スーパーなどの店頭に、柿やかんきつ類といった果物が増えてきました。これらの中には、カリウムが多く含まれるものもあり、腎臓の機能が低下している人は、食べ方に注意が必要です。
気をつけたいカリウム
67歳の加藤正子さん(仮名)は、動脈硬化が進んで慢性腎臓病になり、体の中の老廃物を尿として排せつする機能が低下しています。高血圧で、血圧を下げる薬も飲んでいます。趣味は家庭菜園で、野菜や果物を収穫して新鮮なうちに食べることが楽しみです。この時期はミカンも採れるのですが、食べ過ぎないよう注意されてしまいました。血液検査で「カリウムの数値が高い」と指摘されたためです。
野菜や果物の中には、カリウムを多く含むものがあります。神経や心臓などの調子を整えてくれる欠かせないミネラルですが、腎臓が悪い人は、いつまでも排せつされず、体の中に残ってしまいます。血液中の濃度が高まると不整脈を起こすなどし、命に関わる場合もあります。
腎臓が悪い患者さんは、血圧を下げる薬を飲んでいる人が多くいますが、これらの薬の中には、カリウムを排せつさせる働きを抑えるものもあります。
野菜や果物の食べ方
カリウムは細胞の中にたくさん入っています。減らすには、細胞の中にあるカリウムを出してから食べることがポイントになります。それには煮たり焼いたりして細胞を壊せばよいのですが、サラダなどの生野菜はそうはいきません。どうすればよいでしょうか。
葉物のレタスなどは、30分ほど水にさらしておくと切り口からカリウムが出ていきます。また、野菜を煮物やみそ汁などの具材として使う場合は、事前にゆでておいて、そのゆで汁は飲まないようにすれば、カリウムの摂取量を減らせます。
では、果物はどうでしょう? 果物は基本的に加熱しませんので、やはり摂取量を減らすしかありません。ミカン1個を半分、ブドウ1房を半分、リンゴを4分の1にするなど、制限が必要です。
干し柿、干しブドウ、干し芋などは、うまみとともにカリウムも濃縮されているので、特に注意が必要です。ほかのドライフルーツも同じです。
一方、缶詰や瓶詰の果物は加熱処理がされていますので、カリウムは低くなっています。ただ、シロップにはカリウムが溶け込んでいますので、飲まないようにしましょう。
ゆで汁は捨てる
加藤さんは、毎日ミカンを2、3個食べていたようですが、食卓の上など常に手の届くところに置かないようにして、食べる量を減らすことにしました。新鮮な野菜は水にさらしたり、調理の際はおひたしなどにして、ゆで汁は捨てるようにしたりすることで、カリウムの摂取量を減らし、1か月後には数値が正常範囲に改善しました。
最近は、料理を撮影するだけでカリウムの量を推算できるアプリあります。食品や飲料に含まれるカリウム量を簡単にインターネット上で検索することもできます。これらを活用してみるのもいいかもしれません。(辻孝之、三崎太郎 腎臓内科医)


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