ロシアのプーチン大統領は20日、ロシア人とウクライナ人は「一つの民族」で、「その意味ではウクライナ全体は我々のものだ」と語り、ウクライナ侵略を改めて正当化した。露国境に位置するウクライナ北東部スムイ州の州都スムイの制圧を排除しない考えを明らかにし、支配地域の拡大を目指す意向を示した。
露西部サンクトペテルブルクで開かれた国際経済フォーラムの本会議で、司会者に露軍がどこまで侵攻するのかを問われ、答えた。
露軍は露西部への攻撃を防ぐ名目で「緩衝地帯」を作るとし、スムイ州内で実効支配する地域を拡大中だ。州都までは約20キロ・メートルに迫っているとされる。プーチン氏はスムイ制圧について「任務はないが、原則として排除しない」と言明した。「露軍兵士が足を踏み入れた場所は、すべて我々のものだ」とも強調し、露軍の支配下になった地域の放棄をウクライナ側に求めた。
これに対し、ウクライナのアンドリー・シビハ外相はSNSへの投稿で「米国の平和に向けた努力を完全に 軽蔑けいべつ した」と非難。「更なる占領と、より多くのウクライナ人の殺害を議論している」と反発した。
ウクライナは、ロシアがウクライナ南・東部4州などの併合を一方的に宣言したのは違法だと訴えているほか、ロシア人とウクライナ人が「一つの民族」との露側の主張も否定している。
ロシアとウクライナは5月と6月に2回、和平に向けた高官級協議を開いたが、露側が即時停戦を拒否し、成果は捕虜交換などにとどまっている。
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