アジサイの色を変えるには?植え方・育て方・花色の楽しみ方ガイド

アジサイの花色は、土に加える素材次第でブルーからピンクまで変わります。

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玉房のような花が愛らしいアジサイは、どんな庭にもユニークな魅力を添えてくれます。特に目を引くのが、その色。憂いの漂うコーンフラワーブルーから、柔らかなパープル、マゼンダまで、誰もがその鮮やかさの虜になります。

さらに、1つの色だけに染め上げられた他の多年草とは異なり、アジサイは、同じ株でも毎年色を変えることができます。その要因は、土の酸性度。庭の土についてよく理解し、少し手を加えれば、この花が秘める奇跡の種を、多彩なカラーパレットとして昇華することができるのです。

アジサイにはさまざまな種類があります。たとえばアメリカでは6種類ほどが一般的に見られ、なかでも「Hydrangea macrophylla(ハイドランジア・マクロフィア)」は最も人気が高く、品種によって、お馴染みの球のような形をした愛らしい姿を備えていたり、あるいは小さな花々が散りばめられたスタイリッシュな佇まいを見せてくれたりします。庭に彩りを添えたいのであれば、これらがおすすめです。

一方、日本でよく見られるのは、細長い葉と茎が特徴の「アメリカノリノキ」(Hydrangea macrophylla)や、円錐状の花をつける「ノリウツギ」(Hydrangea paniculata)など。庭に取り入れるなら、これらの品種がおすすめです。

アジサイを植えるのに最適なのは、秋か早春。この時期に植えて根をしっかりと育てておけば、夏の酷暑など激しい天候に対する耐性を獲得することができるためです。アンジーで住まいと庭の専門家として活躍するマロリー・マイセティッチによると、アジサイは花壇や大きな鉢で元気に育ち、生け垣として植えても美しく花を咲かせてくれるとのこと。

こうした基本情報を身につけたなら、準備は万端。アジサイを育て上げ、色彩のマジックを堪能するために専門家が教えてくれた5つの秘訣をチェックしてみてください。

アジサイは、陰を必要としている

light blue hydrangea in the sunlight

サンデー・ローン・ケアで自然科学部門のマネージャーを務めるテリ・ヴァレンズエラ氏によると、アジサイは他の植物が枯れてしまうような日陰でも元気に育つ植物だそうです。

そのため、太陽光がやや弱い場所でも、色鮮やかに咲き、開花時期も長く楽しめる花として活躍します。ただし、美しく咲かせるためには、1日4〜6時間程度の日光が必要です。

また、日陰そのものは問題ありませんが、木の下に植えるのは避けましょう。アジサイと木の根が水分や養分を奪い合い、うまく育たない原因になるためです。

水はけのよい土に植える

the change in the color of the hydrangea.

庭に直接植える場合でも鉢植えでも、アジサイは水が溜まる環境を嫌います。そのため、水はけのよい土壌を保つことが大切です。

そう話すのは、家主と芝生のメンテナンスサービスをつなぐサイトグリーンパルのCEO、ブライアン・クレイトン氏。複数のアジサイを植える際は、互いに約90センチほど間隔を空けるのが理想的だといいます。

また、乾燥する季節には定期的な水やりも欠かせません。

「適度な湿度を保つことが大切ですが、水のやりすぎには注意してください。葉が黄色くなっていたら、水を与えすぎているサインです」とクレイトン氏はアドバイスしています。

花の色を変える

a beautiful summer garden, featuring a spectacular display of vibrant blue, pink and purple hydrangea flowers

アジサイは、育てながら花の色を変える楽しみが味わえる、ちょっと面白い植物です。家庭で手軽に取り組める“科学プロジェクト”のような存在でもある、とマイセティッチは言います。

その理由は、土のpH(酸性度)を調整することで、花の色が変わるからです。

ただし、どんなアジサイでも色が変わるわけではありません。色の変化を楽しみたいなら、大きな葉をもつ「Hydrangea macrophylla(ハイドランジア・マクロフィラ)」がおすすめ。手まり咲きやガク咲きの品種がこれにあたります。

また、pH調整をしやすいよう、鉢植えや別の花壇に植えておくと管理が楽になります。

まずは、市販の家庭用pH測定キットで土のpHをチェックしてみましょう。その結果をもとに、酸性寄りにするか、アルカリ性寄りにするかを調整して、好みの花色を目指します。

「一般的に、酸性の強い土ではブルー系、アルカリ性ではピンク系の花が咲きます」とマイセティッチ。さらに目指す花色ごとのpHの目安も教えてくれました。

  • 鮮やかなブルー:4.5
  • 落ち着いたブルー:5
  • バイオレット・ブルー:5.5
  • パープルかブルーとピンク:6-6.5
  • ピンク:7.0以上
  • 土の酸度を上げるために彼女がすすめるのは、酸性化剤や、窒素・リン酸・カリの比率が「25-5-30」の肥料、コーヒーの出し殻、柑橘類の皮、刈り取った芝を加えること。このようにして、pHを下げます。

    アルカリ性の土をつくるには、アルカリ性の土、「25-10-10」の肥料、石灰、あるいは粉々にした卵の殻を土に加えましょう。

    あとは、ゆったり構えて待つだけ。アジサイが土になじむには数カ月が必要、とマイセティッチは言います。

    ブーケをつくる

    hydrangea flowers

    摘みたてのアジサイでブーケをつくり、自分やご近所にプレゼントしましょう、とヴァレンズエラ。お部屋が華やぐのはもちろん、アジサイ自身に対してもよい効果があるようです。

    「アジサイはシーズン中ずっと花を咲かせるのですが、刈り込んであげると、より生き生きとします」と彼女は言います。「そのままでも十分美しいのですが、室内で楽しむブーケにするために剪定をすると、屋外空間ではいっそう豊かに花を咲かせてくれます」。

    少量のエプソム塩を加える

    最後に、あまり知られていない秘訣を1つ。ガーデニングのアドバイスを提供するサイト、ザ・ヤード・アンド・ガーデンの設立者、ベン・ヒルトンは、アジサイを植えた土にエプソム塩(硫酸マグネシウム)を加えることをすすめます。

    これにより、花の色が鮮やかになり、美しさが長期にわたって保持されるだけでなく、真菌感染症を防ぐこともできるようです。

    from House Beautiful
    Translation : Chisato Yamashita

    ※この記事は一部抄訳しています。

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