前編記事『デフレ輸出は世界で総スカン、大型連休の消費も冷え込み…内憂外患に沈む中国経済の“お寒い”現状』で見てきたように、外需への圧力と内需の冷え込みが同時に中国経済を苦しめている。そこに追い打ちをかけるのが、急速に進む高齢化だ。
深刻な年金格差
「泣き面に蜂」ではないが、急速な高齢化も中国経済にとって重荷だ。
中国の高齢化率(全人口に占める65歳以上人口の比率)は昨年末時点で15.9%に達した〔国家統計局〕。国連の定義によれば、中国も「高齢社会(高齢化率が14%以上)」に仲間入りしたことになる。
このような状況を踏まえ、中国政府は「銀髪経済(シルバーエコノミー)」を新たな成長エンジンにするとの方針を打ち出している。介護など高齢者が直面する喫緊の課題への対応や高齢者向けサービスの供給拡大や、産業育成などが骨格とされる。
だが、かつての日本のように、「言うは易く行うは難し」だ。
問題なのは、中国の年金格差が日本より深刻なことだ。公的機関に従事した者と農村の高齢者の年金格差は20~40倍だとの指摘がある〔東洋経済オンライン〕。
大多数を占める農村の高齢者の懐がお寒い限り、内需の振興に寄与することはないと言わざるを得ない。
一人っ子にのしかかる介護の重荷
一方、1980年代以降に生まれた一人っ子世代の親が高齢期に入ったことが新たな社会問題を生み出している。
中国で長期介護を必要とする高齢者は数千万人に上るが、介護人材などが圧倒的に不足している。このため、兄弟に頼れない一人っ子の負担は大きく、収入やキャリアへの悪影響を与えている。
出生率も下がり続けているPhoto by Gettyimages
介護には多額の費用も要するため、一人っ子自身の老後の備えまで脅かされている有様だ。日本のように、介護離職が急増し、中国の労働力不足に拍車がかかるのは時間の問題だろう。
新たな感染症か……
最後に中国における新たな感染症について触れてみたい。
ロシアでのペスト感染疑惑が話題となっているが、専門家の間では「中国でダニを媒介とする新たなウイルスが拡散している」ことへの警戒が出ている。
ダニ媒介性疾患の典型的な症状を示しているのにもかかわらず、既知のウイルスに対する検査で陰性となるケースが増えており、症状もけっして軽くないというから心配だ。
肺ペストの疑い例が報告されたロシア・イルクーツクPhoto by Gettyimages
現時点で感染は中国国内にとどまっていると言われているが、油断は禁物だ。
新型コロナウイルスのパンデミックの二の舞が懸念される中、中国政府は8日、来年8月に退任する世界保健機関(WHO)のテドロス事務局長の後任を決める選挙に、母子保健政策の専門家である宋莉氏を擁立したと発表した。
米国が脱退した今、WHOにおける中国の影響力は増大している。その上、新型コロナのパンデミックに関する情報公開に後ろ向きだった中国の代表がトップに就任することになれば、WHOの信頼は地に落ち、世界の感染症対策は大きく後退してしまうのではないだろうか。
日本にとって厄介な存在と化した中国だが、その認識を国際社会も共有しつつある。彼らの挑発に乗ることなく、引き続き冷静な対応に徹するべきだ。
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