ヨーグルトに蜂蜜を加えると何が起きる? 研究が示す「単なる砂糖とは異なる作用」 | きばいやんせ!鹿児島

ヨーグルトに蜂蜜を加えると何が起きる? 研究が示す「単なる砂糖とは異なる作用」

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プレーンヨーグルトに蜂蜜をかけるという日常的な組み合わせが、腸内の善玉菌にどのような影響を与えるのか。また、蜂蜜そのものは血糖値やコレステロールといった心血管代謝リスクにどのように関わるのかが注目されています。イリノイ大学アーバナ・シャンペーン校とトロント大学による二つの研究は、蜂蜜の栄養学的な位置づけに新たな視点を提示しています。

ヨーグルトに蜂蜜を加えると何が起きるのか

イリノイ大学アーバナ・シャンペーン校の研究チームは、ヨーグルトと蜂蜜の組み合わせが腸内細菌に与える影響を調べました。研究はThe Journal of Nutritionに掲載されています。

ヨーグルトにはスターター培養菌に加え、ビフィドバクテリウム・ラクティスなどのプロバイオティクス株(摂取することで腸内環境の改善などに効果がある生きた微生物)が含まれています。これらは消化器の健康や排便の規則性に関与するとされますが、口腔内酵素や胃酸、胆汁などの消化過程によって生存率が低下することが知られています。

研究チームはまず、アルファルファ、ソバ、クローバー、オレンジブロッサムの4種の蜂蜜を用い、唾液・胃液・腸液を模した条件下でin vitro実験(試験管や培養皿など、細胞や組織を生物体から取り出し、人工的な環境下で行う実験)を行いました。

唾液および胃では、蜂蜜添加ヨーグルトと砂糖添加ヨーグルト、水添加ヨーグルトとの間に差は見られませんでしたが、腸においては蜂蜜添加、特にクローバー蜂蜜がビフィドバクテリウム・ラクティスの生存をより良好に維持しました。

次に、66人の健康な成人を対象にした臨床試験が実施されました。参加者は2週間ずつ、クローバー蜂蜜入りヨーグルトと加熱処理済みヨーグルトを摂取し、便サンプルの提出や排便状況、気分や認知機能に関する質問票への回答を行いました。その結果、蜂蜜とヨーグルトを組み合わせることで、腸内でのプロバイオティクスの生存が支持されることが確認されました。

ただし、腸管通過時間、排便頻度、気分や認知機能指標には有意な変化は認められませんでした。研究者は、対象がすでに健康で規則的な排便習慣を持つ成人であったため、改善の余地が小さかった可能性を指摘しています。

さらに36人を対象とした追試では、蜂蜜添加ヨーグルト、砂糖添加ヨーグルト、加熱処理ヨーグルトの3条件が比較されました。結果として、蜂蜜添加群が最も多くプロバイオティクスを保持しましたが、健康指標への影響は確認されませんでした。

研究者は、1食分のヨーグルトに大さじ1杯の蜂蜜がプロバイオティクスの生存を支える可能性を示しつつ、蜂蜜は添加糖でもあるため摂取量への配慮が必要であると述べています。

蜂蜜は心血管代謝リスクを下げるのか

一方、トロント大学の研究チームは、蜂蜜の心血管代謝リスクへの影響を系統的レビューおよびメタ解析によって評価しました。成果はNutrition Reviewsに掲載されています。

この分析では、18件の対照試験、計1,100人以上の参加者データが対象となりました。

蜂蜜摂取は空腹時血糖値、総コレステロール、LDLコレステロール、中性脂肪、脂肪肝の指標を低下させ、HDLコレステロールおよび一部炎症マーカーを改善させる傾向が示されました。

試験の中央値は1日40グラム(約大さじ2杯)、期間は8週間でした。特に未加熱の生蜂蜜や、単一花源の蜂蜜(アカシアやクローバーなど)で効果が顕著でした。

研究者は、蜂蜜の約80%が糖であるにもかかわらず、一般的な砂糖とは異なり、希少糖、タンパク質、有機酸、生理活性化合物などを含む複雑な組成が作用している可能性を指摘しています。ただし、エビデンスの確実性はグレード評価で多くが低〜中程度であり、質の高い一貫した研究が今後必要とされています。

また、研究の文脈として、参加者は総エネルギー摂取に占める添加糖を10%以下に抑えた健康的な食事パターンを維持していました。研究者は蜂蜜を新たに大量摂取することを推奨しているわけではなく、砂糖やシロップなど他の甘味料の代替として蜂蜜を用いる可能性に言及しています。

二つの研究が示す位置づけ

イリノイ大学の研究は、蜂蜜がヨーグルト中のプロバイオティクスの腸内生存を助ける可能性を示しましたが、短期的な健康指標への影響は確認されませんでした。トロント大学の研究は、蜂蜜摂取が心血管代謝リスク指標に対し中立または有益な効果を持つ可能性を示しましたが、エビデンスの質には限界があります。

いずれの研究も、蜂蜜を万能な健康食品として位置づけているわけではありません。しかし、加工度や花源の違い、摂取量の文脈によっては、単なる精製糖とは異なる作用を持つ可能性が示唆されています。

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