今週金曜日、6月13日は年金受給日です。
年金は、原則年6回に分けて、偶数月の15日に支払われます。なお、6月は15日が日曜日であるため、その直前の平日13日に支払われます。
各支払月には、原則、その前月までの2カ月分の年金が支払われます。6月に支払われる年金は、4月分、5月分の2カ月分です。
2025年度から年金が1.9%引き上げられることが発表されたため、6月支給分より年金支給額が増額されることとなります。年金に関する通知書がお手元にまだ届いていない人にとっては、いくら増額されるのか、把握されていないケースも多いのではないでしょうか。
そこで今回は、6月より順次お手元に届く年金通知書の見方や、年金受給者が知っておきたい給付金についてご紹介していきます。
ぜひ参考にしてください。
1. そろそろ届く!年金に関する「改定通知書」と「振込通知書」の見方を解説
2025年度の年金額について、年金と年金生活者支援給付金を同時に受給している方には原則6月に「『改定通知書』と『振込通知書』(はがきサイズ)」が送付されます。
※遺族年金受給者、複数の年金受給者、および視覚障害による障害年金受給者の方には封筒で送付されます。
日本年金機構
「改定通知書」と「振込通知書」(年金と年金生活者支援給付金受給者用:大判はがきサイズ)
出所:日本年金機構「「改定通知書」と「振込通知書」(年金と年金生活者支援給付金受給者用:大判はがきサイズ)」
「改定通知書」と「振込通知書」(年金と年金生活者支援給付金受給者用:大判はがきサイズ)で主にわかることは以下の通り。
1.1 年金
1.2 年金生活者支援給付金
対象となる方は上記を確認しましょう。
2. 意外と知らない人が多い?年金生活者支援給付金とは何か
「年金生活者支援給付金」とは
「年金生活者支援給付金」とは、公的年金を含めてもなお所得の低い人を対象とする給付金です。2カ月に一度の年金支給日に、公的年金に上乗せして支給されます。
受給する年金の種類により「老齢年金生活者支援給付金(補足的老齢年金生活者支援給付金)」「障害年金生活者支援給付金」「遺族年金生活者支援給付金」の3つに分かれます。
次ではそれぞれの給付金の支給要件などを整理しましょう。
3. 【年金生活者支援給付金】対象者はどんな人?自分は対象となる?
3種類の年金生活者支援給付金には、それぞれ支給要件が設けられています。なかでも老齢年金生活者支援給付金の支給要件は、やや複雑です。
老齢・障害・遺族「年金生活者支援給付金」は3種類
3.1 「老齢年金生活者支援給付金」対象となるのはこんな人
- 65歳以上の老齢基礎年金の受給者
- 同一世帯の全員が市町村民税非課税
-
前年の公的年金等の収入金額(※1)とその他の所得との合計額が昭和31年4月2日以後に生まれの方は88万9300円以下、昭和31年4月1日以前に生まれの方は88万7700円以下(※2)である。
※1 障害年金・遺族年金等の非課税収入は含まれません。
※2 昭和31年4月2日以後に生まれた方で78万9300円を超え88万9300円以下である方、昭和31年4月1日以前に生まれた方で78万7700円を超え88万7700円以下である方には、「補足的老齢年金生活者支援給付金(※3)」が支給されます。
※3「補足的老齢年金生活者支援給付金」とは?
老齢年金生活者支援給付金は、一定の所得以下の人を対象とした制度ですが、基準額をわずかに超えると給付を受けられず、基準額ギリギリで支給対象となる人よりも総所得が低くなるという問題がありました。
この不公平を解決するために設けられているのが「補足的老齢年金生活者支援給付金」です。この給付金は、所得が基準額を超えても一定範囲内であれば受給でき、所得が増えるにつれて給付額は減ります。
3.2 「障害年金生活者支援給付金」「遺族年金生活者支援給付金」の対象者
- それぞれの年金(障害基礎年金もしくは遺族基礎年金)の受給者である
- 前年の所得が472万1000円以下である(扶養親族等の数に応じて増額される)
※ 障害年金、遺族年金等の非課税収入は除く
それぞれの給付金において、上記の要件をすべてを満たす場合に支給対象となります。次では給付額についても見ていきましょう。
4. 2025年度、年金生活者支援給付金も増額されます!
