
2025年9月となり、今年も残りわずかとなってきました。今年も年金の受給額が改定され、年金振込通知書を確認した方もいるでしょう。
老後の生活を考える上で、公的年金制度は最も重要な柱の一つです。しかし、自分が将来どれくらいの年金を受け取れるのか、その仕組みを正確に理解している人は意外と少ないかもしれません。
人生100年時代と言われる現代において、公的年金制度の構造や将来の受給額について正しく知ることは、豊かな老後を送るための第一歩となります。
1. 日本の「公的年金制度」の基本構造
日本の公的年金制度は「2階建て」
出所:日本年金機構「公的年金制度の種類と加入する制度」等を参考にLIMO編集部作成
日本の公的年金制度は、「国民年金(基礎年金)」と「厚生年金」の2階建て構造となっています。
以下に、それぞれの制度の基本的な仕組みを整理してみましょう。
1.1 【国民年金(1階部分)】加入対象・保険料・受給額を確認
被保険者:第1号~第3号に分かれる(※3)
※1 国民年金保険料の月額:2025年度 1万7510円
※2 国民年金(老齢基礎年金)の月額:2025年度 6万9308円
※3 第1号被保険者は農業者・自営業者・学生・無職の人など、第2号被保険者は厚生年金の加入者、第3号被保険者は、第2号被保険者に扶養されている配偶者
1.2 【厚生年金(2階部分)】加入対象・保険料・受給額を確認
※4 1年のうち6カ月間以上、適用事業所の厚生年金保険の被保険者(短時間労働者は含まない、共済組合員を含む)の総数が51人以上となることが見込まれる企業など
※5 保険料額は標準報酬月額(上限65万円)、標準賞与額(上限150万円)に保険料率をかけて計算される
※6 第1号は、第2号~第4号以外の、民間の事業所に使用される人、第2号は国家公務員共済組合の組合員、第3号は地方公務員共済組合の組合員、第4号は私立学校教職員共済制度の加入者
2. 「国民年金と厚生年金」の平均受給額は?
厚生労働省年金局が公表した「令和5年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」を参考に、厚生年金と国民年金の平均的な年金月額を確認してみましょう。
厚生年金・国民年金の平均年金月額(2023年度末現在)
出所:厚生労働省年金局「令和5年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」をもとにLIMO編集部作成
2.1 厚生年金の平均年金月額はいくら?
(国民年金部分を含む)
※ここでは、会社員など民間の事業所で雇用されていた人が受け取る「厚生年金保険(第1号)」の年金月額を紹介しています。
2.2 国民年金の平均年金月額はいくら?
国民年金は、保険料が全国で一律に定められているため、支給額に極端な差が生じにくい仕組みになっています。
このため、男女を問わず平均受給額は月額5万円台にとどまっています。
ちなみに、2025年度における国民年金の満額(1人あたり)は月額6万9308円とされており、国民年金だけで年間240万円(月20万円以上)を受け取るのは現実的に難しいと言えるでしょう。
これに対し、厚生年金は国民年金に上乗せされる形で支給され、加入期間や収入額によって保険料と支給額が変動するため、受給額には人によって大きな差が出るのが特徴です。
3. 【厚生年金】「月額20万円以上」受給している人はどのくらい?
