米国やオーストラリア、韓国など環太平洋の先進国・地域で中国本土への渡航や滞在の「危険情報」が「レベルゼロ」は日本だけであることがわかった。中国・深圳の日本人学校男児刺殺事件を受け、国会議員などからもレベル引き上げの声が上がっている。
各国・地域の公式サイトによると、米国は4段階のうち上から2番目のレベル3で、「渡航の再考」を求めている。それ以上の危険レベルは「渡航禁止」のみだ。米国務省は「中国国内で、中国政府による米国民への不当な拘束の危険が存在する」と認定している。
台湾は今年6月に4段階のうち上から2番目のレベル3に引き上げており、「不必要な渡航を避けるよう勧める」としている。
また、カナダ、オーストラリア、ニュージーランドは4段階のレベル2。韓国も4段階のレベル1としており、環太平洋先進各国・地域でレベルゼロなのは日本のみという状況だ。
一方、G7各国では英仏独伊の欧州4カ国は、中国について警戒レベルを上げていない。
外務省の危険情報は、日本人の渡航・滞在について特に注意が必要な国・地域について公表。レベル1「十分注意」からレベル2「不要不急の渡航自粛」、レベル3「渡航中止勧告」、レベル4「退避勧告」まで計4段階ある。
6月の蘇州での日本人母子切りつけ事件や深圳の日本人児童刺殺事件後も危険度は上げておらず、新疆ウイグル、チベット両自治区を除き「レベルゼロ」のまま。深圳の事件で男児が死亡した今月19日、「スポット情報」で「特にお子さん連れの方は、十分注意して行動してください」などと呼びかけただけだ。
外務省は「現段階では見直しの検討はしていないが、中長期的な観点から総合的に判断する」としている。
衆院議員の松原仁元拉致問題担当相(無所属)は「中国で暮らす日本人は反日教育のリスクを抱えている。今回の事件を日本が危険情報を引き上げる理由に挙げることで、習近平体制に対応の改善を促すべき」と主張している。
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