進次郎農相の「500%」発言で抗議殺到、ついに声明文…“元凶”にされたコメ卸「木徳神糧」の困惑

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「営業利益500%」、まるで暴利をむさぼっているかのような発言(C)日刊ゲンダイこの記事の画像を見る(2枚)

抗議が殺到し、さすがに「反論」せざるを得なくなったようだ。小泉進次郎農相から、コメ高騰の“元凶”かのように扱われたコメ卸大手の「木徳神糧」が11日、社長名で「取引価格の不当な操作は行っていない」という「声明文」を発表した。
「声明文」を発表したのは、名指しこそされなかったが、進次郎から国会で糾弾されたからだ。進次郎農相は6月5日の衆院農水委でこう言い放った。
「コメの流通は複雑怪奇」「社名は言いませんが、ある大手卸の売上高は前年比120%を超え、営業利益は対前年比500%くらいです」

社名は伏せたが、ちょっと調べれば、東証スタンダード市場に上場している「木徳神糧」だと誰にでも分かる。実際、同社の2025年1~3月期の米穀事業の売上高は、前年同期比約1.3倍の311億6200万円、営業利益は約4.9倍の19億2900万円と、進次郎氏があげた数字とほぼ一致している。
進次郎氏の発言後、木徳神糧には抗議が殺到しているという。

「様子見をしてきましたが、反響が大きく…」


岡山県では「木徳神糧」ほか、「全農パールライス」がスーパーへ供給(安田精米取り扱い備蓄米の青森県産「まっしぐら」=写真) (C)山陽新聞/共同通信イメージズこの記事の画像を見る(2枚)

「声明文」は、自分たちの立場を切々と訴えている。
<弊社が市場価格を釣り上げたり、買い占めや出し惜しみによって流通を阻害したりといった事実は一切ない>
<仕入、販売、在庫の実績についても毎月、農林水産省に報告しており>
<弊社の国内産主食用米の年間取扱数量は(略)2024年度の全国需要の約4%に過ぎず、米穀市場を左右しうる影響力を持ち得ないことは明らかです>
進次郎氏は「営業利益500%」と、木徳神糧が暴利をむさぼっているかのような発言をしていたが、どうやら印象操作に近いらしい。
「木徳神糧さんの昨年の1~3月期の営業利益率は、わずか約1.4%と、典型的な薄利多売です。それが今年の1~3月期の営業利益は、4.9%になった。でも、上場企業の営業利益率の中央値は約6.7%だから、決して高くない。暴利とは言えないでしょう」(前出の業界関係者)
なぜ、このタイミングで「声明文」を出したのか、木徳神糧はこう言う。
「名指しされたわけではないので様子見をしてきましたが、あまりにも反響が大きく、声明文を出すことになりました」(社長室)
それにしても、どうして進次郎氏は、国民の批判がコメ卸業者に向くような発言をしたのか。

「もともと『抵抗勢力』を仕立て上げるのは小泉家のお家芸です。コメ卸業者は格好のターゲットになると判断したのではないか。木徳神糧が反応したことを、進次郎氏はシメシメと喜んでいる可能性があります」(政界関係者)
国民の主食であるコメが「劇場型政治」の材料にされている。
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進次郎氏の連日の視察とTV出演で、農水省は“ブラック企業化”しているとか。関連記事【もっと読む】で詳しく報じている。

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