ロシアのプーチン大統領は2日、欧州諸国に対し、ロシアは欧州大陸での戦争に「準備ができている」だけでなく、開戦すれば「和平交渉を行う相手が誰も残らなくなる」ほどの力を行使すると警告した。ウクライナ侵攻の終結に向けた交渉が難航する中、ウクライナを支援する欧州側を強くけん制する狙いがあるとみられる。
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緊張が高まる中、ルーマニアなど欧州各地で訓練する英軍兵士(Getty)
プーチン氏は新たな紛争を望んでいないとする一方、ウクライナを支援する欧州諸国からの挑発を受けた場合には、攻撃をためらわない姿勢を鮮明にした。ウクライナではロシア軍が「特定の目標に絞って」行動してきたと主張する一方、北大西洋条約機構(NATO)との直接対立では同様の自制は行わないと明言した。
欧州の東部国境では演習などが行われている半面、ロシア軍はウクライナでの長期戦のため消耗している。しかし、依然として欧州で最大規模の軍隊を維持しており、近代戦への適応も進んでいる。
インディペンデント(英ニュースサイト)は、欧州が現在、ロシアに対抗できる軍事力や経済力を有しているかを検証した。
戦場での多大な損失にもかかわらず、ロシア軍の現役兵員数は132万人にまで膨れ上がっており、欧州のどの常備軍よりも多い。プーチン氏は22年以降、軍拡のため3度法制を変え、中国に次ぐ世界2位の軍事力となる正規軍150万人、予備役を含めると238万人体制を目指している。
対する欧州側も、国境での脅威や、コスト負担を嫌う米政権の姿勢を受け、防衛力不足への認識を強めている。冷戦終結以降、軍事支出は減少傾向にあり、その強みは「結束」にあるとされる。
NATO全体では現役兵士314万人、予備役を含め計589万人の兵力を擁する。戦車は1万4000両以上、航空機は約2万1000機に上る。これに対し、ロシア側は戦車約1万2000両、航空機4500機弱とされる。双方が核兵器を保有している。
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2021年に欧州国境付近で行われたロシア軍の軍事演習「ザパド」。兵員や戦車がウクライナ戦争に動員されている今年の演習より大規模だった印象がある(AP)
国防費に関してはトランプ米大統領が指摘するように、NATOは米国に大きく依存している。不均衡は是正されつつあるが、加盟国全体の25年の支出は1兆5900億ドル(約247兆円)、うち9800億ドルを米国が負担する見通しだ。
仮に米国が欧州での対ロ戦に参加しなかった場合、現状でNATO側の防衛費は約6080億ドルとなる。これに対し、ロシアの年間国防費は約1450億ドルだが、英シンクタンク国際戦略研究所(IISS)によると、購買力平価換算では4600億ドル以上に相当するという。欧州側は戦術や技術の不統一による非効率性も抱えている。
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4年にわたる戦争で多くの死傷者を出しながらロシアは軍拡を続けてきた(AFP/Getty)
世論の支持も不透明だ。ロシアが既に動員体制にあるのに対し、欧州の民主主義諸国では志願兵の確保さえ困難な状況にある。
あるフランス軍将官は先月、戦争になれば自国の「子供たちを失う」覚悟が必要であり、経済的苦痛も伴うと発言し、波紋を広げた。英国では24年、スナク首相(当時)が徴兵制には及ばない「国民奉仕制度」を提案したが、支持率は47%にとどまり、実際に戦力となる若年層では反対が圧倒的だった。
経済面でも欧州企業はコロナ禍からの回復途上にあり、ウクライナ戦争に関連した家賃やエネルギー価格の高騰に苦しんでいる。動員は一時的に経済を押し上げる可能性があるが、紛争が長期化すれば貿易は混乱し、投資は冷え込む。一方、ロシアは14年のクリミア併合以降、約10年かけて金融・財政政策を引き締めてきた経緯がある。


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