父の年金は「月25万円」だそうですが、平均よりもらっているほうですか? 専業主婦だった母と2人暮らしで、そこまで“余裕”はないようですが…

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両親が年金生活の場合、もらっている年金額が世間的に多いのか少ないのか、よく分からない人も多いでしょう。特に、普段から他の人よりも多くの年金をもらっていると自慢している一方で、生活がそこまで楽そうではない様子を目にすると、「本当に他の人よりも多くもらっているの?」と疑問に思うこともあるかもしれません。
本記事では年金を毎月25万円もらっている人がどれくらいいるのか、また夫の月額25万円と専業主婦だった妻の年金受給額を合わせた生活水準がどの程度なのかを解説します。

年金制度は2階建て

日本の公的年金制度は国民年金(基礎年金)と厚生年金の2階建ての構造です。会社員や公務員は国民年金と厚生年金の両方に加入し、老後は老齢基礎年金と老齢厚生年金を受け取ります。
また、会社員経験がなく、ずっと専業主婦だった妻の場合、老後は老齢基礎年金のみを受け取ることになります。

年金を月25万円もらっている人はかなり少ない

老後に年金を月額25万円もらっているというのは、どの程度の水準なのでしょうか。老後にもらえる年金受給額は夫婦の働き方や収入などによって異なります。
厚生労働省の「令和4年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」によると、老齢基礎年金を含む老齢厚生年金の男性の平均受給額は16万3875円です。そして、月額で25万円以上もらっている男性はわずか2%ほどしかいません。
月額で25万円の年金を受け取るというのは、自慢できるだけの水準といえるかもしれません。

専業主婦の妻の年金と合わせた収入でも老後の生活は必ずしも楽ではない

父親の年金受給額が上位2%だと、かなり優雅な暮らしができると思う人もいるでしょう。ただし、実際には生活が楽ではない場合もあります。
まず夫婦として世帯でもらう年金額を考えましょう。仮に妻に社会人経験がない場合、妻は老後に老齢基礎年金のみしか受給できません。老齢基礎年金の女性の平均受給額は月額5万4426円です。
この金額を基準とすると、夫の25万円と合わせ、この夫婦が世帯としてもらえる年金は月額で約30万円ほどです。
総務省統計局の「家計調査報告(家計収支編)2023年(令和5年)平均結果の概要」によると、65歳以上の夫婦のみの無職世帯の平均的な支出は月額28万2497円です。
夫婦で30万円の年金受給額があれば、約2万円の余裕があるので、生活が安定しているという世帯もあるでしょう。ただし、この支出はあくまでも「平均」ですので、全ての家庭に当てはまるものではありません。
特に同調査で算出されている住居費については、持ち家も含まれるため月額1万6827円となっています。都心部では家賃が10万円前後することも珍しくなく、支出が30万円を超えるケースもあると考えられるからです。夫婦の年金が30万円で他に収入がなかったり、貯蓄も少なかったりする場合、月30万円の収入では生活に余裕がないことも少なくないでしょう。

まとめ

年金を月額で25万円以上もらっている人はかなり少なく、自慢できる水準といえるかもしれません。とはいえ、支出や妻の年金額を考慮すると、意外と生活に余裕がない場合もあります。
年金暮らしの両親の生活が気になる場合、具体的な収入や支出を聞き、必要があればできる範囲のサポートを検討しましょう。

出典

厚生労働省 令和4年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況
総務省統計局 家計調査報告(家計収支編)2023年(令和5年)平均結果の概要
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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