14日、参議院外交防衛委員会で日本共産党の山添拓議員が、武器輸出をめぐって小泉進次郎防衛大臣と論戦を展開した。
山添氏は「きのう、政府が運用指針の見直し案を自民党に示し、大筋、了承されたといいます。武器輸出の目的を救難・輸送・警戒・監視・掃海に限定するとしていた5類型を撤廃し、殺傷能力のある武器の輸出も可能にするというものです。昨年10月の自民維新連立合意に沿う内容です。ご説明ください」と質問。
内閣官房・中間内閣審議官は「我が国を取り巻く安全保障環境の変化、これが加速度的に生じており、特にウクライナなどの侵略で、あらゆる種類の装備、弾薬などが大量に消費される、そういう現実が明らかになってございます。そのような中で、防衛装備移転をさらに推進し、地域の抑止力対処力を向上させることが必要と政府として考えてございます。また、防衛装備品の開発、生産、維持、整備を担う防衛産業は、いわば防衛力そのものであり、力強い防衛産業の構築、これがこれまで以上に重要な課題となってございます。そのような認識のもと、現在、政府におきましては、いわゆる5類型撤廃に関する与党からの提言を踏まえ、どのような案件を移転可能とするべきか否かを含めまして、装備移転に関する制度について検討しているところでございます。他方、現在、政府内で検討している状況でございますので、与党とのやりとりや、検討の内容の逐一について現段階でコメントすることができないことについて、ご理解を賜ればと考えてございます」と答えた。
この回答に山添氏は「理解できません。自民党が2月に政府に示した提言は、今回の見直しを『政策の大転換』としているんですね。にもかかわらず国会に諮らず、問われてもお答えにならずに密室で決めてしまおうということですか」と詰め寄ったが、中間審議官は「現在検討を続けておる段階でございますので、現在の段階においてはご説明ができないことをご理解いただければと思います」と述べるにとどめた。
山添氏は止まらず、「輸出を決定した際は、事後的に国会の内容を通知するとされています。通知とは何ですか」と質すと、中間審議官は「現在、報道に基づいてあのご質問があったかと思いますので、あの政府云々という形でお答えをすることは適当ではないと思いますが、一般的に法令用語として申し上げれば、通知をするということは、一定の結果につきまして、お知らせをすると言うことだと考えます」と回答すると、議場はざわついた。
これに山添氏は「お知らせなんですよ。全議員に事務所に文書で配るだけだと、こういうふうに言われております。これ、事前の通知であれ、事後的な通知であれ、政策の大転換。あるいは、国論を二分する問題を紙きれ一枚のお知らせ。これで済ませようということです。これ言語道断ですね。まだ決まってないとおっしゃるけど、しゃべらないじゃないですか。説明されないんですよ、国会では。与党協議に示した資料一式、委員会に提出されるように求めたいと思います」と委員長に要求した。
「戦闘中の国」への輸出と「特段の事情」の是非
さらに山添氏は「改定案は、特段の事情があれば、現に戦闘が行われている国への輸出も認めるものとされています。これは同様の文言は現在の運用指針にもあります。今日も議論になっておりますが、武力紛争の一環として現に戦闘が行われていると判断される国という文言です。そこで聞きますが。イランへの攻撃を行っている米国は、ここでいう現に戦闘が行われていると判断される国にあたるのでしょうか」と問う。
中間内閣審議官は「どのような状況が武力紛争の一環としての戦闘に該当するかについては、これ個別の事案、個別の移転の可否を判断する際に、個別具体的に判断することになってございます。ですので、一概にお答えをするということはできないという考え方でございます」と答えると、山添氏は「それはおかしいと思いますよ。現時点でイランへの攻撃を行っている米国が、現に戦闘が行われていると判断される国にあたるのかどうか。これ、なぜ答えられないんですか」と改めて質問した。
中間内閣審議官は「現在、運用指針、現行の運用指針に基づいて、武力紛争の一環として現に戦闘が行われていると判断されるかというご質問だと理解しております。これにつきましては、基本的な考え方といたしましては、先ほど申し上げました通り、個別の移転の可否を判断するに際して、その時点におきまして、個別具体的に評価をするという考え方をとってございます。現時点において、この運用指針に基づく、いわゆる武力紛争の一環として、現に戦闘が行われている国と判断されるか、ここについては判断をしていない、予断を持ってお答えできないということでございます」と述べた。
この回答を受け、山添氏は「これではですね、議論にならないと思うんですよ。現に攻撃が行われている。誰が見たって戦闘行為が行われている状況だと思います。一定の停戦があるとしてもですね。ところが、その当てはめが述べられない。つまり政治的に判断していくということですよね。で、仮にこの米国を現に戦闘中の国だと判断したとしても、特段の事情があれば輸出できるというのが現在の運用指針です。特段の事情とは何ですか」と質問。