続いて、厚生年金(国民年金部分を含む)の受給額分布を見てみましょう。
厚生年金の受給額ごとの受給権者数
出所:厚生労働省年金局「令和5年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」
3.1 厚生年金:受給額ごとの人数をチェック
厚生年金(国民年金を含む)を受給している人のうち、「月額20万円以上」を受け取っているのは全体の16.3%にとどまっています。
つまり、実際には約8割以上のシニアが月20万円未満の年金で生活していることになります。
なお、この割合は厚生年金の受給者に限ったものであり、国民年金のみを受け取っている人も含めると「月額20万円以上」の年金を得ている人の割合はさらに低いと考えられます。
4. 年金振込通知書のチェックポイント8つ
公的年金の支給額は、毎年、物価の変動や現役世代の賃金水準を踏まえて見直される仕組みとなっています。
2025年度は4月分から年金額が改定され、前年度と比べて1.9%の引き上げが実施されました。
年金を金融機関で受け取っている場合には、改定後の支給にあわせて「年金振込通知書」が郵送されます。
この通知書には、以下のような情報が記載されています。
年金から天引きされる税や社保が記載される「年金振込通知書」
(1)年金支払額
1回に支払われる年金額(控除前)
(2)介護保険料額
年金から天引きされる介護保険料額
(3)後期高齢者医療保険料、国民健康保険料(税)
※特別徴収される場合に記載される
年金から天引きされる「後期高齢者医療保険料」または「国民健康保険料(税)」
(4)所得税額および復興特別所得税額
年金支払額から社会保険料(※1)と各種控除額(※2)を差し引いた後の額に5.105%の税率をかけた額
※1 社会保険料:社会保険料とは、特別徴収された介護保険料、後期高齢者医療保険料または国民健康保険料(税)の合計額
※2 各種控除額:扶養控除や障害者控除など
(5)個人住民税額および森林環境税額
年金から特別徴収(天引き)される個人住民税額および森林環境税額
(6)控除後振込額
年金支払額から社会保険料、所得税額および復興特別所得税額、個人住民税額および森林環境税額を差し引いた後の振込金額
(7)振込先
年金が振り込まれる金融機関の支店名(※営業所、出張所などを含む)
(8)前回支払額
令和3年10月から、年金振込通知書に前回の定期支払月に支払った金額
各支給月における天引き額(特別徴収額)は、状況に応じて変更されることがあるため、注意が必要です。
また、年金振込通知書は原則として年に1回のみ送付され、振込額や受取口座に変更がない限り、それ以降の支給月には通知書が届かない仕組みとなっています。
5. まとめにかえて
今回は年額240万円以上の年金を受け取っている人は何割いるか?について詳しく見てきました。
厚生労働省年金局の資料によると、年額240万円以上の年金を受け取っている人は年金受給者全体の16.3%となっています。
現役世代の感覚で言えば、年収240万円と聞くとどちらかと言えば収入が高い方ではないと感じるのではないでしょうか。
しかし、この資料によれば年金受給者の8割以上の方は年間240万円以下の年金収入で生活しているとなっています。
これまで年収240万円以下の生活水準で過ごしてきたという方であれば、年金収入が240万円以下であっても問題ないかもしれません。
しかし、多くの方は年金収入が240万円以下で生活するとなると、これまでの生活水準から大幅に生活水準を落とす必要があるでしょう。
年金生活に入ったからとすんなり生活水準を下げることができれば良いですが、人はこれまで慣れ親しんできた環境から一気に環境を変えることは意外と難しいものです。
そのため、まずは「老後に生活水準を落とすとしても、最低限このレベルの生活水準は確保したい」というレベルを自分で決めましょう。
そのうえで、老後資金がいくら必要か計算し貯金や投資を活用しながら老後資金の準備をすると、最低限自分が確保したいレベルの老後生活をおくることができるでしょう。
6. 【参考】年金から住民税などが天引きされるのはなぜ?
住民税は、その地域の公共サービスやインフラ整備の財源となっているとお伝えしました。この住民税、実は給与からだけでなく、多くの場合は老齢年金からも天引きされます。
ここでは、最低限知っておきたい「年金からの天引きに関すること」を説明します。
6.1 Q 多くの場合、住民税を年金から天引きで納めるのはどうして?
→A 高齢者の方々と市区町村の両方にとって、支払いや徴収の手間を減らすための便利な仕組みです!
出所:東広島市「公的年金からの特別徴収(年金特別徴収)について」
高齢者の方にとってのメリット
年金から自動的に天引きされるので、自分で銀行や郵便局へ支払いに行く必要がありません。また、支払いを忘れてしまう心配もありません。
年金から天引きされるもの
老後の年金から、各種保険料(税)が自動的に天引きされることが多い点には留意しましょう。






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