【コメ高騰問題】 「泣いて江藤を斬る」ができずに評価が急降下の自民党大物議員とは

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野党も攻めあぐねている

 江藤拓前農水相の「コメは買ったことはありません」失言と更迭。その後継となった小泉進次郎氏が「コメ担当相」として持ち前の発信力を活かしてアピールを続け、今や政権の救世主のような存在と化している。

 永田町の動きは目まぐるしいものがあるが、今回の騒動で大きく評価を下げた自民党の大物がいるという。

「“このまま何もなければ内閣支持率は上昇して行きそうな気配があっただけに江藤氏の発言はショックだった”と、さる官邸幹部は語っていました。石破内閣で閣僚の更迭は初で、その意味ではこれまでよく持ちこたえてきたというかラッキーだったというか、そんな感じではありますが」

 と、政治部デスク。

「それでも後継となった小泉氏の活躍が良い具合にメディアに取り上げられ、野党も攻めあぐねている中で“ひと段落ついた”とその幹部は言っていました」(同)

ちょっとしたドラマ

 小泉氏は環境相時代の2023年、処理水の海洋放出に伴う風評被害や日本産海産物の輸入停止を続ける中国を念頭に、福島県に出向いてサーフィンや地元産の魚を味わったりした。今回も備蓄米の食べ比べを行って素直な感想を述べ、そのシーンが何度もメディアで報じられた。

「パフォーマンスと断じられるような“ベタな”ことでも小泉氏がやると嫌みにならずさわやかで画にもなる。天性のものでしょうね。小泉氏が入閣する前には“政権が参院選まで持つか否か”がテーマになっていましたが、現在は“とりあえず参院選までは持ちそうだ”という空気になりました。前任者の更迭という災いがありながら、転じて福となす、の例と言ってよいかもしれません」(同)

 一連の交代劇については、ちょっとしたドラマがあったという。

「江藤氏自身、当初は発言の撤回すらしないスタンスでした。それがどんどん追い詰められる中で撤回を余儀なくされたわけですが、辞める必要はないとの思いはずっとあったようです」(同)

石破茂、林芳正

江藤氏は選対責任者を務め

 その姿勢を支えたのが、林芳正官房長官とされる。

「林氏が去年9月の総裁選に出馬するにあたって、江藤氏は選対責任者を務めました。石破茂氏が首相・総裁に選ばれて組閣をする際、内閣の骨格となる官房長官を林氏が前政権から横滑りで務めることが内定し、それを踏まえたうえで林氏は江藤氏の処遇を求めたとされています。総裁選で汗をかいてくれたことに報いるという意味からでしょう」(同)

 林氏の思惑通り、江藤氏は農水相として処遇された。

「江藤氏が失言をした後、林氏自身、“辞めることはない”とのスタンスだったようです。総裁選を中心となって手伝ってくれた、という情から判断が鈍ったのか、もともと鈍い判断力の持ち主だったのかで言うと前者だったと見られています。江藤氏に対して“借り”がなければもう少し厳しく冷静な判断ができたのではないかということですね。江藤氏の失言後すぐに更迭の進言を石破氏にしなかったのは事実のようで、その点から林氏は評価を下げたと指摘されています」(同)

泣いて馬謖を斬る

石破茂、林芳正

 苦しい総裁選を支えてくれた人物を、掌を返すように切ることはできなかったという意味では人情味を感じさせるエピソードではある。

 しかし、そもそも失言が問題視された背景には、遅々として進まないコメ高騰問題への対応の評判の悪さがあった。もともと国民の間で江藤氏への不満が溜まっている状況の中、江藤氏が自ら火をつけたから大事になったわけで、決して失言だけが問題視されたのではない。

 最終的な成果は不明ながら、大臣が交代した途端、スピード感が増したと感じる人が大多数なのは言うまでもないだろう。

「親中派」として知られる林氏。冷静に状況を判断すれば、三国志にならい、「泣いて馬謖を斬る」がごとく、「率先して江藤氏を辞めさせるべきだった」との声も根強くあるようだ。

林芳正


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