物価抑制か、景気優先か。日銀は今月27~28日の金融政策決定会合で利上げを判断するが、今月初めに7割だった利上げ観測が足元では2割まで後退。「物価の番人」たる日銀が円安・物価高に歯止めをかけなければ、庶民生活はジリ貧の一途をたどることになる。
米国とイスラエルが仕掛けたイラン攻撃による原油ショックが日本を直撃する中、日経平均株価は絶好調だ。米イの和平が進むとの期待感から、16日の終値は5万9518円まで上昇。約1カ月半ぶりに史上最高値を更新した。
しかし、「情勢は依然として不透明なのに、期待先行でリバウンドが強すぎる」(市場関係者)のが実態。パッと見はイケイケの株価も、庶民生活には縁遠い。インフレ傾向はロシアのウクライナ侵攻から数えて4年以上も続く。さらなる物価上昇圧力を加える円安基調を払拭しない限り、いくら株価が跳ねても値上げに喘ぐ暮らしは変わらないのだ。
■1ドル=163円台も
1ドル=160円の節目をにらむ円安水準が続く中、もはや日銀の利上げは待ったなしだが、ここへきてくすぶり始めたのは「4月利上げ見送り論」。「利上げも選択肢のひとつ」と口を滑らせた赤沢経産相に、すぐさま高市首相と片山財務相は「発信を控えて」とクギを刺した。
「利上げに根強い反対論はあるものの、政府は為替に関して介入も視野に神経をとがらせています。日銀としても適切に動かなければと考えているはずです。インフレ圧力の高まりを考えれば、4月利上げを実施せざるを得ないと思いますが、むしろ、このタイミングを逃せば次回会合の6月まで様子を見なければならなくなります。その間に中東情勢が正常化していればまだしも、政府は石油消費の節約をお願いしているわけではなく、消費量が減らずにかえって備蓄日数が短くなる恐れもある。危機的状況で回避行動をとらない『正常性バイアス』は、結果的に円安を促す要因になります」(第一ライフ資産運用経済研究所首席エコノミスト・熊野英生氏)
日銀の政策対応が後手に回れば、1ドル=162~163円台まで円安が進む可能性もあるという。そうなれば当然、さらなる物価上昇、家計逼迫へとつながる。ガソリン補助金や電気・ガス代支援など一時的な「痛み止め」は焼け石に水だ。
調査会社インテージによれば、今年のGWは物価高の影響で「予定なし」が前年比4.7ポイント増の41.2%。株価はイケイケでも、庶民生活は汲々とするばかりだ。


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