私立合格したから公立は辞退します…鹿児島の高校受験に変化の波 背景には「授業料無償化」と充実のスクールバス | きばいやんせ!鹿児島

私立合格したから公立は辞退します…鹿児島の高校受験に変化の波 背景には「授業料無償化」と充実のスクールバス

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校門横にずらりと並ぶ鳳凰高校のスクールバス=南さつま市

 鹿児島県の高校教育が岐路に立っている。多くの公立高は定員割れが常態化しているのに対し、私立高や通信制課程は、授業料の実質無償化や不登校の増加を背景に存在感を増している。さらなる少子化で先行きが見通せない中、揺れる現場の実情を追った。(連載「揺れる高校教育~鹿児島の現場から」③より)
 まだ薄暗い昨年12月上旬の早朝、伊佐市の大口元気こころ館の駐車場にバスが並んでいた。しばらくすると、保護者の車やバイクに乗った高校生が次々と到着。およそ20人が白い息を吐きながら、それぞれのバスに乗り込んだ。
 同館は北薩や姶良、日置方面にある私立3校のスクールバスの停留所となっている。出発したバスは、道中で生徒を拾いながら学校まで送り届ける。
 伊佐市教育委員会によると、2025年度に市内の大口、伊佐農林、大口明光学園の3校に進学した地元中学生は5割に届かなかった。残りはバスや鉄道で通学するか、寮に入るなどして市外の高校へ進んだ。
 伊佐市大口で暮らす高校1年の女子生徒は、少人数学習に引かれて遠方の私立を選んだ。家計を考えて寮は断念。路線バスだと乗り継ぎで3時間かかるが、スクールバスなら2時間で着く。「思ったより快適。車内で宿題を済ませることもできる」と満足そうだ。
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 現在、県内の私立高21校には1万3686人が在籍する。うち19校がスクールバスを運行。自前で車両、運転手をそろえる学校があれば、民間に委託する学校もある。公共交通の減便、廃止が相次ぐ中、自宅近くまで送迎してくれるスクールバスは貴重な存在だ。
 南さつま市の鳳凰高は、南薩と北薩、鹿児島市方面の16路線に、自校のバス計28台を走らせる。生徒の6割にあたる約600人が利用。下校時間が遅い部活動生のために、一部路線は帰宅ダイヤを2便運行する。
 スクールバスを維持する上で難題なのが運転手の確保だ。公共交通を定年退職した人材を雇ったり、手当を充実させたりするなど、赤字を出しながらも欠員が出ないように苦心する。燃料費の高騰も悩みの種だ。
 通学生が数人しかいない路線もあるが、西浩二理事長は「生徒には欠かせないインフラ。利便性を高めることが、充実した高校生活にもつながる」と必要性を強調する。
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 通学手段に加え、多様なカリキュラムや国の就学支援金拡充によって、私立高の人気は高まっている。日本私立学校振興・共済事業団の調査によると、県内私立高の24年度入試(複数校受験可)の受験者は総定員5470人に対し、延べ2万1131人。平均倍率は3.86倍に上る。
 学習塾を運営する昴(鹿児島市)は、今春に受験を控える中学3年生約1400人を指導する。これまで大半は公立が第1志望だったが、私立専願や私立の志望校に合格後、公立入試を辞退する受験生も目立つようになったという。岩本さとこ教務指導部長は「公立志向が強い鹿児島で、これまでなかったケース」と、変化を肌で感じている。
 県私立中学高等学校協会の原田賢幸会長は「教育ニーズの変化に柔軟に対応しながら、努力を重ねた結果が出てきた」と胸を張る。
 政府は26年度から、私立高生の就学支援金を45万7000円まで拡充する方針。授業料が実質無償化となり、追い風が予想される。「負担軽減で私立を選択肢に入れる受験生も少なくないはず。好機と捉えて、より一層教育の質を高めていきたい」と気を引き締める。

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