10月15日に、8月・9月分の年金が振り込まれました。会社員や公務員として働いた期間がない人は、厚生年金・共済年金の上乗せがなく、老齢基礎年金を中心に暮らすことになります。
そうした人の年金額や暮らし方は、厚生労働省の「年金制度基礎調査(老齢年金受給者実態調査)令和4年」で確かめられます。
この記事では、厚生年金や共済年金といった上乗せがある人とない人の公的年金の額、働いている割合、世帯の形を並べて見ていきます。
1. 厚生年金・共済年金の上乗せがない65歳以上は10.3%
老齢年金受給者実態調査は、日本年金機構が支給する老齢年金の受給者から約5万人を選び、2022年11月1日時点の収入や就業の状況を尋ねた調査です。集計では、老齢年金を受け取る人を、厚生年金・共済年金の上乗せがあるかどうかで2つに分けています。
1.1 上乗せがない人は女性で13.6%
65歳以上の受給者のうち、上乗せがない人は351万人で、全体の10.3%でした。男性では5.8%、女性では13.6%で、女性のほうが高くなっています。
65歳以上の受給者全体では、上乗せがある人が89.7%を占めます。調査は、上乗せがない理由までは集計していません。
2. 上乗せがない人の公的年金は年平均64万2000円
本人が受け取っている公的年金の額を、上乗せの有無で比べてみます。上乗せがない人の平均は年64万2000円で、上乗せがある人の161万8000円の4割ほどでした。
厚生年金・共済年金の上乗せがない65歳以上の公的年金は、男女とも年60万円台1/2

出所:厚生労働省「年金制度基礎調査(老齢年金受給者実態調査)令和4年」をもとにLIMO編集部作成
【上乗せがない人】
【上乗せがある人】
【65歳以上の受給者全体】
2.1 同じ2022年度の満額とは年13万5800円の差
調査のあった2022年度の老齢基礎年金の満額は、月6万4816円(年77万7800円)でした。上乗せがない人の平均64万2000円は、これより年13万5800円少ない額です。
満額を受け取れるのは、20歳から60歳までの40年間、保険料をすべて納めた人です。納めていない期間や免除の期間があると、その分だけ年金額は少なくなります。
2.2 年50万円から75万円の人が42.2%
上乗せがない人の公的年金の額を金額の幅で分けると、最も多いのは年50万円から75万円の42.2%でした。年50万円に届かない人も22.6%います。
3. 上乗せがない男性の39.7%が働いている
年金の額が少ない分、仕事を続けている人はどれくらいいるのでしょうか。調査で「就業している」と答えた人の割合を、上乗せの有無と男女で比べました。
上乗せがない男性は、上乗せがある男性より働いている割合が8.8ポイント高い2/2

