アリエフ氏=ロイター
旧ソ連構成国アゼルバイジャンのイルハム・アリエフ大統領は、昨年12月に発生したアゼルバイジャン航空の旅客機墜落について、ロシアを国際司法機関に提訴する方針を示した。アリエフ氏は、ロシアの侵略を受けるウクライナには「降伏するな」と呼びかけており、アゼルバイジャンとロシアの関係は悪化の一途をたどっている。
旅客機は、アゼルバイジャンの首都バクーから露南部チェチェン共和国のグローズヌイへと飛行中に、露軍による防空ミサイルの誤射で撃墜されたとの見方が強まっている。プーチン露大統領は謝罪したが、露側は原因を明確にしていない。
ロシア通信によると、アリエフ氏は19日、自国で開かれたフォーラムで、露側の回答は「調査継続」のみだと非難。国際司法機関への提訴を準備中だと露側に通達したと説明した。
アリエフ氏は、ウクライナ侵略でも対露批判を鮮明にしている。フォーラムでウクライナ記者の質問に対し、「(ロシアに)降伏すべきでない」「占領に決して同意しない。これが最大の助言だ」と強調した。
アゼルバイジャンは3月、隣国で旧ソ連構成国のアルメニアと長年にわたる紛争の終結に向けた和平条約文書で合意したと発表した。両国の和平協議はロシアも協力を模索してきたが、アリエフ氏が謝意を示したのは、プーチン氏ではなくトランプ米大統領の関与に対してだった。対露関係の険悪化を反映したものとみられ、ロシアのある軍事ブロガーは19日、SNSに「アゼルバイジャンは現在、ロシアにとって地政学上の敵だ」と投稿した。
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