2026年8月1日から車検のヘッドライト検査は原則としてロービームで実施されることになり、これまで以上にライトの状態が重要になる。黄ばみやくもり、光量不足は車検不合格につながる可能性もある。ロービーム検査の変更内容と、ヘッドライトの黄ばみ対策について詳しく解説する。
2026年8月1日から開始されるロービーム検査の具体的な中身とは

ポリカーボネート樹脂素材が使われているヘッドライトは紫外線により黄ばみや曇りが発生しやすい。黄ばみにより光量が出なくなり、カットラインやエルボー点も確認できないので車検に通らなくなる。出典:独立行政法人自動車技術総合機構
2026年8月1日から、車検におけるヘッドライト検査は原則としてロービーム(すれ違い用前照灯)で行われる。
「以前からロービーム検査だったのでは?」と思う人もいるかもしれない。実は2018年以降、段階的にロービーム検査への移行が進められてきたものの、一部地域では経過措置としてハイビーム(走行用前照灯)による検査が認められていた。
しかし、この経過措置が2026年7月末で終了し、8月1日以降は全国でロービーム検査へ完全移行となる。
ロービーム検査では、検査機器で配光や光軸、そして光度(明るさ)を測定する。基準を満たさなければ車検には合格できない。
ヘッドライトは夜間に歩行者や障害物を発見するための重要な保安部品である。実際の夜間走行ではロービームを使用する場面が圧倒的に多いため、実態に合わせた検査へ変更されるというわけだ。

カットオフを有するすれ違い用前照灯の判定値(前方10mの位置におけるエルボー点の位置)(画像:四国運輸局)
ロービーム検査でチェックされる主なポイントは次の3つである。
・光軸が適正な位置を照らしているか
・配光に乱れがないか
・必要な光度(明るさ)が確保されているか
光軸のロービーム検査では「カットオフライン(光を遮る境界線)」が明瞭に出ているか、そのカットオフラインを道路左側に対して緩めていく屈折点である「エルボー点」が規定の範囲内にあるかが問われる。
具体的には、10m先のスクリーンにおいて、エルボー点が左方向に27cm以内、右方向に10cm以内、上下方向にもミリ単位の精度で収まっていないと不合格となる。この境界線がぼやけていると、テスターが「測定不能」と判断し、不合格の烙印を押されてしまう可能性が高まるのだ。
明るさについては、1灯あたり6400カンデラ以上が必要となる。かつてのハイビーム検査では1万5000カンデラ以上が求められていたため、一見するとハードルが下がったように思えるかもしれない。しかし、ロービームは対向車を眩惑させないよう光をカットしているため、測定ポイントでこの数値を出すのは意外と難しい
近年のクルマはLEDヘッドライトが主流になったが、LEDだから安心というわけではない。レンズの黄ばみやくもりによって光量が低下すれば、LEDヘッドライトでも基準を満たせず不合格となる可能性がある。また、HIDやハロゲン車ではバルブの経年劣化に加え、レンズの劣化が重なることで光量不足になるケースも少なくない。
特に10年以上経過したクルマは、ロービーム検査への完全移行を前に一度ヘッドライトの状態を確認しておくことをおすすめしたい。

最近、ロービームが眩しいと感じることが多くなってきた(出典:国土交通省)
ヘッドライトが黄ばんでいると車検不合格

これだけ黄ばんでいると車検は通らないかもしれない(xiaosan@Adobe Stock)
ヘッドライトの黄ばみは見た目の問題だけではない。現在、多くのクルマで採用されている樹脂製(ポリカーボネート)のヘッドライトは、紫外線や雨風、洗車キズなどによって表面のハードコートが劣化する。すると表面が白くくもったり、黄色く変色したりして、ヘッドライト内部の光が十分に外へ出なくなる。
つまり、バルブやLEDユニット自体は正常でも、レンズが黄ばんでいるだけで光量不足になってしまうのである。昼間はそれほど気にならなくても、夜間になると「以前より暗い」「路面が見えにくい」と感じることがあるのはこのためだ。
さらに黄ばみが進行すると配光も乱れ、光軸調整を行っても基準をクリアできない場合もある。
車検では見た目の黄ばみだけで不合格になるわけではない。あくまで光量や配光、光軸が基準を満たしているかどうかで判定される。
しかし実際には、黄ばみがひどいヘッドライトは光量不足になりやすく、結果として車検に通らないケースが増える。ユーザー車検で持ち込んだものの、その場で不合格となり、近隣の整備工場やカー用品店でヘッドライト磨きを依頼して再検査を受けるケースも珍しくない。

LOOKSヘッドライト クリア&プロテクト。価格はAmazonで1373円
では、黄ばんだヘッドライトはどう対策すればよいのだろうか。
もっとも手軽なのは、軽いくすみ程度ならば100円ショップで売っている重曹とクエン酸で取れるが、ひどい黄ばみだとやはり、専用の黄ばみとりクリーナー+コーティング剤を使いたい。軽度の黄ばみやくもりであれば、透明感が戻り、光量の改善も期待できる。
ただし、磨いただけでは再び紫外線の影響を受けやすくなるため、施工後は専用コーティング剤で保護することが重要だ。最近では、クリーナーとコーティング剤がセットになった商品も数多く販売されている。

コーティング剤を塗るとさらにクリア(透明)に。施工後、こんなにキレイになるとは
一方、黄ばみがかなり進行している場合や、表面だけでなく内部まで劣化している場合は、市販品では改善しないこともある。
そのような場合は、整備工場やカー用品店などでヘッドライトリペアを依頼する方法がある。専用の研磨機材やコーティング剤を使用するため、市販品より高い透明度が期待できる。
それでも改善しない場合は、ヘッドライトユニットそのものの交換が必要になるケースもある。特に飛び石による傷や内部のひび割れ、リフレクターの劣化などは磨いても直らない。
また、ヘッドライト交換後は光軸調整も必要になるため、専門工場で作業を依頼したほうが安心である。ロービーム検査への完全移行により、これまで以上にヘッドライトのコンディションが車検合否を左右する時代になった。
格安の社外LEDバルブやHIDキットに交換しているケースも要注意。最近のLEDバルブは「爆光」を謳うものが多いが、発光点の位置が純正バルブと数mmずれているだけで、配光がバラバラになってしまう。
明るさは十分でも「光軸が出ない」という理由で落とされるパターンが後を絶たない。また、長年の振動で内部のリフレクター(反射板)が焼けていたり、光を反射する銀鏡面が剥がれたりしている経年劣化車両も、光量不足で不合格になる可能性が極めて高い。
車検が近い人はもちろん、長く乗っている愛車なら一度ヘッドライトをじっくり確認してみてほしい。実際、筆者の回りにはヘッドライトで車検に落とされた人もいる。放置せず早めに対策しておくことが、車検対策にも夜間の安全運転にも大きな効果をもたらすはずだ。



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