冷却水(クーラント液)の交換時期、補充のやり方を解説 ※画像はイメージです(metamorworks/stock.adobe.com)
冷却水は車にとって必要不可欠な油脂類のひとつです。最近の新車に充填されている冷却水は長寿命化され、交換する機会が少なくなっていることもあり、詳しいことが分からない人も多いはずです。
本記事では、冷却水の交換時期やその役割、交換しないとどうなるかなどについて現役の整備士が解説します。
冷却水(クーラント液)とは?

冷却水(クーラント液)とは?(提供:norico by ガリバー)
冷却水は「(ロングライフ)クーラント」「LLC」「ラジエーター液」「不凍液」といったように、さまざまな呼び方があり、プロの整備士の間でも普段使う名称がそれぞれ異なることもあります。厳密には本来、使い分けるべき呼び方もありますが、同一のものという認識で構いません。
冷却水はエンジンやEV用バッテリーを冷やすという大切な役割があります。これ以外にもヒーターにも使われています。
水ではなく冷却水が使われる理由は、水だと100℃を超えるような高温時に沸騰して気泡が発生し、エア噛みを起こしたり、長期間使用すると冷却システム内に錆や腐食が発生するためです。さらに氷点下以下になったときに、冷却水が循環できるように凍結しないことも重要です。そのため、冷却水には防錆効果や消泡効果、防蝕性、不凍性のある成分が添加されています。
▽エンジンやEV/HV用バッテリーを冷やすことが主な役割
冷却水には主にエンジンを冷やす役割があります。
ハイブリッド車や電気自動車の場合、バッテリーやモーターなどを冷やす役割もあります。ほかにも例えば、オートマフルードを冷やすためのオイルクーラーや、ターボ車の吸入空気を冷やすためのインタークーラーに冷却水を使用した水冷式が使われることもあります。冷却水はどんな車にとっても必要不可欠なものです。
▽ヒーター(暖房)にも冷却水が使われている
車のヒーター(暖房)は温かくなった冷却水を室内にあるヒーターコアと呼ばれる部品に取り込み、そのヒーターコアに風を当てることで温風が出る仕組みになっています。
冷却水(クーラント液)を交換、補充しないとどうなる?
冷却水には、車の冷却水としての性能を維持するための成分が添加されています。冷却水を交換しないまま使い続けると、以下のような問題が発生する可能性があります。
・オーバーヒートを引き起こしやすくなる
・冷却水経路内に錆や腐食が発生しやすくなる
・氷点下で冷却水が凍結しやすくなる
いずれも車を安心安全に使い続けるためにはスルーできない問題で、最悪の場合にはエンジンにダメージを与えるようなトラブルの原因にもなりかねません。
通常の使用過程であれば、冷却水を交換したところでドライバーにとって体感できるような違いはありませんが、冷却水は適切なタイミングで交換することが大切です。
また、冷却水を補充する目的はあくまで適切な容量を保つためであり、補充だけでは劣化を防ぐことはできません。(一部の冷却水用添加剤を除く)
冷却水(クーラント液)を交換する時期
長寿命タイプの冷却水ではない場合、冷却水の交換をする時期の目安は2年ごとです。そのため、車検ごとに交換するのがおすすめです。
ただし、最近では新車時に充填されている冷却水のほとんどが長寿命タイプとなっています。メーカーごとにすこしずつ交換推奨時期も異なるので、以下にまとめました。
・トヨタ…7年または16万km
・日産…7年または16万km
・ホンダ…11年または20万km
・マツダ…9年または18万km
・スバル…11年または22万km
年式の古い車はこの限りではないので一度、ご自身の車の取扱説明書を見て確認するか、分からない場合には車屋さんに問い合わせてみてもよいでしょう。
▽新車の場合一度も交換せずに次の車に乗り換えるケースも
上記のように、最近の車の冷却水は短くても7年は未交換でも問題ないとされています。長いものだと11年または20万kmまでを目安に未交換で使い続けることができます。11年は新車購入してから、5回目の車検時期です。
また、自動車の平均保有年数は新車購入の場合でおよそ7.7年というデータがあります。
このことから車を新車で購入した場合には、自分自身が保有している間は一度も冷却水の交換をすることなく、次の車へ乗り換えるオーナーさんも少なくないことが分かります。
冷却水(クーラント液)交換にかかる費用
冷却水の交換にかかる費用の目安は「工賃+冷却水代」を合わせて5000円〜2万円程度です。
また同じメーカーの冷却水であっても、希釈するタイプか希釈なしでそのまま使うタイプかによって単価が異なります。(当然、見積書や納品書に記載の使用量も異なります)長寿命タイプは単価が通常タイプのものより高い傾向にあります。
また、使用するLLC量は車種によって異なりますが、おおむね3〜8Lほどの使用量で考えておきましょう。
冷却水(クーラント液)の補充のやり方
