「毎月なんとか生活はできているけれど、貯金もできず、将来が不安……」そんな悩みを抱えている方は少なくありません。特に、年収250万円ほどの収入で単身生活をしていると、家賃や光熱費、食費などの基本的な支出でほとんどの収入が消えてしまうことも。
そこで気になるのが「生活保護」という制度です。しかし、年収が一定以上あると、生活保護は受けられないという声も。今回は、年収250万円の生活実態と、生活保護の受給条件について分かりやすく解説します。
年収250万円は生活保護の対象になる?
厚生労働省の被保護者調査(令和6年7月分概数)によると、現在被保護世帯数は165万4044世帯ありますが、生活保護の受給可否を決めるのは、単に年収の金額だけではありません。
基本的には「最低生活費を下回る収入かどうか」がポイントです。最低生活費は住んでいる地域や世帯の人数によって異なります。たとえば、東京都23区で単身世帯の場合、生活保護基準による最低生活費は月約13万円とされます。これを年換算すると約156万円です。
ただし、年収がこの額を下回っていても、資産や親族の支援、働けるかどうかなど他の条件も審査されるため、必ずしも受給できるとは限りません。
一方、年収250万円の場合、月収は約20万8000円(250万円 ÷ 12ヶ月)になります。これは最低生活費を大きく上回っているため、基本的には生活保護の受給対象外となります。
もちろん、住宅ローンや医療費など個別の事情も審査で考慮されますが、収入が最低生活費を大きく上回る場合、基本的には「生活可能」と判断されます。ただし、それだけで受給が認められることはまれです。
生活保護以外に利用できる制度とは?
生活保護を受けられないからといって、すぐに生活が安定するわけではありません。そこで検討したいのが、ほかの公的支援制度です。
たとえば、住居確保給付金や、ひとり親世帯向けの各種手当、医療費助成制度、就労支援制度など、生活をサポートする制度は複数あります。生活保護ほどの直接的な現金支給ではないものの、こうした制度を活用することで、支出を減らし、生活の安定につなげられます。
また、職業訓練やスキルアップ講座など、収入を増やすための支援も用意されています。生活がギリギリだからこそ、余裕がないと感じる方も多いと思いますが、公的支援は困ったときのために用意された制度です。遠慮せずに地域の福祉事務所やハローワークなどに相談してみましょう。
生活保護を受けるためのその他の条件とは?
生活保護は「困っている人なら誰でも受けられる」というわけではありません。収入以外にも、以下の条件を満たす必要があります。
・貯金や不動産などの資産を持っていないこと
・働ける能力がある場合は、最大限に活用していること
・年金や失業給付など、ほかに使える制度をすべて利用していること
・親族などから援助が受けられないこと
ただし、扶養が期待できない場合や特別な事情がある場合は、扶養照会が行われないこともあります。
これらの条件をクリアしたうえで、なおかつ収入が最低生活費を下回っている場合に、生活保護の対象となります。つまり、生活保護は「本当に生活に困っている人の最後のとりで」として位置づけられているのです。
生活が苦しいときは早めの相談を
年収250万円での生活が厳しいと感じている方は多いですが、生活保護を受けるには「最低生活費以下の収入」であることが大前提となります。東京都などの都市部に住んでいても、年収250万円は最低生活費を上回るため、基本的には生活保護を受けることは難しいでしょう。
しかし、生活保護以外にも利用できる支援制度は数多くあります。まずは地域の福祉事務所や支援窓口に相談し、利用可能な制度を確認してみることが大切です。
「制度を知らなかったために使えなかった」ということがないように、早めの情報収集と行動を心がけましょう。生活の見直しや支援制度の活用によって、今より少しでも安心できる生活を目指すことは十分可能です。
出典
厚生労働省 被保護者調査(令和6年7月分概数)
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
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