「住民税非課税世帯」は税負担が軽減されるのみでなく、さまざまな支援・優遇措置の対象となります。
住民税非課税世帯を対象とする支援・優遇制度1/4
各種資料をもとにLIMO編集部にて作成
しかし、非課税世帯に該当する要件は、お住まいの地域によっても異なります。
今回は、住民税非課税世帯の要件や年金・給与のボーダーラインのほか、平均的な年金収入が非課税世帯の基準を満たすかどうかについても解説するため、ぜひ参考にしてください。
ポイントの解説
住民税非課税の判定基準と自治体差: 世帯全員が所得割・均等割ともに非課税である必要があり、基準額は自治体や世帯構成で異なる(東京23区の単身給与年収の目安は100万円以下)。
65歳以上における年金収入のボーダーライン: 東京23区の場合、65歳以上で年金収入のみの非課税目安は、単身世帯で年155万円以下、夫婦世帯で年211万円以下となっている。
平均年金受給額での該当性: 平均月額(国民年金5万9310円/厚生年金15万289円)と比較すると、国民年金受給者や一部の夫婦世帯は非課税になりやすい一方、単身の厚生年金受給者は基準を超過する傾向がある。
1. 【住民税非課税世帯】の基本をおさらい
そもそも住民税には、所得に応じて負担する「所得割」と、全員が一定額を均等に負担する「均等割」の2種類があります。
個人住民税の概要2/4
出所:総務省「個人住民税」
「住民税非課税」に該当するのは、所得割・均等割のどちらも課税されない人です。
さらに、世帯に所属する全員が住民税非課税の場合、その世帯は「住民税非課税世帯」となります。
2. 「住民税非課税」に該当するのはどんな人?東京23区の例を紹介
住民税非課税となるのは、以下のような人です。
なお、前年の所得要件は自治体によって異なります。一般的に、大都市圏では物価や生活費を考慮して非課税となる所得基準額が高く設定されているため、地方と比べて住民税非課税の対象となりやすい傾向があります。
例として、東京23区で住民税非課税となる所得要件を確認しましょう。
東京23区で住民税非課税となる所得要件3/4
・同一生計配偶者または扶養親族がいる場合
35万円×(本人・同一生計配偶者・扶養親族の合計人数)+31万円以下
・同一生計配偶者または扶養親族がいない場合
45万円以下
※扶養親族は、年齢16歳未満の者及び地方税法第314条の2第1項第11号に規定する控除対象扶養親族に限る
3. 年収いくらまで?「住民税非課税」の年金・給与ボーダーライン
住民税非課税となる年収は、収入の種類や家族構成によって異なります。
個人住民税の世帯類型別の非課税限度額(収入ベース)4/4
東京23区では、以下の年収基準が目安となります。
基準は自治体により異なるため、お住まいの地域の情報を確認してみてください。
4. 【65歳以上】平均的な年金収入で「住民税非課税」に該当する?
