日本では、原則として75歳以上になると後期高齢者医療制度へ加入することになります。
また、65歳以上でも一定の障がいがあると認定された場合、この制度の対象となることがあります。
本記事では、後期高齢者医療制度の仕組みを解説し、年金収入195万円の方が支払う保険料について、都道府県別の一覧表にしてご紹介します。
1. 「後期高齢者医療制度」の対象者
日本では国民皆保険制度が整備されており、全ての国民が公的健康保険に加入しています。
その中でも後期高齢者医療制度は、原則として75歳以上の方が対象となる公的な健康保険制度です。
65歳以上で一定の障害が認定された場合には、他の保険と比較して任意で加入することも可能です。
運営は各都道府県に設置された後期高齢者医療広域連合が行っており、全ての市町村が参加している制度です。
保険料について気になる方は、自治体の窓口で試算が可能ですので、一度相談してみるとよいでしょう。
2. 2024年度:後期高齢者医療制度の保険料率一覧
2024年4月1日、今年度の後期高齢者医療制度の保険料率が決定しました。
厚生労働省の発表によると、被保険者一人当たり平均保険料額は、全国平均で下記のとおりです。
2.1 2024年度:後期高齢者医療制度「保険料率」と全国平均額
後期高齢者医療制度の保険料は、被保険者の所得に応じて決まります。
2022年度から2023年度は平均保険料額の月額6575円でした。
2024年度の平均保険料は月額7082円で、7.7%の増加となっています。
2025年度には7192円に増加する見込みです。
2.2 2025年度:後期高齢者医療制度「保険料率」と全国平均額
上記は全国平均であり、実際の保険料は以下の2種類の保険料で個別に計算されます。
ご自身の年収に基づいて、具体的な保険料額を確認しておくことをおすすめします。
次章では、年金収入195万円の人をモデルとして全国の保険料を比較していきます。
3. 後期高齢保険料が一番高いのはどの都道府県?
後期高齢保険料の月額保険料について、年金収入195万円の人をモデルケースに見ていきましょう。
自治体によって異なるので、都道府県別に確認します。
3.1 2024年度の年金収入195万円の人の保険料モデル
【写真全2枚中1枚目】年金収入195万円の人の2024年度の保険料例。2枚目は2025年度モデルで比較
出所:厚生労働省「後期高齢者医療制度の令和6・7年度の保険料率について」をもとにLIMO編集部作成
もっとも高いのは福岡県で6357円、もっとも低いのは岩手県で4583円と、地域によって大きく異なることがわかります。
年金収入がモデル例よりも高い場合には、保険料もそれに応じて高くなる可能性があります。
続いて、2025年度の保険料も都道府県別に見ていきましょう。
続いて、2025年度の保険料例も同資料から都道府県ごとに確認していきます。
3.2 2025年度の年金収入195万円の人の保険料モデル
【写真全2枚中2枚目】年金収入195万円の人の2025年度の保険料例
出所:厚生労働省「後期高齢者医療制度の令和6・7年度の保険料率について」をもとにLIMO編集部作成
もっとも高いのは福岡県で6641円、もっとも低いのは岩手県で4808円となりました。
一定の要件を満たす場合、後期高齢者医療制度の保険料は年金から天引きされます。
これによって、年金の手取り額が減少する可能性があることも覚えておきましょう。
また、同じ年収でも都道府県によって保険料が異なるため、個人差が生じます。地域ごとの保険料の違いを理解して、自分の状況に応じた計画を立てることが大切になってきます。
4. まとめにかえて
今回は、後期高齢者医療制度の保険料率を確認し、都道府県別の後期高齢者医療保険料例を見てきました。2024年度に続き2025年度も保険料が引き上げられています。
今後も保険料の上昇が続く可能性を考えると、決まった額を貯蓄するだけでなく、予期せぬ出費に備えて余裕をもった資金計画を立てることが重要です。
現在では、iDeCoやNISAといった資産形成の選択肢も増えています。積立額の調整ができる柔軟な制度も多いため、まずは小さく始めてみることが、将来の安心につながる一歩となるかもしれません。
参考資料
執筆者
ファイナンシャルアドバイザー/2級FP技能士
一種外務員資格(証券外務員一種)、生命保険販売資格、損害保険販売資格、2級ファイナンシャル・プランニング技能士(FP2級)を保有。同志社大学政策学部卒業後、損保ジャパン日本興亜(旧日本興亜損保)へ入社。保険代理店への保険商品案内営業に従事。その後、実際に窓口でお客様へ提案したいとの思いから東京スター銀行のリテール営業へ転身。2011年より現在までファイナンシャルアドバイザーとして個人のお金の悩みを解決してきた。2012年より個人販売の全行員内ランキングでは9年間で10位以内から一度も落ちることなく、2014年2位・2019年3位・2020年1位・2021年2位と安定して好成績をおさめた。現在は個人向け資産運用会社にて、資産運用のサポート業務をおこなう。
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