相続財産として思い浮かぶのは、持ち家などの不動産や現金・有価証券などの金融商品。もちろんこれだけではなく、身近にある「クルマ」も立派な相続財産だ。終活リストを作っている人もいない人も、クルマの終活を考えてみませんか。
相続対象になるクルマとならないクルマの違いとは

クルマも立派な財産として捉えれる(Gautier Normand@Adobe Stock)
相続とは、ある人が亡くなった時にその人の財産を特定の人々が引き継ぐことを指す。「遺産相続」という言葉が一般的だが、これを理解するうえでまずは「遺産」に当たるものは何かを確認しなければならないだろう。
遺産は具体的に現金や預貯金、株式などの有価証券、クルマや貴金属、不動産(土地・建物)といったプラスの財産と、借金や未払金といったマイナスの財産の事だ。これらの全てを法定相続人が決められた割合で相続していく。(公正証書遺言などがある場合は、遺言に従って相続する)
クルマは遺産の一つとなるが、その取扱いは種類によって異なる。登録車(白・緑ナンバーのクルマ)は土地建物などの不動産に属性が近く、細かな相続手続きが必要だ。対して届出車(軽自動車等)は遺産相続の対象にならないことが多い。
同じクルマでも登録車か届出車で、所有者が亡くなった後の取り扱いが大きく違うということを覚えておきたい。
登録車と軽自動車では手続きが結構違うぞ

登録車体によっては手続きが異なる!?(xiaosan@Adobe Stock)
オーナーが亡くなったらまず自動車検査証(車検証)を手に取り、「所有者」の欄を見て欲しい。ここに故人の名前があれば、相続手続きを行う必要が出てくる。よくあるのが故人がメインで使っていたが、実は配偶者の名義だったなどということ。ここはよく確認してほしい。
クルマは分割して相続することは出来ないので、相続人のうち誰か一人が相続することを決めなければならない。誰が相続するかが決まったら登録車の場合、遺産分割協議書(相続自動車の査定額が100万円以下の場合は、遺産分割協議成立申立書でも可)を作り、相続人に名義変更する。
このとき、必要となる書類は次の通りだ。
・自動車検査証(車検証)原本
・戸籍(除籍)謄本(戸籍の全部事項証明書):所有者の死亡事実が確認でき、さらに相続人全員が確認できるもの
・遺産分割協議書:相続人全員(新所有者を含む)が実印を押印したもの
・新所有者となる相続人の印鑑証明書:発行から3か月以内のもの
・新所有者の実印(本人が手続きをしない場合は実印を押した委任状)
・新所有者が取得した車庫証明:発行から1か月以内のもの
遺産分割協議書を作らない場合には、相続人全員の印鑑証明書と委任状(実印押印)、譲渡証明書(実印押印)でも手続きは出来る。しかしこれらをすべて揃えるのは非常に難しいため、一般的には遺産分割協議書で手続きを進めることが多い。
なお、届出車(軽自動車等)の場合は、亡くなった人の戸籍謄本や死亡の事実を確認できる戸籍(除籍)謄本を揃えれば、新所有者の委任状(実印)と車庫証明、車検証の原本で、名義変更を行うことができる。手続きは登録車よりも楽なので、終のクルマは軽自動車にするのもアリかもしれない。
難しい相続を簡単にする所有権留保という裏技

何かと複雑な手続きにも裏技アリ!?(mapo@Adobe Stock)
所有権留保とは、ディーラーローンなどでクルマを購入したときに、車検証の所有者欄が「○○トヨタ自動車株式会社」などとなっている状態を指す。ローンを完済すれば、所有権留保の解除(所有者をユーザーにする)を行うことができるが、手続きを行わず完済後も所有権留保のままにしている人もいるだろう。
クルマのナンバー変更や名義変更を行う場合は、必ず車検証上の所有者が承諾しなければならない。つまり、このクルマのオーナーが亡くなり、相続手続き(名義変更)を行う際には、ディーラーの承諾が必要となるのだ。
ただし、遺産分割協議書を作成した名義変更よりも、所有権留保状態からの名義変更の方が、手続きが楽にできることも。この時ディーラーは、車両の名義変更が遺産相続に問題なく、以降の相続手続きに関してディーラーへは迷惑をかけないことを約束する念書をとることが多い。
念書がとれれば、残債が無いこと確認して、ディーラーは名義変更に必要な書類を発行してくれる。これと新しい名義人の登録書類があれば、名義変更は完了だ。
クルマの相続は意外と複雑。筆者としては大切にしてきた愛車だからこそ、次に乗ってほしい人を決めておき、遺言として残すことをおススメする。愛車の終活もしっかり進めておきましょう。


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