【話題沸騰】いま、親が教えたい「子どもにつたえる日本国憲法」注目の理由とは【20年前の絵本が異例の重版】 | きばいやんせ!鹿児島

【話題沸騰】いま、親が教えたい「子どもにつたえる日本国憲法」注目の理由とは【20年前の絵本が異例の重版】

5月3日は憲法記念日 親子で読みたい絵本

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テレビで見かける「改憲」のニュース。子どもに「これって何?」と聞かれ、答えに詰まってしまったことはありませんか。
いま、海外への自衛隊派遣、そして武器輸出が議論されるなか、改憲をめぐる動きが急速に熱を帯びています。
全国では、若い世代がペンライトなどを手に「改憲反対」を訴えるデモが広がりつつあり、「自分たちの未来に関わること」として、憲法への関心が社会全体で高まっている状況です。

そんななか、一冊の絵本が静かに注目されています。20年前の、2006年に刊行された『井上ひさしの 子どもにつたえる日本国憲法』です。

▲3月25日に国会議事堂前で行われたデモでは、雨の中2万5000人が「戦争反対」「改憲反対」を訴えた(東京都・千代田区)

▲3月25日に国会議事堂前で行われたデモでは、雨の中2万5000人が「戦争反対」「改憲反対」を訴えた(東京都・千代田区)

同書は、今年2026年2月の第2次高市内閣発足後にネット書店で注文が急増。その後、3月・4月に異例の連続重版が決まり、書店の店頭にも並び始めています。
5月3日の憲法記念日を目前にしたいま、20年の時を経て、なぜこの絵本が注目されているのでしょうか。

現場の声:この本を平積みする理由

『井上ひさしの 子どもにつたえる日本国憲法』著者・井上ひさしさんは、戦後日本を代表する作家のひとり。戦争をテーマにした劇作品も多く残しました。
同書は、平和憲法の精神を表している「前文」と「第九条」を、子どもにもわかる言葉に「翻訳」し、憲法の内容を伝える絵本として2006年に刊行されたものです。
いま、この本を棚に並べる理由を、書店の現場で聞きました。

▲紀伊國屋書店(新宿本店)の児童書フロア。子ども向けノンフィクション書籍のコーナーには憲法や法律をテーマにした本が並ぶ

▲紀伊國屋書店(新宿本店)の児童書フロア。子ども向けノンフィクション書籍のコーナーには憲法や法律をテーマにした本が並ぶ

紀伊國屋書店 新宿本店の担当者は「普段から在庫を切らすことなく置いている商品ですが、最近、お問い合わせが増えてきました」と話します。
「憲法について、世間の注目が高まっているタイミングだったので、平積みするようにしています。店頭で手に取ってもらえる様子も見かけるようになりました。
憲法は生活に密接している話なので、この機会に、子どもだけでなく、大人がより理解を深めるという意味でも、親子で一緒に読んでもらえるといいな、と思います」
(紀伊國屋書店 新宿本店 平井美咲さん)

「この国のかたち(前文)」井上ひさしが伝える言葉

『井上ひさしの 子どもにつたえる日本国憲法』では、憲法の「前文」を子どもにもわかる言葉へ翻訳した「この国のかたち(前文)」で、次のように表現しています。

▲『井上ひさしの 子どもにつたえる日本国憲法』より、「この国のかたち(前文)」 平和を愛した画家・いわさきちひろさんの透明感あふれる絵とともに、憲法の内容を心で感じられる文章がつづられている。

▲『井上ひさしの 子どもにつたえる日本国憲法』より、「この国のかたち(前文)」 平和を愛した画家・いわさきちひろさんの透明感あふれる絵とともに、憲法の内容を心で感じられる文章がつづられている

「国民がみな、ひとつところに集まって
話し合うことはできないし
たとえできたとしても
やかましくてなにがなんだかわからなくなるだろう
そこで私たち国民は
決められたやり方で「代わりの人」を選び
その人たちを国会に送って
どうすれば私たちの未来が
よりよいものになるか
それをよく話し合ってもらうことにした
私たちが、同じ願いをもつ
世界のほかの国国(くにぐに)の人たちと
心をつくして話し合い
そして力を合わせるなら
からなず戦はいらなくなる
私たちはそのようにかたく
覚悟を決めたのだ」

また、憲法について井上さん自身の考えを語る「第九条のこと」では、読者へこう呼びかけます。

「もう二度と戦争はしない、という第九条ができてから、
日本国家が国としてよその国の人を殺したり、
武器を作ってよその国に売ったりはしていません。
(中略)
戦争や、病気で苦しんでいる世界の人々を助けるために、
日本ができることは、武器や兵士を外国に送ることではないはず。」
(『井上ひさしの 子どもにつたえる日本国憲法』より抜粋)

