日産の命運を握る新型SUV。新型「キックス」は“別モノ級”に進化
経営危機が叫ばれている日産にとって、久々の光明となりそうな新型コンパクトSUVがまもなく登場する。Bセグメントでトヨタ「ヤリスクロス」(212万6300円~335万5000円)やホンダ「ヴェゼル」(275万8800円~396万8800円)などと真っ向勝負する新型「キックス」が、いよいよ国内デビューを果たす見込みだ。
とはいえ、フルモデルチェンジした新型が北米市場に投入されたのは2024年のこと。すでに2年が経過しており、日本市場でも本当に人気が得られるのか、やや不安に感じてしまうのも事実である。
そこで今回は、新型キックスの国内仕様について、現時点で分かっている情報を整理しながら、日本での勝ち筋を探ってみた。
まず、ボディサイズを先代と比較してみよう。
・新型(※北米仕様):全長4366mm×全幅1801mm×全高1630mm、ホイールベース2660mm
・現行型:全長4290mm×全幅1760mm×全高1605mm、ホイールベース2620mm
このように、新型は全体的にひと回り大きくなる。エクステリアも、現行型の丸みを帯びたコンパクトカー然とした雰囲気から、直線基調で力強さを感じさせるデザインへと変更され、存在感は一クラス上へと引き上げられた印象だ。
実際、キックアップしたCピラー周辺に先代の面影を残すものの、それ以外は別物と言ってよく、車名を聞かなければキックスだと気付かない人もいるかもしれない。
日産 キックス(新型)
日本仕様はe-POWER継続が有力。ただし最大の懸念は価格
先代の大きなアピールポイントだったパワートレインについては、北米仕様では2.0L直列4気筒ガソリンエンジンのみの設定となるが、日本仕様ではエンジンを発電専用に使うハイブリッド「e-POWER」が引き続き搭載される可能性が高い。
ただし、従来の「HR12DE型」1.2L直列3気筒エンジンを使ったシステムから刷新され、「セレナ」(278万5200円~499万8400円)などと同じ「HR14DDe型」1.4L直列3気筒エンジンを採用したe-POWERになるとみられる。
この1.4Lユニットは当初からe-POWER専用として開発された発電特化型エンジンで、静粛性や振動の面で1.2Lより大きく改善されており、デザイン以外にも乗り換えるメリットは十分に感じられそうだ。
ここまでを見る限り、美点の多い新型キックスだが、最大の懸念は車両価格である。北米でのスタート価格は2万2430ドル(約357万円 ※記事執筆時点)で、これに日本の消費税10%を加えると、ほぼ400万円に達してしまう。
しかもこの価格は純ガソリン車のみの北米仕様の話であり、e-POWERを搭載する日本仕様では、400万円超〜のスタートになっても計算上は不思議ではない。
ただ、ヤリスクロスのハイブリッドが200万円台半ばから、ヴェゼルのハイブリッドがほぼ300万円〜という現状を考えると、このままでは勝負にならない。日産も何らかの対策を講じてくるはずだ。
日産 キックス(新型)
ライバルに届く300万円台前半〜を実現できるかがカギ
まず有力視されているのが、日本国内での生産だ。
現在、北米向け新型キックスはメキシコ生産だが、日本仕様を国内生産とすることで輸送コストなどを削減できる。円安傾向や日本の賃金水準を考えると、人件費の面でも一定のメリットが見込める可能性がある。
現行型はタイ生産で、品質面での評価は決して低くなかったものの、日本のユーザーには「国産」に安心感を覚える層が多いのも事実だ。その意味でも、生産拠点の国内移管は新型の大きなアピールポイントになるだろう。
もう一つの対策として考えられるのは、安価な純ガソリン車の設定だ。ただし、これまでe-POWERに特化することで先進的なイメージを築いてきたキックスのブランドを考えると、この戦略は逆効果になる可能性も高く、望まないユーザーも少なくないはずだ。
そう考えると、e-POWER特化の路線を維持しつつ、国産品質を打ち出し、ライバルと競合できる「300万円台前半」というスタート価格を実現できるかどうか。そこが、新型キックスが日本市場で成功するための最大の勝負どころと言えるのではないだろうか。
(終わり)


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