トヨタ「ライズ」が実は「ヤリス クロス」を超えて《隠れたナンバーワン》である意外な理由 | きばいやんせ!鹿児島

トヨタ「ライズ」が実は「ヤリス クロス」を超えて《隠れたナンバーワン》である意外な理由

2026年上半期(1〜6月)における軽自動車を除いた登録台数ランキングの順位は、1位:トヨタ「ヤリス」、2位:トヨタ「シエンタ」、3位:トヨタ「カローラ」、4位:トヨタ「ライズ」と続く。

この内、ヤリスとカローラは、ハッチバックやSUVなど複数のボディを合計したシリーズ全体の台数だ。ユーザーニーズに沿ってボディタイプ別に算出すると、シエンタが1位でライズが2位になる。

ライズはトヨタ車だが、企画・開発・製造は、トヨタの完全子会社であるダイハツが受け持つOEM(相手先ブランド製造)車だ。

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ライズ Z(写真:トヨタ自動車)

ライズの2026年上半期(1〜6月)における1カ月平均登録台数は、約1万300台。トヨタが企画・開発・製造するコンパクトSUVのヤリス クロスは、ハッチバックのヤリスを除いて算出すると、同時期の1カ月平均が約6400台だ。

つまり、ライズの売れ行きは、ヤリス クロスの1.6倍に達する。またカローラ クロスは、同時期の1カ月平均が約5200台だから、ライズの売れ行きはカローラ クロスの約2倍だ。

ヤリス クロス HYBRID Z(写真:トヨタ自動車)

OEM車がここまで好調に売れるのは珍しい。販売台数が多いその他のOEM車は、ライズと同じダイハツ製のトヨタ「ルーミー」くらいだ。なぜライズは、OEM車なのに“本家”であるトヨタ製コンパクトSUVのヤリス クロスやカローラ クロスを超える売れ行きなのか。

まずユーザーは、トヨタ製車両とダイハツ製OEM車の違いをどのように捉えているのか、販売店に尋ねた。

OEM車でも売れるワケ

「お客様は、トヨタ製かダイハツ製OEM車かという違いには、ほとんどこだわらない。ライズやルーミーが、ダイハツ製であることをご存じない方も多いと思う。私たちも、尋ねられなければ、あえてダイハツ製とはいわない。ダイハツ製でも、性能や品質はトヨタ車の水準に達しており、違いはないからだ。どこから見ても、ライズはトヨタ車になっている」

では、ライズがヤリス クロスを超える売れ行きを達成している理由は何か。

「まず5ナンバーサイズのボディがある。SUVの5ナンバー車は車種が少なく、ライズは視界もいいから運転しやすいと好評だ。また理屈を抜きにして、自分が買うクルマは5ナンバー車と決めているお客様もいる。そのような方がSUVを選ぶとき、ライズは大切な選択肢になる」

ライズのボディサイズは全長3995mm×全幅1695mmだから、コンパクトカーのヤリスなどとほぼ同じだ。最小回転半径は、主力グレードで見ると4.9mに収まり、小回りの利きもいい。

ライズ  Z ハイブリッド(写真:トヨタ自動車)

販売店のコメントにあった通り視界も優れているから、SUVでありながらコンパクトカーのように運転しやすい。では、SUVとしての実用性はどうか。

室内空間とデザインを比較すると…

「5ナンバー車でボディはコンパクトだが、車内の広さは3ナンバー車のヤリス クロスと大差ない。全長は4m以下だが、4名で乗車する用途にも使える。またライズは荷室の高さに余裕があり、荷物の積み降ろしがしやすいと評価するお客様もいる」

身長170cmの大人4名が乗車したとき、後席に座る乗員の膝先空間は、ライズ、ヤリス クロスともに、おおよそ握りコブシ1つ半分だ。

ライズ Zのインテリア(写真:トヨタ自動車)

ヤリス クロス Zのインテリア(写真:トヨタ自動車)

ヤリス クロスの主力グレードは全長4180mm×全幅1765mmだから、同じ広さであれば、同3995mm×1695mmのライズが空間効率は優れている。

荷室はボディサイズに応じてヤリス クロスのほうが広い。後席を使ったときの荷室長は、ライズが755mmで、ヤリス クロスは820mmを確保している。

ライズのラゲッジルーム(写真:トヨタ自動車)

ヤリス クロスのラゲッジルーム(写真:トヨタ自動車)

その代わり荷室高は、デッキボードを下段にセットした状態でライズは865mm、ヤリス クロスは850mm。ライズは全高が1620mmでヤリス クロスよりも30mm高く、荷室高にもわずか15mmではあるが、余裕がある。

このほか販売店では「ライズの外観には、都会的なヤリス クロスとは違う魅力があると考えている」という。

たしかにライズのフロントマスクは、フロントグリルの開口部が大きく強調されているし、ボディの側面は水平基調だから、「ランドクルーザー」のような悪路向けSUVに似た野性的な存在感も漂う。

