物価上昇が続く中、日本人のインフレに対する見方は、世界の中でも際立って悲観的なものとなっている。世界最大規模の世論調査会社イプソスが実施した国際調査では、日本人の半数以上が「インフレは通常の状態には戻らない」と考えていることがわかった。
【調査概要】
調査方法:イプソス グローバルアドバイザー調査プラットフォーム 、IndiaBus プラットフォームを使用したオンライン調査
調査対象: 世界30か国23,772人
インドでは18歳以上、カナダ、アイルランド共和国、マレーシア、南アフリカ、トルコ、米国では18~74歳、タイでは20~74歳、インドネシアとシンガポールでは21~74歳、その他の国では16~74歳
実施日: 2025年8月22日から9月5日
調査機関:イプソス
日本人の半数は「インフレ」に悲観的
「自国のインフレが落ち着き、通常に戻るまでにどのぐらい時間がかかると思うか」という質問に対し、日本人の51%が「通常の状態には戻らない」と回答した。この割合は調査対象30か国の中でもっとも高く、2位のオランダとの差は18ポイントと大きかった。
30か国平均は26%なので、日本は平均の約2倍にあたる水準となっている。日本人がインフレを「一時的な現象」ではなく、「これからもずっと続くもの」と不安になっている様子が見てとれる。
将来の見通しでも日本は最下位
将来の生活水準についても、日本人の見方は厳しい。「今後1年間で自分の生活水準はどう変化すると思うか」という問いに対し、「かなりあがる」「少しあがる」と答えた日本人は1割にとどまった。この数値もまた30か国の中でもっとも低い。
一方で、「かなり低下する」「少し低下する」と生活水準の悪化を見込む日本人は38%だった。この割合はトルコ、フランスに次いで3番目に多く、日本では将来に対する不安が強いことがわかる。
家計のやりくりに対する自信も低下
現在の暮らし向きに対する評価も低水準にある。「最近、経済的な管理(やりくり)はどの程度うまくいっていると思うか」という質問に対し、「快適に暮らしている」「まぁまぁうまくやっている」と回答した日本人は2割にとどまった。
この割合は30か国平均の37%を17ポイント下回っており、日本の順位は30か国中27番目と低い位置にある。さらに、2024年11月と比較すると、このポジティブな回答は5ポイント減少しており、生活の快適さに対する実感がこの1年で弱まっていることもわかった。

日本は世界の中でも際立って悲観的
この結果を受けて、イプソス株式会社代表取締役社長の内田俊一氏は「日本では物価や生活水準の見通しに対して、世界の中でも悲観的に感じている人が多い」とコメントしている。また、昨年11月と比べて暮らしの快適性が低下している点にも触れ、国内経済の停滞感や米国による関税政策への懸念といった不安要素が影響している可能性を示した。
ここからは個人的な推測だが、日本人がインフレを強く悲観的に受け止めている背景には、「インフレ=生活が苦しくなるもの」という認識が根強くあることが原因ではないか。日本ではある一定期間、物価が大きく動かない状態が続いてきたため「物価があがる」こと自体が異常事態として映りやすい。
他国では物価の上昇と賃金や収入の動きが連動するという前提があり、インフレそのものを過度に恐れない意識が共有されている。一方、日本では物価だけが先にあがり、収入は変わらないという経験が積み重なってきた。その結果、日本の生活者はインフレに前向きな意味を見出しにくくなっている。
取り巻く状況が変わらないのならば、海外マインドのように視点を変えて「恐れるより、お気楽にやり過ごす」という暮らし方を目指してみたいが、そう思うのはあまりにも楽観的すぎるだろうか。


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