晩年の井上ひさしさんを支え、この本の誕生も間近で見守ってきた妻・ユリさんは、いま本書が再び注目されていることについて、どのような思いがあるのでしょうか。
「小学校時代を戦時下で暮らしたひさしさんは、新しい憲法が戦争を放棄したことを知ったときの感動を今の子どもたちに伝えたいと思ってこの本を書きました。
ひさしさんの座右の銘は『むずかしいことをやさしく やさしいことをふかく……』です。憲法の言葉を考えに考え抜いて、だれもが理解できる言葉に翻訳しました。
この本を、一人一人が主権者として学び、考える入口にしていただければと思います」
(井上ユリさん)

子どもにつたえる本を届ける意義

出版社に、今回の重版について聞きました。

子どもにつたえる本を届ける意義

同書を刊行する、講談社 幼児・学習図書出版部の責任者は
「『井上ひさしの 子どもにつたえる日本国憲法』は、ロングセラーと言えるくらい、毎年、安定的に売れていますが、解散による選挙で新内閣が発足した今年2月は前月の15倍、3月はすごく売れた2月のさらに3倍の売れ行きで、まさに今、求められている本であることがわかります」
と、話します。
「SNS空間に身を置くと、『護憲か?』『改憲か?』と一足飛びに突きつけられている気持ちがしてしまいますが、『じゃあ、憲法ってどんなものなの?』という問題の根っこを知りたい、子どもに伝えたいという人が多いということだと思います。
それまでの自分が考えてこなかった何らかの事柄を知りたいとき、子どもの本は、その根っこにあるものからやさしく解きほぐしてくれます。だから瞬間的なベストセラーになることはまれでも、長い年月を経ても読む意義が衰えないロングセラーはたくさんあるのだと思います。
こうした本に光を当て直すことも、私たち出版社に課せられているのだと、あらためて知らされた思いがします」
(講談社 幼児・学習図書出版部 片寄太一郎部長)

5月3日は「憲法記念日」

5月3日は憲法記念日です。
社会に大きな変化の兆しがあるいまだからこそ、まずはその土台にある「日本国憲法」がどんな内容なのか、どんな願いが込められているのか。
この一冊を入り口に、大人も子どもも等身大の言葉で理解を深めることが、未来を照らす確かな一歩になるはずです。

(取材・撮影/コクリコ編集部)

井上ひさしの 子どもにつたえる日本国憲法

井上 ひさし(著)  いわさき ちひろ(絵)

発売日:2006/07/21

価格:定価:本体1200円(税別)

<絵本>憲法のこころ
平和憲法の精神を表している「前文」と「第九条」を、井上ひさしが子どもにも読める言葉に「翻訳」。いわさきちひろの絵とともに、憲法の内容を、心で感じよう。
<お話>憲法って、つまりこういうこと
井上ひさしが、小学生に語りかけたお話。
1 憲法ってなんだろう
2 なぜ「きまり」がいるんだろう
3 憲法にも種類がある?
4 憲法前文を読んでみる
「あたらしい憲法のはなし」
(昭和22年日本国憲法が施行されたとき、文部省が子どもたちに配った冊子より)
5 「象徴」ってなんだろう
6 第九条のこと
7 「個人の尊重」ってなんだろう
8 日本人であるということ
9 私たちの使命
<付録>日本国憲法(全文)

「けんぽう」のおはなし

「けんぽう」のおはなし

井上 ひさし(原案)  武田 美穂(絵)

発売日:2011/04/08

価格:定価:本体2000円(税別)

大江健三郎さん推薦! 井上ひさしさんが小学生に語った「憲法」への思いが、絵本になりました
井上ひさしさんは、私が子どもの時から出会ってきた、楽しい話し手たちのなかの、一番のひとりでした。かれのことを忘れません。私の中にいるひさしさんの笑顔と声を、この本で何度も、アンコールしてゆきます。――大江健三郎(作家)

井上ひさしの 子どもにつたえる日本国憲法

www.youtube.com

今こそ、『井上ひさしの子どもにつたえる日本国憲法』を読みなおしたい、さらに広く知ってほしいという思いから、ちひろ美術館では同書の朗読動画を制作、配信をしています。朗読は女優の斉藤とも子さんです。ちひろ美術館公式YouTubeチャンネルでご覧ください。

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