「国民年金は払わなくても、そのうち時効になるのでは」「多少未納があっても、周りもみんな同じようなもの」——そんなふうに考えて、未納をそのままにしている方はいないでしょうか。
しかし、国民年金保険料の未納を放置すると、催告や督促を経て、最終的には財産の差押えに至ることもあります。
この記事では、厚生労働省の最新データから国民年金保険料の未納率を確認したうえで、未納のリスクと督促の流れ、そして未納を避けるための対策を整理します。
ココがポイント
- 国民年金保険料の未納率(3年経過ベース)は全国で15.0%、大都市部でやや高い傾向がある
- 未納を放置すると、催告状・督促状を経て財産の差押えに進むことがあり、令和7年度だけで2万6859件の差押えが実施された
- 収入が少なく納付が難しい場合は、放置せず免除・納付猶予制度を利用することで、未納にならずに済む
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1. 国民年金保険料の未納率はどれくらい?
まずは、実際にどれくらいの未納があるのか、厚生労働省が公表した最新の統計から確認します。保険料を徴収する権利は、納付期限(対象月の翌月末)から2年で時効により消滅するため、最終的な納付状況を示す指標は「3年経過納付率」です。令和5年5月分の保険料は、令和8年5月末時点で85.0%まで納められており、裏を返せば全国で15.0%が未納のままになっている計算です。
国民年金保険料の未納率 都道府県別(令和5年5月分保険料・3年経過)
出所:厚生労働省「令和8年5月末現在 国民年金保険料の月次納付率」をもとにLIMO編集部作成
都道府県別に見ると、未納率が高いのは大阪(20.0%)、東京(18.2%)、福岡(17.6%)、埼玉(17.3%)、沖縄(16.7%)など、人口の多い都市部や、非正規雇用の割合が比較的高いとされる地域です。
反対に、未納率が低いのは島根(7.4%)、新潟(7.5%)、富山(8.0%)、山形(8.6%)、岩手(8.9%)などで、都市部と地方とで差が開いていることが分かります。
2. 未納のリスクと督促の流れ、最悪の場合は財産の差押えも
未納のまま放置すると、どのような流れで手続きが進むのでしょうか。日本年金機構が公表している内容をもとに確認します。
2.1 納付勧奨から始まり、最終的には財産の差押えに
国民年金第1号被保険者には保険料を納付する義務があり、世帯主・配偶者も連帯して納付する義務を負います。
納付期限までに保険料が納付されない場合、まず日本年金機構職員や委託を受けた民間事業者から、電話や文書による納付勧奨が行われます。それでも支払い能力がありながら納付されない場合は「最終催告状」が送付され、指定期限までに納付がなければ「督促状」が送付されます。
督促状の指定期限までに納付がない場合、財産の差押えが行われます。世帯主や配偶者といった連帯納付義務者がいる場合は、これらの督促状の送付や財産の差押えが、連帯納付義務者に対しても行われる点に注意が必要です。また、督促状の指定期限までに納付がない場合は、延滞金の支払いも発生します。
未納から差押えまでの流れ

出所:日本年金機構「日本年金機構の取り組み(国民年金保険料の強制徴収)」をもとにLIMO編集部作成
2.2 令和7年度は2万6859件の差押えが実施された
日本年金機構が公表した「令和7年度 国民年金保険料強制徴収の実施状況」によると、令和7年度には最終催告状が16万3419件、督促状が10万389件送付され、財産の差押えは2万6859件にのぼりました。
「まさか自分が差押えの対象になるとは思わなかった」というケースも少なくないようです。
なお、日本年金機構は事業計画の中で、控除後の所得が300万円以上で、未納期間が7か月以上にわたる方を強制徴収の重点的な対象の目安としています。ただし、これはあくまで機構が優先順位をつけるための目安であり、これを下回れば差押えの対象にならないと保証されているわけではない点には注意が必要です。
「督促状が届いても、まさか本当に差し押さえられることはないだろう」と考えてしまう方は少なくありません。しかし実際には、令和7年度だけで2万6859件の差押えが実行されています。特に見落とされがちなのが、世帯主や配偶者にも連帯して納付する義務があり、催告や差押えの対象になり得るという点です。ご自身だけでなく、ご家族の分の未納がないかも一度確認しておくことをおすすめします。
※連帯納付義務があるため、未納者本人に財産や収入がない場合でも、世帯主(親や夫)や配偶者の口座や給与、財産が差し押さえの対象になります。 ご家族の未納を放置することは、世帯全体の深刻なリスクに直結します3. 未納のままにしないための対策、免除・納付猶予制度を活用する
「保険料を払いたくても、収入が少なくて払えない」という場合、未納のまま放置するのではなく、免除や納付猶予の制度を利用することが大切です。
3.1 免除・納付猶予制度の種類
国民年金保険料には、生活保護を受けている方や障害年金(2級以上)を受けている方などが対象になる「法定免除」のほか、本人・世帯主・配偶者の前年所得が一定基準以下の場合に申請できる「申請免除」(全額・4分の3・半額・4分の1免除)、50歳未満を対象とした「納付猶予制度」、学生を対象とした「学生納付特例」などがあります。マイナポータルを使えば、これらの免除・納付猶予の申請を電子申請できます。
3.2 免除・猶予を受けた期間は「未納」にはならない
免除や猶予が認められた期間は、未納とは異なり、老齢基礎年金の受給資格期間に含まれ、督促や差押えの対象にもなりません(受け取れる年金額への反映は、免除の種類によって異なります)。また、免除・猶予を受けた期間の保険料は、10年以内であればあとから納める「追納」も可能です。生活が落ち着いたタイミングで追納すれば、将来の年金額を満額に近づけることもできます。
免除や猶予の申請は、収入が少なくなった時点でも、さかのぼって認められる場合があります。まずは市区町村の窓口や年金事務所に相談し、未納の状態を長引かせないことが、将来の年金額を守るうえでも、差押えのリスクを避けるうえでも大切です。
4. まとめ
国民年金保険料の未納率は全国で15.0%、都市部を中心にやや高い水準にあります。未納を放置すると、納付勧奨から最終催告状、督促状を経て、財産の差押えに至ることがあり、令和7年度だけで2万6859件が実際に差し押さえられました。世帯主や配偶者にも連帯納付義務がある点も見落とされがちです。
収入が少なく納付が難しい場合は、未納のまま放置せず、免除や納付猶予の制度を利用しましょう。免除・猶予期間は督促や差押えの対象にならないうえ、10年以内であれば追納によって将来の年金額を満額に近づけることもできます。まずはお住まいの市区町村の窓口や年金事務所に相談してみてください。


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