年金生活者支援給付金制度の給付額は、物価を考慮して毎年度改定されます。2025年度は、前年の物価変動率にもとづき2.7%引き上げとなりました。
4.1 【2025年度】年金生活者支援給付金の給付額はいくら?
年金生活者支援給付金の給付額
出所:厚生労働省「令和7年度の年金額改定についてお知らせします~年金額は前年度から 1.9%の引上げです~」
- 老齢年金生活者支援給付金:基準額:月額5450円
- 障害年金生活者支援給付金:障害等級1級6813円・2級5450円
- 遺族年金生活者支援給付金:月額5450円
老齢年金生活者支援給付金のみ、上記の基準額をもとに保険料納付済期間や免除期間に応じて実際の給付額が計算されるため、個人差が出ます。
5. 対象の場合は知っておきたい、年金生活者支援給付金の申請方法
年金生活者支援給付金の受給には、申請手続きが必要です。支給対象となった人には通知を兼ねた請求書が郵送されます。これを記載・提出し忘れると1円も受給できません。
日本年金機構から届く書類は、年金受給状況により異なります。「これから年金を受給スタートする人」と「既に年金を受給している人」の2パターンを解説します。
※なお、繰上げ受給の人には下記とは異なる様式の書類が届きます。
5.1 パターン1:これから年金を受給スタートする人
年金を「これから」受給スタート開始する人が年金生活者支援給付金の支給対象となった場合は、老齢基礎年金の請求書に給付金請求書が同封されます。
給付金請求書に必要事項を記入し、老齢基礎年金の請求書と一緒に提出しましょう。
新規に老齢年金を受給する人の申請方法
出所:日本年金機構「老齢基礎年金を新規に請求される方の請求手続きの流れ」
5.2 パターン2:既に年金を受給している人
既に年金を受給している人が、新たに年金生活者支援給付金の対象となった場合、 毎年9月1日以降に「年金生活者支援給付金請求書(はがき型)」が順次送付されます。
請求書の指定部分に必要事項を記入し、切手を貼って返送しましょう。
既に年金を受給中の人の手続き方法
出所:日本年金機構「年金生活者支援給付金請求書(はがき型)が届いた方へ」
年金生活者支援給付金は、近年しばしば実施されている「住民税非課税世帯への給付金」などの一時的な支援とは異なり、要件を満たす限り継続して受け取ることができる恒久的な支援制度です。
一度申請手続きをおこなえば、2年目以降は基本的に毎年の手続きは不要です。
なお、支給要件を満たさなくなった場合には、「年金生活者支援給付金不該当通知書」が届き支給されなくなります。
6. 【調査結果】老後の生活で年金はどのくらい頼りにしている?
物価高騰が続く中、政府による救済制度があるものの、なかなか生活苦から脱却できない人もいることでしょう。
老後生活において、年金はどの程度重要視されているのでしょうか。
厚生労働省が2024年3月13日に発表した「生活設計と年金に関する世論調査」結果によると、
老後の生活設計の中での公的年金の位置づけは
- 「全面的に公的年金に頼る」26.3%
- 「公的年金を中心とし、これに個人年金や貯蓄などを組み合わせる」53.8%
となり、大半の方が公的年金だけでは不足する前提であることがわかります。
現役時代の方は特に、今のうちから老後生活資金をいかに積み上げていくかが重要になることでしょう。
今回の記事を参考に、一度老後資産形成について考えてみてはいかがでしょうか。
参考資料
- 厚生労働省「年金生活者支援給付金制度について」
- 厚生労働省「令和7年度の年金額改定についてお知らせします~年金額は前年度から 1.9%の引上げです~」
- 厚生労働省年金局「令和5年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」
- 厚生労働省「生活設計と年金に関する世論調査(主な調査結果)」
- 日本年金機構「老齢基礎年金を新規に請求される方の請求手続きの流れ」
- 日本年金機構「年金生活者支援給付金請求書(はがき型)が届いた方へ」
- 日本年金機構「「年金額改定通知書」と「年金振込通知書」(年金受給者用:はがきサイズ)」
- 日本年金機構
三石 由佳
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