スムーズな墓じまいに必要な7つのステップ
「墓じまいを事前に知らせない場合、親戚から『なんで知らせてくれなかったんだ』と後で文句を言われ、もめるケースは多いです。
墓じまいをするときは、手順を守って、故人だけでなく周囲の人にも配慮することが大切です」
そう語るのは、明石行政書士事務所代表の明石久美氏だ。
墓じまいは、お墓に入っている遺骨を取り出し、墓石を解体・撤去したうえで、お墓の管理者に永代使用権(お墓を代々使う権利)を返すこと。取り出した遺骨は供養して新しい納骨先に移すことになる。
そんな墓じまい(改葬)の件数は、’13年度に8万8000件だったのが、’23年度には16万7000件と過去最多を更新(厚生労働省)。この10年で約2倍と急増している。
もめ事を起こさず、スムーズに墓じまいを進めるにはどうしたらよいのか―。その手順と勘所を見ていこう。
まず、①親族(兄弟・姉妹など)あるいは親戚に相談しよう。明石氏が解説する。
「そもそも、お墓は祭祀財産といって、相続財産に含まれないため、実は親族なら誰でも引き継ぐことができます。
親戚の集まりで『お墓を継いでくれないか』と打診してみると、意外と引き受けてくれる人が見つかることもあるのです」
次に、②お墓のある自治体のホームページで、必要書類を確認する。自治体によって手続きは異なるが、必要な書類は主に2点。「改葬許可申請書」と「受入証明書」。加えて「埋葬証明書」が必要か否かを確認しておこう。
ここでようやく、③新しい納骨先を決める。墓じまいで取り出した遺骨は、勝手に処分してはいけない。遺骨を供養する方法は大きく3つある。
納骨堂などの永代供養のお墓での合葬。樹木葬や海への散骨。仏壇など手元に保管する方法だ。新しい納骨先では忘れずに「受入証明書」をもらっておきたい。
気遣いを大事にする
ここまできたら、④今お墓のあるお寺などに連絡しよう。近年では墓じまいが増え、お寺の運営は厳しくなった。墓じまいする旨を伝えるとき、注意すべきことがある。
「お寺は日々供養をして、お墓を守ってきました。突然『墓じまいをする』と言われたら、気分を害する方も少なくない。直接出向いて、感謝の気持ちを伝えるといった礼節も大切です。
また、墓じまいの理由も説明しましょう。『親戚すべてに相談したが、お墓を引き継げる人がいない』と伝えれば、お寺側も納得してくれるはずです」(明石氏)
墓じまいで最も多いトラブルの原因が離檀料だ。墓じまいの相談を受け持つ株式会社縁の代表・小西正道氏が解説する。
「たとえば、お墓を撤去するのに80万円、追加で離檀料が60万円かかるとお寺に言われた方がいました。
地縁が強い地域で暮らしにくくなるのは困るとか、お寺の機嫌は損ねたくない理由から、多くの人は交渉しづらいのが実情です。
もし、高額の離檀料を求められたら、まずは家族や専門家に相談してください。
離壇料に法的な効力はないものの、支払わないともめ事になる確率が格段に上がります。お寺が相場の金額を求めるなら、支払うことを勧めます(相場の上限は20万円)」
次に、役所に必要書類を提出して、⑤改葬許可証をもらったら、⑥閉眼供養をして遺骨を取り出すことになる。
閉眼供養とは、お寺の住職による、墓石に宿るご先祖様の魂を抜き取る儀式のこと。遺骨を取り出す際は、お寺側が指定した石材業者に依頼するほうがもめることは少ない。
最後に、⑦墓石を撤去して、遺骨を新しい納骨先に移そう。墓石の撤去では石の材質、お墓の大きさ、遺骨の数などで金額は変わるものの、目安は1m2で10万円ほどと覚えておこう。
費用を抑えたいなら、お寺の同じ敷地内にある樹木葬墓や納骨堂に移せるか相談してみるのも手だ。
墓じまいには半年から1年ほどかかる。焦らずじっくり進めよう。


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