「生活が苦しい」58.9%の現状、日本の貧困率を世界と比較すると | きばいやんせ!鹿児島

「生活が苦しい」58.9%の現状、日本の貧困率を世界と比較すると

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皆さんは日本で生活をしていて、現在の生活水準に満足していますか?
「豊かな日本」で生活しているという実感がある人も多いと思います。一方で、毎月ギリギリの生活を強いられているという人もいるでしょう。

国の経済規模や経済の成長スピードが分かる名目GDP(国内総生産)の国別ランキングによると、日本は米国に次ぐ世界第2位の経済大国として長年世界経済をリードしてきましたが、近年、中国そしてドイツに抜かれ、現在は第4位に後退、さらには2026年の今年、インドに抜かれる見通しとなり、「世界第5位」に後退する見込みとなりました。

今回のテーマは「貧困」です。日本のみならず世界中で貧困に苦しむ人が一人でも少なくなることを願うばかりですが、そもそも貧困とは?日本の貧困率はどのくらい?といったテーマで、基本的な知識・貧困の状況を整理したいと思います。

絶対的貧困と相対的貧困の違いとは?貧困の2つの定義を解説

貧困には様々な定義や考え方がありますが、大きく分けて「絶対的貧困」と「相対的貧困」の2つの考え方があります。

絶対的貧困は、生きていくために必要な最低限の生活水準を満たせない状態を指します。世界銀行グループは極度の貧困の実態を把握するために「国際貧困ライン」を設定しており、1990年には、低所得国で基本的ニーズを満たすための1日1人当たりの費用として1ドルを世界的な基準としました。つまり、1日1ドル未満しか使えないという状況を貧困とみなしたのです。

その後、物価変動などを考慮して数回改定が行われ、2025年時点で1日1人あたり3ドルが国際貧困ラインになっています。

一方、1日あたりの費用として5ドルや10ドルが使えても「貧困」と感じる国もあるでしょう。例えば日本のように一般的に豊かであるとされる国においても貧困で苦しんでいる人もいます。このような「所得が国民の中央値の半分に満たない」人を貧困とする考え方を「相対的貧困」と言います。

絶対的品行と相対的貧困の違い

World Development Report 1990: Poverty参照

日本の貧困率は15.4%、貧困線は年収127万円。推移で見る現状

日本の場合、水や電気といった生活インフラが整っており、憲法では最低限度の生活が保障され、生活保護制度などもあります。よって、国内で貧困という場合は通常、先に紹介した「相対的貧困」のことを指します。
厚生労働省は3年に1度、国内の貧困率について、大規模な国民生活基礎調査を行っています。以下はその調査結果です。

厚生労働省出所)厚生労働省 2022(令和4)年 国民生活基礎調査の概況

2021(令和3)年の日本の貧困線(※)は年間所得127万円となっており、そのラインを15.4%の人が下回っていることが分かります。

※貧困線:所得(手取り収入)を低い順に並べた時、真ん中に来る人の所得(中央値)の50%の金額のこと

また、いわゆる「ひとり親世帯」や「シングルマザー世帯」と言われる「大人が1人で子どもを扶養している現役世帯」の半分近くが貧困に該当しており、政府や自治体はこれを大きな社会問題と捉え、積極的に支援策に取り組んでいます。近年は支援が充実してきたこともあり、2018年からはひとり親世帯の貧困率が50%を下回ってきました。

日本の相対的貧困率は?OECD国際比較で見る立ち位置

相対的貧困についてOECDが2021年に行った調査結果によると、日本は以下のように上の方に位置づけられます。

一方、17歳以下の子ども全体を対象にした貧困率調査では、中間的な位置づけとなっています。先に触れたように、ひとり親世帯などへの国や自治体の支援策が奏功しているものと思われます。

OECD相対的貧困率国別比較・OECD子供の貧困率国別比較出典:OECD Income Distribution Database(IDD)/2021年データ(一部は各国直近年)/可処分所得中央値の50%未満で生活する人口の割合   

