ロシアが遂に「がんワクチン」開発に成功か…60~80%で症状改善、最新発表の「意味」を専門家に聞く | きばいやんせ!鹿児島

ロシアが遂に「がんワクチン」開発に成功か…60~80%で症状改善、最新発表の「意味」を専門家に聞く

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<ロシアが最新情報を明かしたワクチン「エンテロミクス(Enteromix)」は、実用化まであとどれくらいかかるのか?>

ロシアが開発を進めてきた、がんワクチン「エンテロミクス(Enteromix)」が、前臨床試験を完了し、安全性と高い有効性が確認されたと発表された。

ロシア連邦医学生物庁(FMBA)のトップ、ヴェロニカ・スクヴォルツォワ氏が9月6日、ウラジオストクで開かれた東方経済フォーラム(EEF)で成果を明らかにしたと、ロシアの国営通信TASSは報じている。

スクヴォルツォワ氏によれば、「研究には数年を要し、直近の3年間は義務づけられた前臨床試験に充てられた」という。既にワクチン実用化の準備は整っており、「あとは正式な承認を待つのみ」と述べた。また同氏は、繰り返し投与しても安全性に問題がなく、有効性が高いことを強調した。

研究チームは、腫瘍の大きさが縮小し、進行のスピードが抑えられる効果を確認。効果の程度は疾患の特性によって異なるが、60〜80%の範囲で改善が見られたという。また、ワクチンによって生存率が向上する可能性も示された。

一部メディアは、前臨床試験で「100%の有効性」が確認されたと報じているが、本誌はこの主張を独自に検証できていない。TASSによると、このワクチンはまず大腸がんを主な対象として実用化が進められる見通しだ。

FMBAによれば、進行が早く治療が難しい脳腫瘍・膠芽腫(グリオブラストーマ)や、眼内を含む特定のタイプのメラノーマに対しても、ワクチン開発が「有望な進展」を見せており、現在「開発の最終段階」にあるという。

本誌は、英インペリアル・カレッジ・ロンドンの臨床科学者で、腫瘍内科医のデイヴィッド・ジェームズ・ピナト氏(Dr. David James Pinato)に、このワクチンに対する見解を尋ねた。

ピナト氏は、「公開されているデータの質が不明確なため、ロシアのがんワクチンが現在、開発のどの段階にあるのか、科学的な観点からは正確に把握できない」と語っている。

ピナト氏は、前臨床試験とは通常、動物実験を指すため、有効性を確認するには今後人間でのさらなる試験が必要になると説明した。

「仮に、動物実験で100%の有効性が得られたとしても、それだけでは何の意味もない」と同氏は指摘する。「なぜなら、こうしたワクチンの試験に使われるマウスなどの動物モデルの免疫系は、人間のがんゲノムや免疫システムの複雑さを再現していないことが多いからだ」

さらにピナト氏は、「もしこれが本当に前臨床レベルの結果であれば、興味深く、将来的に薬剤開発につながる可能性はある」と評価しつつも、「現時点では臨床使用を支持できる段階にはない」と慎重な姿勢を示した。

ピナト氏は、一部メディアでワクチンが第I相試験に入っているとの報道があることについても言及。「第I相試験とは、薬剤を初めて人間に投与する段階で、安全性を確認することが目的であって、有効性を判断するものではない」と説明した。

さらに、ワクチンが「使用可能な状態にある」という報道に関しては、「仮に現在、前臨床の終盤あるいは臨床試験の初期段階だとすれば、これらの主張は非常に踏み込んだものであり、これが本当に『ゲームチェンジャー』だと断言するには時期尚早だ」と指摘した。

そのうえで、「もし動物試験が完了しているのであれば、まず最初に認可される可能性があるのは、研究環境での臨床試験への使用であり、医療現場での使用では決してない」と強調した。

ピナト氏は、自身の見解が限られた情報に基づいていることを前提に話している。

「この治療法がどのくらいの期間テストされてきたのか、どこでその結果が発表されたのか、結果に対する査読が行われたのか、この技術は本当に人間に適用される見通しがあるのか――そうした点について明確な情報はほとんど見つけられなかった」

ロシアには他の地域とは異なる規制体系があることを認めたうえで、こう続けた。「私には十分な情報がなく、現在の主張は内容の割にやや過剰な印象を受ける」

なお本誌は、FMBAおよびロシア保健省傘下の国立医療放射線研究センター(NMRRC)に対し、取材を申し入れている。

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