日本の消費税だけが「絶対に減らない」のはなぜ?政治家と財務省の頭の中を考えてみると…【インボイス】 | きばいやんせ!鹿児島

日本の消費税だけが「絶対に減らない」のはなぜ?政治家と財務省の頭の中を考えてみると…【インボイス】

前編記事『消費税はもともと「合法的なワイロ」だった…「減税はダメ」一点張りの日本政府がひた隠す「不都合な真実」』より続く。

インボイス導入は「念願」だった

日本の消費税の汚点は、消費税はもともと「合法的なワイロ」だった…「減税はダメ」一点張りの日本政府がひた隠す「不都合な真実」で述べた事業者への巨額な税金のばら撒き、つまり益税です。実は、この「益税」が存在したために、日本では「インボイス制度」を導入することができませんでした。2023年1月時点のOECD加盟国の中で、消費税の申告にインボイス制度がないのは日本だけでした。

インボイス制度とは、払った消費税の額をきっちりと請求書に書き込んで書面でやり取りする制度です。たとえば、10万円の商品を仕入れた時、買い手は相手に1万円(10万円の10%)の消費税を払います。この商品を20万円で消費者に売ると、お客からは2万円(20万円の10%)の消費税を受け取ります。

もらった消費税2万円のうち1万円は、商品仕入れ時に払っているため、税務署に収めるのは残り1万円。インボイス制度では、こうした経緯の全てが書面に残るため、誰がいつ、どこでいくら消費税を支払っているのかがわかります。国からすれば、消費税の取りっぱぐれがなくなるわけです。当然、すぐにでもこの制度を導入したかったはずですが、できませんでした。それは事業者が消費税を懐に入れることを許した「益税」の存在があったからなのです。

しかし、先にも述べたように益税の恩恵を受ける事業の数を減らしていったことで、2023年遂に念願のインボイス制度の導入に踏み切ったのです。

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財務省からすれば、インボイス制度の導入で、当初思い描いた姿にかなり近づいたものの、これで「益税」という不透明な税金のばら撒きが完全に消滅したわけではありません。

インボイス制度では、売上1000万円以下の事業者は、インボイスの登録業者にならず、今まで通り免税を選ぶこともできるからです。ただし、「免税」を選ぶと「免税」された分の消費税は取引先が被らないと計算が合わなくなるので、結果的に商取引から排除されていくことになる。つまり、免税業者も「選択できますよ」と言われても、実際に選択している事業者はごく限られるのです。一方インボイス登録すれば、今まで消費税を払っていなかった売り上げ1000万円以下の事業者にとって実質増税。しかも、3%時代に比べて今は税率が3倍以上ですから、これから徴収できる税金も増えるため、かつてばらまいた益税も時間をかけて回収できる。さすが30年かけて、日本の頭脳の粋が集まる財務省が考え出しただけあって、突っ込みどころがありません。

「小さく産んで大きく育てる」財務省

インボイス制度の目的として財務省は「税の透明性を高めることで、税金の取りっぱぐれを減らす」ことにあると説明します。それもあるでしょうが、本音では30年間財務省を苦しめてきた益税の呪縛から逃れることを目指したとも言えますし、さらには、この先の消費税率を上げるための布石を打つことだと私は思っています。

なぜ、インボイス制度で増税が可能になるのでしょうか。

それは、この制度を導入すると、複数税率が可能となるからです。

言うまでもなく、消費税の増税には多くの国民は反対です。3%でスタートした消費税が10%になるまでに30年かかりました。むしろ多くの国民は減税を望んでいるのですから、もしここで「消費税を15%にします」と言ったら、国民が激怒することは火を見るより明らかです。

けれど、「食料品は8%、日常品は10%のままで、ダイヤの指輪や高級輸入車などの贅沢品は15%にします。国の財政も改善しますし、お金持ちだけに増税するのでやらせてください」と言ったらどうでしょう。 

