
北海道や東北地方を中心に、クマによる人身被害が相次いでいます。近い将来、九州でもクマ被害は起こりうるのか?関門海峡を挟んだ山口県では目撃が相次いでおり、「九州に上陸するのでは?」という不安の声も聞かれます。クマの九州上陸の可能性について、専門家に聞きました。

人を襲っているクマは2種類
日本に生息しているクマは2種類
・北海道にのみ生息する「エゾヒグマ」
・日本固有種である「二ホンツキノワグマ」
北海道ではヒグマ、東北地方などではツキノワグマの被害が確認されており、今年度の死亡事故は過去最多となっています。
九州のツキノワグマは「絶滅」
かつて九州にもツキノワグマが生息していました。しかし、環境省のレッドリスト(2012年)では、九州地方の地域個体群は「絶滅」したとされています。
最後の確実な捕獲記録は1957年で、その後の1987年に大分県で捕獲された個体は他地域から持ち込まれたものと判明したことなどから、野生の個体群は途絶えたと考えられているのです。
山が連続していないことや標高の高い山が少ないという九州の地形も、クマの生息には適さない環境とされています。
すぐ隣まで接近?山口県の目撃情報

しかし、九州のすぐ隣、本州の最西端である山口県では、近年ツキノワグマの目撃情報が相次いでいます。山口県が公開している情報によると、下関市内でも「防止柵に立つクマを目撃」「道路を横断する子グマを目撃」といった記録があります。
下関市と福岡県北九州市の間にある関門海峡の最も狭い場所の距離は約650メートルしかありません。「クマは泳いで渡ってくるのでは?」そんな不安もよぎります。
クマは関門海峡(650m)を渡れる?九州上陸の可能性

実際、クマが九州に上陸する可能性はあるのでしょうか? 長崎県佐世保市の「西海国立公園 九十九島動植物園 森きらら」で、ツキノワグマなど担当する飼育員の平田美帆さんに、飼育専門からみたクマが九州にやってくる可能性を聞きました。
水は怖くない 海を泳ぐ姿も
平田さんによると、元々「水」には物怖じしない性格だというクマ。岩手県などでは海を泳ぐ姿も確認されています。森きららで飼育されている2頭も、普段プールでよく遊んでいるといいます。では、関門海峡を泳いで渡る可能性は?
平田さん:
「関門海峡は潮の流れが速く、多くの船も行き交っています。クマは本来臆病な生態なので、おそらく渡ることはないのではないか。リスクを冒してまで泳いで渡るとは考えにくいです」
陸路の可能性は?
では、関門橋や関門トンネルを通って陸路で来る可能性は?

平田さん:
「人がいない山間部などなら可能性はゼロではないかもしれませんが、人や車が多い市街地や道路を通る時点で発見され、駆除の対象となってしまう可能性が高いです。九州までたどり着くのは難しいのではないか」
現段階では、海上・陸上ともに、クマが九州に自力で到達する可能性は極めて低いと考えられます。


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