東京23区で住民税非課税となる年金収入の目安は、単身世帯で155万円以下、夫婦世帯で211万円以下でした。
では、平均的な年金額を受給している人は、非課税に該当するのでしょうか。
厚生労働省年金局の「令和6年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」によれば、国民年金・厚生年金の平均月額は、以下のとおりです。
単身世帯の場合、国民年金のみの受給者は非課税に該当する可能性が高いですが、厚生年金は基準額を上回っています。
また、夫婦世帯においては、夫婦ともに国民年金を受給している場合は非課税となる可能性が高いと考えられます。夫が平均的な厚生年金、妻が平均的な国民年金を受給しているケースでも、住民税非課税世帯に該当する可能性があります。
これは、妻の年金収入が公的年金等控除の範囲内で所得が生じず、夫の扶養親族として扱われる場合、夫婦2人世帯の非課税基準(東京23区では年金収入の目安211万円以下)が適用されるためです。
ただし、住民税非課税の判定は、年齢や扶養状況、年金以外の所得の有無、お住まいの自治体の基準などによって異なります。実際に該当するかどうかは、お住まいの自治体へ確認すると安心です。
5. おわりに
住民税非課税世帯に該当する場合、国や自治体のさまざまな支援制度を利用できます。
しかし、非課税に該当する基準は地域や家族構成によっても異なるため、個別での確認が不可欠です。
また、65歳以上においては、国民年金のみを受給する世帯は非課税に該当する可能性が高いといえます。
必要な支援を逃すことがないよう、改めてご自身の課税状況を確認してみてください。
6. 元銀行員からの補足解説:「気づかない非課税」が思わぬ支援を逃す

元銀行員としてリテール営業に携わっていた頃、多くのご相談を受ける中で「老後の生活費が足りるか不安」「投資はリスクが怖くて手を出せない」といったお悩みを数多く伺ってきました。過去の現場での体験からも、老後資金に不安を感じつつも「具体的に何から始めればいいかわからない」と足踏みしてしまう方は非常に多いと感じます。
とくに記事にもあるとおり、厚生年金を受給するご主人と国民年金を受給する奥様という組み合わせの世帯は、判定が複雑になりがちです。配偶者の年金収入が公的年金等控除の範囲内であれば扶養親族として扱われ、世帯全体としては夫婦世帯の基準が適用されることがあります。この仕組みを知らないまま「うちは厚生年金があるから非課税には該当しない」と自己判断し、確認をしないまま各種支援制度の申請機会を逃してしまう方も少なくありません。
住民税非課税世帯であるかどうかは、税負担の軽減だけでなく、高額療養費の自己負担限度額や介護保険料、各種給付金の対象可否にも直結する重要な判定基準です。ご自身やご家族の状況を「たぶん違うだろう」で終わらせず、年金収入の内訳や扶養関係を今一度整理したうえで、お住まいの自治体の窓口やコールセンターに確認してみることをおすすめします。特に年金受給開始直後や配偶者の年金受給が始まったタイミングは、世帯の課税状況が変わりやすい節目です。定期的な見直しを習慣にしておくと、受けられるはずの支援を取りこぼさずに済むでしょう。
参考資料
池田 夕華
著者
一種外務員資格(証券外務員一種)保有/金融・法律専門ライター
一種外務員資格(証券外務員一種)、行政書士資格を保有。岐阜県大垣市出身。大学では法学部・法律学科に在籍し、卒業後は株式会社名古屋銀行に入行。
個人リテール業務において、投資信託・生命保険商品の販売を中心とする資産運用のサポートのほか、住宅ローンや相続など幅広い業務に携わる。また、法人営業にも従事し、事業性融資や法人向けの運用商品販売を担当。
現在は金融・法律専門ライターとして活動。銀行員時代の経験や保有資格を活かし、専門的な内容を分かりやすく丁寧に解説することを得意としている。
監修者
株式会社モニクルリサーチ メディア編集本部
LIMO編集部記者/2級ファイナンシャル・プランニング技能士(FP2級)/元銀行員/金融ライター
2級ファイナンシャル・プランニング技能士(FP2級)保有。大学卒業後、株式会社三菱UFJ銀行にて主にリテール営業に従事した。とくに銀行では国内外株式の仲介、国内外の債券、投資信託、生命保険、住宅ローンなどの販売に携わり、全国表彰歴あり。金融機関勤務後は経験を活かし、株式会社モニクル傘下の株式会社モニクルリサーチ(旧:株式会社ナビゲータープラットフォーム)に入社。
現在はくらしとお金の経済メディア「LIMO(リーモ)」のLIMO編集部にて、厚生労働省管轄の厚生年金保険と国民年金(老齢年金・障害年金・遺族年金)、年金制度の仕組み、社会保障、貯蓄、資産運用、NISA、iDeCo、住宅ローン、カードローン、為替相場、株式投資などを中心に記事の企画・執筆・編集・監修をおこなっている。Yahoo!ニュース経済カテゴリでアクセスランキング1位を多数達成。(2025年8月25日更新)








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