親の死後“実家を放置”していたら、固定資産税が「年10万→60万円」に!? どうしてそんなに高くなったの? 理由と「知っておきたい対策」を解説

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実家を相続したのはいいけれど、使い道がなくて空き家のままになっているケースがあります。しかし、放置しておくと固定資産税が最大6倍になるリスクがあります。多額の支払いをしなくて済む方法はあるのでしょうか。
本記事では、空き家を放置した場合に固定資産税が上がる仕組みや、負担を抑えるための対策について解説します。

空き家を放置すると、固定資産税が6倍になる仕組み

固定資産税は、土地や建物にかかる税金です。住宅用地の特例により、住居が建っている土地の固定資産税は、本来であれば図表1のように減税されます。
図表1

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国土交通省 土地の保有に係る税制 より筆者作成
しかし、住宅を空き家のまま放置しておくと、自治体の調査によって「特定空き家」や「管理不全空き家」に指定されてしまい、住宅用地の特例措置を受けられなくなる可能性があります。国土交通省が示す「特定空き家」は、以下の状態にある住居です。


●そのまま放置すれば倒壊等著しく保安上危険となるおそれのある状態
●そのまま放置すれば著しく衛生上有害となるおそれのある状態
●適切な管理が行われていないことにより著しく景観を損なっている状態
●その他周辺の生活環境の保全を図るために放置することが不適切である状態

そして「管理不全空き家」は、そのまま放置すれば特定空き家に該当するおそれのある空き家のことを指します。
「特定空き家」や「管理不全空き家」に指定され、市区町村から勧告を受けた場合、住宅用地の特例を受けられないため、固定資産税評価額がそのまま課税標準となります。つまり、本来は1/6で済む税金の支払いが6倍に跳ね上がるということです。

空き家対策3選とそれぞれのメリット・デメリット

空き家は「解体費用をかけたくない」「将来自分や親族が使うかもしれない」などの理由で放置されがちです。
とはいえ、どうすればいいのかと悩んでいる人も多くいることでしょう。ここでは、空き家対策として以下の3つを取り上げます。


●空き家バンクを利用する
●賃貸経営を行う
●建物を売却する

それぞれの概要やメリット・デメリットをまとめたものが、図表2です。
図表2

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国土交通省 空き家やその敷地を売る・貸す際に活用できる制度 などより筆者作成
費用面での負担を抑えたいなら、空き家バンクを利用するといいでしょう。情報を無料で掲載しつつ、希望者との直接交渉で売却金額が決められるからです。手間を省きたいなら、建物をそのまま売却しましょう。交渉や契約等に大きく時間を割くことがないためです。

困ったときに相談できる機関

空き家の処理に困った際は、以下のような相談窓口に問い合わせるのも手です。


●NPO法人空家・空地管理センター:累計相談件数1万3000件以上の実績
●アキサポ:情報発信力が高く、専門コラムが充実
●日本空き家サポート:テレビや新聞、雑誌などのメディア出演実績あり

いずれも専門家が対応してくれる機関であるため、どうしたらよいか悩んだときには、無料相談や資料請求をしてみるといいでしょう。

まとめ

空き家をそのまま放置すると「特定空き家」や「管理不全空き家」に指定され、住宅用地の特例措置を受けられなくなる場合があります。
その結果、固定資産税の支払いが最大で6倍に増えてしまいます。特例を受けていた時点での固定資産税が10万円だった場合、「特定空き家」や「管理不全空き家」に指定されると、支払額が60万円になるということです。
そうなる前に、空き家バンクを利用したり建物を売却したりするなど、家族と相談した上で将来的な負担を回避しましょう。

出典

国土交通省 土地の保有に係る税制
国土交通省 管理不全空家等及び特定空家等に対する措置に関する適切な実施を図るために必要な指針(ガイドライン)
国土交通省 空き家やその敷地を売る・貸す際に活用できる制度
執筆者 : 舟山こうた
FP2級、小学校一種免許

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