霧島川の水質を調査する県職員=15日、霧島市隼人
鹿児島、宮崎両県にまたがる新燃岳の噴煙が2800メートルまで上がり、霧島市内に多量の火山灰が確認されてから、16日で2週間がたった。火山活動が続く中、降灰の影響で濁った農業用水の取水を止めたり、茶葉を洗って灰を落としたりするなど、農業関係者らは対応に追われている。
市耕地課によると、霧島川にある同市霧島田口の横岳頭首工や東頭首工は14日時点で取水を止めている。霧島川下流の同市隼人の小鹿野堰は、管理する同市国分土地改良区が10日夕方から取水を停止、15日朝に再開した。小鹿野堰からは隼人や日当山、国分地区の約307ヘクタールの田んぼが水を引いている。谷口誠一事務局長(58)は「田植えが終わっていない田んぼもある。今後も定期的に濁りの状況を確認し用水路の清掃もしていきたい」と話した。
同市隼人の天降川と霧島川との合流地点では15日、霧島天降川漁業協同組合の中村博文組合長(72)の案内で県職員らが水質を調査した。天降川水系は、国内有数のアユの産地。中村組合長によると、噴火が長引けば産卵期に重なる可能性がある。「雨が降るたびに灰で濁る。アユのえさになる川底のコケも灰がかぶさっていて見えない」と不安げに川面を見つめた。
市農政畜産課によると、降灰で農作物が収穫できなくなる被害は確認されていない。一方、降灰があった同市牧園町万膳の茶畑は二番茶の収穫期。抹茶の原料となるてん茶を製造する霧島中央製茶では、摘み取った茶葉を全て洗浄機で水洗いしている。
同社の東福健治社長は「積もった時期は、少しの風でも粒子の細かい灰が巻き上がり大変だった。雨でかなり流れたが、20日ごろ二番茶が終わるまで洗浄は続ける」と語った。
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