資金収支報告書をデータベース化して企業献金の実態に迫った (写真:ニングル/PIXTA)
企業や団体から政党への献金は、実態が見えにくい。とくに「献金する側」についてはそうだ。可視化するには、膨大な「紙データ」の解析が必要で、大手報道機関でも難しいと言われてきた。だが今春、ITを用いてこのハードルを超えるシンクタンクが現れた。
西田尚史氏が代表を務めるシンクタンク「政策推進機構」がまとめたデータから、企業や業界団体の側の献金動向をさらに掘り下げ、献金額ランキングなどを見ていく。
大半は「小口」の献金
西田氏がまとめたデータによると、2023年に主要5政党側に支部を含めて献金をしたのは、全国の1万1155の企業や団体。献金総額49.6億円。その内訳を詳細に見ると、1企業・団体当たりの年間献金額の多寡や、献金額帯ごとの企業数の分布が見えてきた。
年間献金額が1000万円以上の企業や業界団体は69あった。献金企業や団体の1%にも満たないが、金額ベースで見るとこれらだけで、献金総額の3割(約16億円)を占めている。
献金額が1000万円未満の企業や団体の数の分布を見ると、100万円以上1000万円未満が529、50万円以上100万円未満が497、10万円以上50万円未満が7540、10万円未満が2520だった。
大きな額を献金しているのは一部の企業や業界団体で、大半は年間献金額50万円未満の「小口」である実態が浮かぶ。
こちらの記事の通り、企業や団体の献金先の97%(金額ベースでは96%)は自民党だ。そのことを踏まえると、自民党が「大口」だけでなく、毛細血管を張り巡らせるかのように全国から「小口」の献金も広く薄く集めている実態が今回のデータから浮かび上がる。
さらに、今回、献金額の多い順にランキングを作成した。献金が額200万円以上の303企業・団体を掲載している。結果を見ていこう。
1位は自動車メーカーら14社でつくる日本自動車工業会で、献金額は7800万円だった。
2、3位にも業界団体が続き、2位の日本電機工業会は7700万円、3位の日本鉄鋼連盟は7000万円献金していた。
4位は、企業2社と業界団体の計3者が5000万円で並んだ。企業はトヨタ自動車、住友化学の2社、業界団体は石油連盟だった。
10位には、経営再建のため2万人の人員削減を含むリストラ策を公表した日産自動車が入った。献金額は3700万円だった。
本記事はダイジェスト版です。11位以下のランキングを掲載した詳報記事は「東洋経済オンライン」のサイト上でご覧いただけます。
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