中間内閣審議官は「現行の運用指針におきまして、まあ、特段の事情がない限りという記載があることは事実でございます。このケースについて一概にお答えすることは困難でございますけれども、例えば我が国が安全保障にかかわるような地域において、我が国の安全保障上の必要性に対応するとの観点から、同志国等が我が国の装備品を必要としているようなケースこういった場合を想定しているところでございます」と述べた。
山添氏は「これは何もお答えになってないのに等しいと思うんですね。我が国の安全保障にとって大事かどうかということをおっしゃいます。しかし、そもそもこの武器輸出をなぜやるのかといえば。わが国にとって望ましい安全保障環境の創出のためだと言っているじゃないですか。国家安全保障戦略にも、そのような記述があります。そうしますと、戦闘中の国であっても、安全保障のためだと言えば輸出できるんだと。わが国にとって安全保障上、重要であれば輸出できる。まあ、そういう今の答弁は初めから答えが決まっているということですよ。結局、いついかなる時でも、望ましい安全保障環境のためだと言って輸出できる。歯止めなどないに等しい。現行の運用指針ですらそうだと言うことになると思います」と話した。
日豪連携と「死の商人国家」への懸念
続けて、先週来日したオーストラリアのマールズ国防大臣のインタビュー記事を引用し、「イラン攻撃で米国のパトリオットやトマホークの在庫が激減する中、どう兵器の製造で協力して行くか再考していると言って、今日世界で進行していることを見れば、我々の、つまりオーストラリアと日本の産業基盤を組み合わせて、より大きな産出を確保することの重要性は際立っている。特にミサイルとドローンに関する協力で巨大な機会があるなどと述べています。つまり、米国の需要を満たすために日豪が兵器の製造で協力しようということです。しかも同大臣は、日本の武器輸出には規制があることを問われて、そうした障壁の一部を打ち破るということだ。こういうことまで述べています。防衛大臣に伺います。今のように国会ではお話にならず、国民に示されずに、しかし、よその国の大臣とは武器輸出の全面解禁ありきで協議を進めておられるのですか」と詰め寄った。
これに小泉防衛大臣は「そういういわれなき憶測はやめていただきたいと思いますね」と語気を強めると「答えてないとおっしゃいますけども、今まだ政府として正式に決定しておらず、与党からの提言を受けて議論している時に、それを詳細にお答えできないのは当然のことだと思います。その中で中間審議官、丁寧にお答えをさせてもらってると思います。で、今、オーストラリアとはですね、今、ミサイルなどについて言及がありましたが、議論をして、お互い双方が努力を重ねているのは、護衛艦もがみ。もがみ型の能力向上型、これについての話であります。そして、これについてはオーストラリア側から私が聞いているのは、最終的にオーストラリアの軍人の命をもっとも守れる可能性のある船を選定をしたいと。その結果として、日本の護衛艦が一番ふさわしいと。こういった評価もあったと聞いていますので、まさに日本にとって望ましい安全保障環境を構築する上で、我々にとって誇るべきこの護衛艦の技術、性能、こういったものを同志国であるオーストラリアの評価をしてもらって、結果として相互運用性が高まるような広がりを見せることも、自由で開かれたインド太平洋戦略の防衛面から見たときの意義の一つであると思いますので、引き続き、この必要なニーズにどのように適切にお応えできるかというのはご理解頂けるように、丁寧にこういった国会の場でも説明を尽くしてまいりたいと思います」と述べた。
これを受け、山添氏は「ではマールズ大臣が述べているようなミサイルやドローンに関する協力、これはまだ議論はないということですか」と問う。
小泉防衛大臣は「まずオーストラリアはですね、価値観と戦略目標を完全に共有する、そういった同志国連携の中核だと位置付けています。ですので、戦略連携、共同訓練、運用協力、装備技術協力など、あらゆる分野に拡大している協力を一層強化して行く必要があると考えていますので、今後、我々としてどのような協力をするというのは予断を持って言い難いですが、重要で、かつ日本にとっても価値観なども共有している大切な仲間である同志国であるということを申し上げることができると思います」と回答した。
この答弁に山添氏は「否定をされませんでした。もう時間がありませんので、これ以上質問できませんが、ロイター通信によれば、米国ロッキードマーチンが10日、パトリオットミサイルの生産増強を継続するために、米国政府から47億ドル、7500億円の予備契約を獲得したと言います。結局、戦争の継続で儲かるのは誰か、如実に示してると思います。日本を死の商人国家に堕落させることは許されないと、これを指摘して質問を終わります」と語り、質疑を終えた。(ABEMA NEWS)





コメント