【元銀行員が解説】親の死亡後、銀行口座は「即凍結」される?《死亡届》提出前ならATMで引き出しOK?年間110万円の基礎控除を活用した生前贈与もあり資金が必要なときは「遺産分割前の相続預金の払戻し制度」が利用できる | きばいやんせ!鹿児島

【元銀行員が解説】親の死亡後、銀行口座は「即凍結」される?《死亡届》提出前ならATMで引き出しOK?年間110万円の基礎控除を活用した生前贈与もあり資金が必要なときは「遺産分割前の相続預金の払戻し制度」が利用できる

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高齢化が進むなかで、「親の老後や万が一のとき」について考える機会が増えている方も多いのではないでしょうか。いつか訪れるその時のために、今からあらかじめ知っておきたいのが、親が亡くなった後の金融機関での手続きについてです。

ここでは、元銀行員の筆者が「親が亡くなったらすぐ口座が凍結される?」「亡くなった直後ならATMで引き出せる?」などのよくある疑問について解説します。

1. 親の死亡後、銀行口座は「即凍結」される?《死亡届》提出前ならATMで引き出しOK?

よく「親が亡くなると、すぐに銀行の口座も凍結される」と耳にすることがありますが、実はこれは誤解です。

銀行は自治体から死亡の事実が共有されるわけではありませんので、亡くなったからといってすぐに口座が凍結されることはありません。口座凍結が行われるのは、銀行が名義人の死亡の事実を知ったときです。

多くは「遺族が銀行に死亡を申し出たとき」ですが、そのほかに「新聞のお悔やみ欄に掲載されたとき」や「銀行の役職員が葬儀に参列したとき」に凍結されるケースもあります。

凍結された口座は入出金ができなくなり、所定の相続手続きを行った後に相続人へ預金が支払われる流れです。

1.1 死亡後は引き出さない方がベター

前述のとおり、口座は亡くなってすぐに凍結されるわけではありませんので、銀行に死亡の事実が伝わる前であればATMで預金を引き出すことは可能です。ただし、銀行に預けている預金は、名義人が亡くなった時点で相続人全員の共有財産となります。

そのため、他の相続人の同意なく一部の相続人が引き出した場合、遺産分割をめぐるトラブルに発展してしまいかねません。

また、税務署から「相続税の税逃れでは?」と判断されてしまうリスクもあります。

遺産をめぐるトラブルを防ぐためにも、口座が凍結されていないからといって相続預金をATMで引き出すことは控えた方がよいでしょう。

2. 資金が必要なときは「遺産分割前の相続預金の払戻し制度」が利用できる

とはいえ、「葬儀代を親の口座から引き出したい」「遺された家族の当面の生活費が必要」ということも少なくありません。その場合は、「遺産分割前の相続預金の払戻し制度」の利用を検討してみましょう。

遺産分割前の相続預金の払戻し制度とは、遺産分割協議が完了する前でも、相続人が単独で一定額まで払い戻しを受けられる制度です。

「ご存知ですか?」遺産分割前の相続預金の払い戻し制度

「ご存知ですか?」遺産分割前の相続預金の払い戻し制度

出所:一般社団法人 全国銀行協会「遺産分割前の相続預金の払い戻し制度」

引き出せる上限額は次のとおりです。

  • 相続開始時の預貯金残高 × 1/3 × 払戻しを求める相続人の法定相続分

ただし、同一金融機関からの払い戻しは150万円までが上限です。手続きには戸籍謄本など相続関係を証明する書類が必要となるため、事前に各金融機関の窓口で確認しておくとよいでしょう。

2.1 必要なお金は事前に準備しておくことがおすすめ

亡くなった後は銀行の手続き以外にも公的年金や健康保険の手続き、電気・ガス会社への連絡などさまざまな手続きが発生します。遺された人の負担が少しでも軽減されるように、葬儀代などの費用は生前から準備しておくことがおすすめです。

たとえば、生命保険は受取人を指定して遺せることに加えて、受け取り手続きも比較的簡潔です。「生命保険で葬儀代を受け取れるようにしておく」「当面の生活費は生命保険でまかなうようにする」といった方法で活用するのもよいでしょう。

また、生前贈与によってあらかじめ必要な金額を渡しておくのもひとつの方法です。贈与は年間110万円の基礎控除がありますので、控除内の金額であれば原則税金は発生しません。

ただし、複数年にわたって贈与し続けると、税務署から「あらかじめ決まった金額を分割して贈与した」とみなされ、まとめて贈与税が課される可能性があります。

また、贈与の事実が書面で残っていない場合、相続発生後に他の相続人とのトラブルに発展することもあるかもしれません。贈与を行う際は、「贈与契約書」を毎回作成しておくと安心です。

3. まとめにかえて

親が亡くなった直後は、悲しみの中で葬儀の手配や各種手続きが一気に押し寄せます。そのような状況で「口座が凍結されて葬儀代が払えない」といった事態を避けるためにも、元気なうちからリスクに備えた準備に取り組むことが大切です。

まずは、家族間で「どの金融機関と取引があるか」「葬儀に希望はあるか」といったことから話し合いを始めてみるとよいでしょう。

参考資料

一般社団法人全国銀行協会「ご存知ですか?遺産分割前の相続預金の払戻し制度」

著者

椿 慧理

椿 慧理

元銀行員/2級ファイナンシャル・プランニング技能士(FP2級)

2級ファイナンシャル・プランニング技能士1種外務員資格内部管理責任者保有。立命館アジア太平洋大学卒業後、入行した銀行で10年間勤務。個人・法人営業として投資信託、保険、仕組債、外貨預金等の提案・販売を務める。現在は銀行での経験を活かし、金融専門ライターとして活動中。兵庫県出身。(2026年4月1日更新)

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