冷却水の補充はかならずエンジン(冷却水)が冷えた状態かつ、エンジン停止時に行いましょう。走行直後の場合、冷却水の噴き返しがあったりヤケドの危険があります。
また、タンクには「MIN」⇔「MAX」や「LOW(L)」⇔「FULL(F)」の刻印がありますが、走行中は冷却水の温度とラジエターキャップによる加圧/減圧に応じて増減しており、基本的に冷却水が冷えた状態で見ることを前提としています。
▽サブタンクに補充するタイプのやり方
冷却水の見えるタンクの蓋が樹脂やプラスチック製のものは、「サブタンク」と一般的には呼ばれており、サブタンク内は圧力が掛かっていません。そのため万が一、冷却水が高温のときに蓋を開けても冷却水が噴き出したりはしません。
補充したいときはサブタンクのキャップを開けて、MAXやFULL(F)の刻印があるラインまで補充します。
入れすぎるとそのときは大丈夫でも、後で冷却水があふれてしまう可能性があるので注意しましょう。また、サブタンクのある車はラジエターキャップを開けて補充はしません。
▽冷却水タンクの蓋がラジエターキャップになっているタイプのやり方
輸入車を中心に多いのが、サブタンクの役割も兼ねている冷却水タンクの蓋がラジエターキャップになっているタイプです。
このタンクは、冷却水が高温でラジエターキャップによって加圧されているときにラジエターキャップを開けると、冷却水が噴き出したり熱い蒸気が「プシュッ!」「シュ〜」と出るおそれがあるので注意が必要です。それに伴って冷却水の液面の高さも上昇します。
ラジエターキャップを開けたあとは、サブタンクタイプのものと同じく、MAXやFULL(F)の刻印があるラインまで補充します。
冷却水(クーラント液)の減りを確認する方法
冷却水の減りを確認する方法は、サブタンクもしくは冷却水タンクに刻印された「MIN」⇔「MAX」や「LOW(L)」⇔「FULL(F)」を目安にします。この間に冷却水の液面があれば問題ありません。
ただし、「MIN」や「LOW(L)」より液面が低い場合には冷却水がなんらかの原因で減っている可能性があります。
冷却水の交換や冷却水システムの修理後であれば、冷却水経路内に噛んでいたエアが抜けたことで液面が下がったことも考えられます。もしこの場合に該当するときは補充してしばらく様子を見てみます。
それでも液面が下がっているようであれば一度、整備工場で点検してもらうことをおすすめします。
冷却水(クーラント液)に関するよくある質問
ここまで解説してきた冷却水(クーラント液)の効果や補充について、よくある質問をピックアップしました。
▽冷却水を入れすぎるとどうなる?
冷却水に限ったことではありませんが、車の油脂類は適量がベストです。少ない・足りないことは当然ながらダメですが、逆に入れすぎもよくありません。
冷却水を入れすぎると、温まったときにタンクからあふれ出る可能性があります。これは、水は水温が上がると膨張する性質を持っているためです。
▽冷却水に水道水を入れるのはいいの?
冷却水に水道水を入れるのは、応急的な場合に限ります。
冷却水が漏れてしまい、その後どうしても自走で帰宅する、整備工場に持ち込むため…といった一時的な場合です。
水道水では、すぐに冷却水通路内に錆が発生してしまったり、氷点下以下になると凍結して冷却水が循環しなくなってしまうなどの問題が発生します。
また、希釈して使用するタイプの冷却水であれば、サブタンク/冷却水タンクの量を微調整する程度の補充であれば、そこまで冷却水の濃度に影響が出ないので、水道水でも可能です。
整備士のまとめ
冷却水(クーラント液)は見た目での変化は分かりづらいですが、性能は徐々に劣化します。充填されている冷却水の種類ごとに目安とされる交換時期を目処に、定期的な交換が必要です。
補充する場合は適切な量を判断し、ヤケドなどのリスクを低減するためにも、かならずエンジン(冷却水)が冷えた状態で行うようにしましょう。
また、補充しても冷却水が減る場合には何らかのトラブルを抱えている可能性もあるので、整備工場に問い合わせすることをおすすめします。
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◆整備士・ヒロ
国産ディーラー、輸入車ディーラーで勤務してきた2級自動車整備士。整備士経験は10年以上で、過去にはエンジニアとして全国規模のサービス技術大会に出場したことも。 車の整備に関する情報をX(旧Twitter)で発信している。
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【監修】中古車のガリバーが運営・クルマのギモンにこたえるサイト「norico」編集長・村田創
中古車のガリバーに勤務して20年以上のベテランが車の知識をわかりやすく解説します。車のことは、多くのメーカーを横断して取り扱うガリバーにぜひ聞いてください。「車ってたのしい!」を感じてほしいと思っています!

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