出所:厚生労働省「年金制度基礎調査(老齢年金受給者実態調査)令和4年」をもとにLIMO編集部作成
【上乗せがない人】
【上乗せがある人】
3.1 上乗せがない人は自営業が13.1%
働き方の内訳では違いがはっきり出ました。上乗せがない人は自営業が13.1%で、上乗せがある人の6.0%の2倍を超えています。
一方、パートは上乗せがある人の10.7%に対し、上乗せがない人は3.3%でした。上乗せがない男性に限ると、自営業の割合は29.0%にのぼります。
3.2 働く理由は「生活にどうしても必要だから」
働いている人に理由を聞くと、「生活にどうしても必要だから」と答えた人は、上乗せがない人で47.5%でした。上乗せがある人の41.8%より5.7ポイント高くなっています。
上乗せがない65歳以上の公的年金は年平均64万2000円で、同じ年度の満額にも届いていませんでした。働いている人は男性で39.7%にのぼり、その半数近くが生活のために必要だと答えています。
すでに受け取っている人の年金額は、毎年6月ごろに届く年金額改定通知書で確かめられます。これから受け取る人は、「ねんきん定期便」や日本年金機構の「ねんきんネット」で見込額を確認できます。
ここからは、上乗せがない人の世帯の形と、年金が少ない世帯で確かめておきたい保険料の軽減や給付金を見ていきます。
4. 上乗せがない人の世帯は「夫婦のみ」が41.8%
上乗せがない人がどのような世帯で暮らしているかも、調査で分かります。最も多いのは夫婦のみの世帯で41.8%、ひとり暮らしの単身世帯は11.5%でした。
- 上乗せがない人:夫婦のみ41.8%、単身11.5%、配偶者あり計69.1%
- 上乗せがある人:夫婦のみ39.6%、単身20.1%、配偶者あり計63.1%
4.1 配偶者がいる割合は上乗せがない人のほうが高い
配偶者がいる人の割合は、上乗せがない人で69.1%と、上乗せがある人を6.0ポイント上回りました。反対に単身世帯は、上乗せがある人の20.1%に比べて8.6ポイント低くなっています。
配偶者の年金や収入がどのくらいあるかは、この区分では分かりません。上乗せの有無で分けた夫婦の収入の合計は、調査の集計に載っていないためです。
5. 65歳以上の老齢年金受給者全体の収入と支出
上乗せの有無で分けた数字ではありませんが、65歳以上の受給者全体の収入と支出も見ておきます。本人の年間収入の平均は240万6000円で、男性は331万4000円、女性は171万3000円でした。
5.1 収入のうち公的年金が占める割合
本人の収入総額に占める公的年金の割合の平均は、男性で74.6%、女性で84.3%です。多くの人にとって、年金が収入の大半を占めていることが分かります。
5.2 本人と配偶者の月の支出は中央値18万3000円
本人と配偶者の1か月の支出は、中央値で18万3000円でした。公的年金の額が年50万円未満の人では8万2000円、年200万円から250万円の人では17万6000円と、年金の額によって支出の水準も変わります。
6. 生活保護を受けている人は上乗せがない人で2.0%
調査では、生活保護を受けているかどうかも尋ねています。受けている人の割合は、上乗せがない人で2.0%、上乗せがある人で1.4%でした。
働いていない人に理由を聞くと、「働くことができないため」と答えた人は上乗せがない人で71.0%、上乗せがある人で58.8%です。働いていない理由として、上乗せがない人のほうが12.2ポイント多く挙げた項目です。
7. 老齢基礎年金が中心の世帯で確かめておきたいこと
年金の額を増やす手段は、受け取り始めた後では限られます。いまの年金で暮らしている人は、支出を抑える制度を使えているかを確かめておくことが大切です。
7.1 国民健康保険・後期高齢者医療の保険料の軽減
国民健康保険と後期高齢者医療制度では、世帯の所得が基準以下なら、保険料のうち均等割(国民健康保険では平等割も)が7割・5割・2割軽減されます。2026年度の基準では、65歳以上で年金収入だけの単身なら、168万円以下が7割軽減の目安です。
軽減は世帯全員の所得で判定するため、同じ世帯の家族の収入によっては対象から外れることもあります。保険料の通知書に軽減の記載があるかは、お住まいの市区町村の窓口で確かめられます。
7.2 年金生活者支援給付金
65歳以上で老齢基礎年金を受け取っていて、世帯全員が住民税非課税で、前年の年金収入とその他の所得の合計が基準以下の人は、老齢年金生活者支援給付金の対象になります。対象になりそうなのに請求書が届いていない場合は、ねんきんダイヤルや年金事務所に問い合わせてみてください。
8. まとめにかえて
厚生年金・共済年金の上乗せがない65歳以上は老齢年金受給者の10.3%で、公的年金は年平均64万2000円でした。同じ2022年度の老齢基礎年金の満額77万7800円を、年13万5800円下回っています。
上乗せがない男性の39.7%が働き、働く理由は「生活にどうしても必要だから」が47.5%でした。世帯は夫婦のみが41.8%で、配偶者のいる人が69.1%を占めました。
年金額は年金額改定通知書やねんきんネットで確かめられます。保険料の軽減や給付金の対象かどうかは、市区町村の窓口や年金事務所に相談してみてください。
著者
株式会社モニクルリサーチ メディア編集本部
LIMO編集部記者/編集者/元公務員
ニ種外務員資格(証券外務員ニ種)保有。小学校教諭一種免許、幼稚園教諭一種免許、特別支援学校一種免許取得。
京都教育大学卒業。株式会社モニクルリサーチが運営する、くらしとお金の経済メディア「LIMO(リーモ)」のLIMO編集部において、厚生労働省管轄の公的年金制度や貯蓄、社会保障、退職金など、金融の情報を中心に執筆中。大学卒業後は教育関連企業での営業職を経て、2010年に地方自治体の公務員として入職。「国民健康保険」「後期高齢者医療制度」「福祉医療」等の業務に従事した。主に国民健康保険料の賦課、保険料徴収、高額療養費制度などの給付、国民年金や国民健康保険への資格切り替え、補助金申請等の業務を担う。特に退職に伴う年金や保険の切り替えでは、手続きがもれることで不利益を被ることがないよう丁寧な窓口対応を心がけた。その後、保険代理店にてパートとしてマーケティング業務に従事。保険料比較サイトの立ち上げに参加した。乗合保険会社の商品ページだけでなく、保険の知識を普及するためのページ作成にも参加。専門家と実務家が発信する金融経済ニュースサイト『LIMO&ファイナンス』でも記事を執筆している。京都府出身、滋賀県在住。


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