「ダイヤの指輪や高級車なら自分たちとは関係ないから15%でもいいか」と思う人はけっこういるのではないでしょうか。

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そこで法律で「食料品8%、日常品10%、高級品15%」と定めたとします。しかし法律には、何が「高級品」なのかまでは具体的に書かれていないし、国会の審議も不可能でしょう。ここが財務省の狙いで、なにを高級品とするかは、財務省が決められるのです。

当初は1億円のダイヤの指輪が対象だとしても、徐々に「ケーキはパンに比べて高級品なので15%」とか、「毛糸のセーターに比べてカシミアのセーターは高級品なので15%」といった具合に、知らないうちに高級品の該当範囲を増やしていくことは不可能ではありません。国会での審議も必要ないので、国民も知らないうちに実質増税されていく危険性があるのです。

これはあくまで仮定の話です。しかし、3%でスタートした消費税率が10%になったように、小さく産んで大きく育てるのは財務省の常套手段であるのも事実です。

向かう先は、「国栄えて山河が枯れる」

以上が、消費税の誕生から今に至る経緯と、財務省が頑なに消費税の引き下げを拒む理由です。

要約すると、2度の挫折でやむなく3%でスタートし、合法的な国公認の賄賂をばら撒きながら30年かけて10%にまで引き上げ、この先の消費税増税を睨んで「インボイス制度」を導入した財務省ですから、コロナや物価高などを理由に簡単に税率を下げさせてしまっては今までの苦労が水の泡。元に戻すまでに何年かかるかわからない以上、どんな手を使っても10%の税率は死守する。そう考えているのではないでしょうか。

コロナ禍で世界の国々か消費税を下げたのは、インボイス制度があったからです。なので、日本もインボイス制度が導入されことで、税率は下げやすくなるはずです。しかし、ここで税率を下げれば多くの国民に「なんだ簡単に下げられるじゃないか。税率の変更は大変なコストと時間がかかると言ってきたのは嘘だったのか」と批判が来るでしょう。それを財務省は恐れているから、税率を下げたくないのです。

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いずれにしても「財務省の辞書には消費税減税という文字はない!」ことだけは間違いないでしょう。

しかも、消費税率を下げることについて、財務省だけではなく、政治家も積極的ではありません。仮に景気対策で1%でも下げれば、国民は喜ぶでしょうが、景気がよくなった時に元に戻すためにはまた再び苦労することになるでしょう。

税率を引き上げるために国会の決議が必要ですが、政治家は税率を上げることに基本的に嫌います。様々な改革を断行した小泉(純一郎)さんをはじめ、ほとんどの総理が任期中は消費税を上げないと明言しています。税率引き上げを口にしただけで、支持率は一気に下がり、選挙で負ける危険がある。そんなリスクを冒したい政治家はいないでしょう。

財務省とすれば、それを説得して税率を上げるよう提案させるには、手間暇がかかることを過去の経験からよく知っています。だからこそ、簡単には引き下げに応じられないのです。

国栄えて山河枯れる

退陣を表明した石破茂首相は「日本の財政はギリシャより悪い」といいました。森山裕幹事長も「この国は財政破綻寸前だ」と発言します。

仮にそれが事実で、破綻寸前なら、無駄な金などないはずです。しかし毎年、使い切れずに余る予算が数兆円もあり、無駄遣いの温床と言われる基金には18兆円もの金が積み増され、身内の会計検査院からも多額の財政の無駄遣いが指摘されています。これをどう説明するのでしょうか。

国の予算が約1000兆円となったのは2018年。それから6年後の2024年には、なんと補正予算も含めて約130兆円に膨張しました。

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「社会保障費が増え続けている」ので減税はできないと言いますが、この間増えた社会保障費は約15兆円です。しかもその社会保障費も半分以上は社会保険料の値上げなどが当てられています。だとすれば、30兆円も増えた予算の多くは、社会保障費ではないところに使われているということになる。

それが何に使われているのかを明確にせず、「日本の財政が破綻する」などと騒いで減税を阻止しても国民からの賛同は得られません。このままの状態で増税を容認していくとしたら、最後は国民だけが貧乏クジを引くことになります。

中国の杜甫の詩の一節に「国破れて山河あり」という言葉がありますが、この国は、「国栄えて山河枯れる」という状況に向かっているようです。

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