国・自治体の貧困対策、子ども食堂・教育無償化の取り組み

近年、ひとり親世帯の貧困率は50%を下回ってきているとはいえ、今なお非常に高い水準にあります。政府・自治体はもちろん、NPOや大手企業など官民一体となって積極的な支援が行われています。

その理由として、「ひとり親世帯」が貧困水準にあると、その子どもは充実した教育を受けられない可能性があり、これが教育格差となるからです。教育水準と所得は、強い相関があると言われています。貧困により教育・進学機会が制限された子どもが大人になり世帯を持つと、また貧困世帯に該当するといった負のスパイラルが考えられるため、「ひとり親世帯」の貧困を解決することが貧困問題全体の大きな一歩になると捉えられているのです。

これを解決するため、国レベルでは幼児教育・保育の無償化、高等学校等就学支援金制度による授業料の減免のほか、返済不要の高等教育の修学支援新制度を通じて進学のハードルを下げています。また3人以上子どもがいる世帯に対する大学の授業料無償化制度も始まっています。

自治体レベルではより生活に密着した支援も行われています。その一つが「子ども食堂」です。飲食店が善意で行っている場合もありますが、自治体が運営費の補助や場所の提供などのバックアップを行うなど、子どもが気軽に食事ができる環境を整える自治体が増えています。

筆者も子ども食堂を運営する人に会って話を聞いたところ、「ひとり親の子ども」や「貧困に苦しんでいる子ども」のみを対象にし、しかも無料で飲食できるとなると逆に行きづらさを感じるということで、100円程度の料金を取って「誰でも利用できる子ども食堂」を運営しているということでした。また「子ども食堂」という名前になっていますが、親も一緒に食事ができる場を提供している自治体も増えているようです。このように、気軽に利用しやすくなる仕組みが整えられています。

その他にも、経済的な理由で塾に通えない子どもなどを対象に学ぶスペースや機会を提供するといった活動を行っている自治体もあります。より一層こういった活動が拡大していくことを望みます。

「生活が苦しい」58.9%、貧困率と生活実感のギャップとは

国内の貧困率とその対策について見てきましたが、人々が感じる「生活の苦しさ」についても目を向けてみましょう。

厚生労働省の国民生活基礎調査(2024年)の「生活意識の状況」では、58.9%の人が生活を「大変苦しい」または「やや苦しい」と回答しています。その他の年も、概ね半数以上の人が「苦しい」と回答しています。
貧困と生活の苦しさはまた別の定義になりますが、非常に考えさせられる調査結果です。

皆さんは今の生活について「苦しい」「普通」「ゆとりがある」の3択だった場合、どれを選びますか?

例えば「今は全然貯蓄ができていない。むしろ教育費の出費がピークでこれまでの貯蓄を取り崩している。生活はとても苦しい」と回答した人がいたとします。しかしこれは見方を変えると、子どもが教育を受けることができていて、そのために貯蓄もしてきていた結果とも考えられます。

よって、客観的に見ると「十分ゆとりがある世帯」ということになるかもしれません。主観的な見方と180度、違う結果になりますね。

ぜひ、これを機に少しでも貧困がなくなるような社会づくり、そしてみなさんそれぞれが「ゆとりがある生活」を送るために何ができるのか?ご自身と向き合ってもらえると嬉しいです。

監修・ライター

内山 貴博

内山FP総合事務所株式会社 代表

内山 貴博

資格

ファイナンシャル・プランナーCFP®・1級ファイナンシャル・プランニング技能士

経歴

  • 2018年 MBA取得(九州大学大学院 経営修士課程修了)
  • 2014年 オーストラリアメルボルンでFPセミナーを実施
  • 2012年 事務所法人化、内山FP総合事務所株式会社
  • 2011年 九州共立大学経済学部非常勤講師
  • 2006年 内山FP総合事務所設立
  • 2001年 証券会社入社 本社で企画・調査・証券業務等に従事
  • 専門分野

    FPとしてできることは何でも挑戦したい。という強い思いで屋号に「総合」を付け幅広いFP業務を展開。
    コンサルティング業務に加え、金融機関研修や講演などに注力。
    日本での生活やお金のことに疑問を抱える外国人に向け、FPコンサルティング(英語)も展開している。

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