
プーチン大統領(タス=共同)
ロシアのプーチン大統領は5日、トランプ米大統領が「核兵器実験の再開」に言及したことを受け、ロシアも核実験の再開に向けた提案を作成するよう国防省や外務省、情報機関など関係当局に指示した。米国の真意や動向に関する情報収集と分析も各当局に求めた。同日開いた露国家安全保障会議での発言を露大統領府が発表した。
最後の核実験は1990年
プーチン氏はロシアも核実験を行う可能性を示唆し、米国に対抗する意思を鮮明にした形だ。会議後、ペスコフ露大統領報道官は「大統領は核実験の再開を指示したのではなく、核実験を行うべきかどうかを検討するよう指示した」とタス通信に説明した。露メディアによると、ロシアは旧ソ連時代最末期の1990年以来、爆発を伴う核実験を実施していない。
安保会議では、ボロジン下院議長がトランプ氏の発言を問題視。ロシアも対応を検討すべきだと訴えた。これを受け、プーチン氏は関係当局高官らに意見を求めた。
短期間で核実験可能
ベロウソフ国防相は米国が核兵器を増強しているとし、「ロシアも対処が必要だ」と指摘。旧ソ連時代からの核実験場である北極圏ノバヤゼムリャ島で「短期間で核実験を実施できる」と報告した。ゲラシモフ軍参謀総長も「米国は核実験を準備し、実施する考えだろう」と主張した。ナルイシキン対外情報局(SVR)長官は在米ロシア大使館員が情報収集中だと説明した。
一方、ショイグ安保会議書記とボルトニコフ連邦保安局(FSB)長官は米国が核実験を実際に再開するかは不透明だとする見解を示した。
一連の報告を受け、プーチン氏は米国側の情報を収集・分析した上で、核実験再開に関する「一致した提案」をまとめ、安保会議に提出するよう各当局に指示した。
トランプ氏は先月30日、他の核保有国と「対等な立場」での核実験を直ちに始めるよう米国防総省に指示したと自身のSNSに投稿。ライト米エネルギー長官は今月2日、核爆発を起こさない臨界前核実験になるとの見通しを示した。
プーチン氏は2023年の年次教書演説で、米国が核実験を再開した場合、ロシアも実施すると表明。ロシアは同年、あらゆる空間での核爆発実験を禁じた包括的核実験禁止条約(CTBT)の批准も撤回した。CTBTは1996年の国連総会で採択されたが、米国や中国などが未批准で発効していなかった。(小野田雄一)


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