岸本 幸一 医師(かしわ腎泌尿器クリニック)
東京慈恵会医科大学卒業。国立西埼玉中央病院勤務をはじめ、東京慈恵会医科大学および同大系列病院の泌尿器科教授、泌尿器科部長、副院長などを歴任。2018年には、千葉県柏市内に「かしわ腎泌尿器クリニック」を開院。人の思いに共感し、ともに歩む、「融和」をモットーとしている。医学博士。日本泌尿器科学会、日本低温医学会の各会員。
コメント