対するヤリス クロスは、フロントマスクのデザインが鋭角的で、ボディの側面もサイドウインドーの下端を持ち上げている。躍動感があって都会的な印象だ。

ヤリス クロスはアウトドアよりもアーバンでスポーティ(写真:トヨタ自動車)

ライズを手掛けたダイハツの開発者は、以下のようにコメントしている。

「2019年に開催された東京モーターショー2019に、(ライズの姉妹車になるダイハツ)ロッキーを展示したところ、複数のお客様からMT(マニュアルトランスミッション)はないのか、と質問を受けた」。

つまり、ライズやロッキーは、MTが似合いそうなSUVでもあるわけだ。実際にはライズとロッキーにMTの設定はないが、スズキ「ジムニー」のようなイメージを抱くユーザーもいるのだろう。

これもライズが好調に売れる理由で、トヨタ生産のヤリス クロスやカローラ クロスとは異なる魅力を備えている。

190万円台で買える「G ガソリン車」の存在

グレード構成と価格設定もライズの魅力だ。パワーユニットは豊富で3種類を用意する。

前輪駆動の2WDには、直列3気筒1.2リッター自然吸気ガソリンエンジンと、このエンジンを使ったストロングハイブリッドの「e-SMART HYBRID」がある。4WDはボディが重くなることもあり、直列3気筒1.0リッターターボを搭載している。

ライズの特徴が表現されているグレードは、1.2リッターのガソリン車だ。中級グレードの「G ガソリン 2WD」は、LEDヘッドランプ、アルミホイール、エアコンのオート機能などを標準装着して、価格を195万8000円に抑えている。

ライズ G。ホイールのデザインなどに注目(写真:トヨタ自動車)

軽自動車を除いた小型/普通車のSUVで、価格が200万円未満のグレードを用意する車種は、ライズと姉妹車のロッキーのみだ。

その一方でストロングハイブリッドも選べる。このシステムは日産のe-POWERに似ていて、エンジンは発電、モーターは駆動のみを行う。

そのためにアクセル操作に対する反応が機敏で、加速も滑らかだ。ハイブリッドならではの快適な運転感覚を味わえる。

パワートレーンの販売比率は、ターボを含んだガソリン車が45%前後で、ハイブリッドは約55%だ。今はどの車種でもハイブリッドが人気で、ヤリス クロスでは約85%を占める。

その点でライズは、安価な1.2リッターガソリン車の比率も高い。人気の装備を採用しながら190万円台で購入できるGグレードの存在も、ライズの人気を押し上げている。

またライズには、「X ガソリン」というシンプルなグレードがあり、2WDの価格は180万700円だ。

ライズ Xはホイールがフルホイールキャップとなる(写真:トヨタ自動車)

Xのホイールはスチール製で、エアコンはマニュアルになり、多彩な情報をわかりやすく表示する7インチTFTカラー液晶ディスプレイなどは装着されない。

従って一般ユーザーには推奨しないが、販売店では「ライズXは、ヤリスよりも広い荷室がほしい法人のお客様が購入したり、レンタカーやカーシェアリングでの需要も多い」という。ライズはSUVでありながら、安価なコンパクトカーのニーズにも応えている。

人気が高ければ残価も高い

ライズでは、残価設定ローン(いわゆる残クレ)も注目される。首都圏の販売会社の場合、3年後の残価(残存価値)は51%と高い。残価率はヤリス クロスと同じだ。コンパクトカーのヤリスは41%だから、ライズは大幅に上まわる。

残価設定ローンでは、残価を除いた金額を分割返済するため、残価の高いライズなら月々の返済額を抑えられる。

一方、残価を高めるには、残価設定ローンの返済を終えて返却された車両を、中古車として高値で流通できることが条件になる。つまりライズは、数年後にユーザーが売却するときの金額も、高値が期待できる。

このほかにライズの人気の秘訣はないのか、販売店に尋ねると以下のように返答された。

「ダイハツが生産するOEM車のライズとルーミーは、改良を受ける直前を除くと、著しい納期遅延や受注停止は発生しにくい。最近のトヨタ車は、受注が頻繁に停止するが、そうならないこともライズの特徴だ。安心して販売できる。ヤリス クロスを目当てに来店したお客様が、納期のことを心配されて、ライズを購入することもある」

以上のようにライズは、好調な販売に結び付く数々のメリットを備える。特にSUVでも5ナンバーサイズに収まるコンパクトなボディ、190万円台から購入できる割安な価格、適正な納期などは、トヨタ製のSUVを補えるライズならではの魅力だ。

今のトヨタにとって、ダイハツ製のライズとルーミーは欠かせない存在となっている。

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この商品と売れ行きを見ると、ダイハツというメーカーの底力も実感できるというもの。メーカー同士の提携は必ずしも良い結果を生むとは限らないが、トヨタとダイハツの関係は、ユーザーにも優れたメリットをもたらしている。

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